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3章 商品チート

54話 クラーシュたちと意志統合

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待ちに待ったクラーシュたちが戻って来て、僕たちは皆でお出迎えをして、更には食事会も開く予定でいたんだ。


「ただいま帰りましたリイル様」
「お帰り、ご苦労様だったねクラーシュ」
「リイル様、もしかして何かありましたか?」
「そうなんだ、これから敵になった国の今後について話そうと思うんだけど、ちょっと長くなるから、話は食事会が終わってからにしよう」


とても長いし、クラーシュたちを労ってからと言う事で、みんなで広間に集まって食事会が始まりました。
バーバルナさんも一緒で、更に言えばギルドの人たちも参加です。


「美味いぞい、この酒は最高だぞい」
「こっちの料理も美味しいわ、流石リーダンからの品ね」
「この入れ物も変わってるっすよ」


各ギルドのマスターさんたちは、全員料理に夢中な様で、ファーラさん以外は楽しんでくれているようです。
それと言うのも、僕の昇格試験の雲行きが怪しいみたいで、心配みたいですね。


「ファーラさん、そんな顔しないで楽しみましょう」
「リイル様・・・ですけど、来る人があの方では」
「あの方と言うと・・・もしかして、不合格の山を築いている」
「そうです、あのダークエルフ【ミサロラローズ】です」


ああ~っと、僕も知ってて納得の人が向かっている様で、それはまいったと思うけど、きっと平気と答えておきました。
それと言うのも、事前準備が出来ているので、きっと相手は驚くだろうとお話したら、ファーラさんが顔をひきつらせたよ。


「そんな顔をしないでください、僕は確実に昇格する為に準備をしただけです」
「で、ですけど・・・今までの事がありますから、もしかしてかなり尋常ではないのかと」
「まぁそうですね、相手は一度も合格をさせてないですからね」


相手も尋常ではないのだからと、ちょっと先の事をお話する事にして、僕はある国を壊す事を知らせたよ。
ファーラさんは、そんな話が飛び出すとは思わずかなり焦って来て、これはまずいと止めて来たんだ。


「仕掛けて来たのは相手です、僕からは譲歩を伝えるけど、恐らくそれには乗らないでしょう」
「で、ですけど・・・相手は大国の聖法王国ですよ」
「そうですね・・・でも大きな戦いにはなりません」


僕が考えているのは、制圧なのでそうなると思っています。
逆に言えば、賛成して来た方が大変かもしれないとも伝え、どのみちその国はお終いとニヤリとして見せたんだ。


「まったく、こちらがどんなにすごいのかを考えてほしいですね」
「その通りですけど、相手も自分の地位が掛かっていますから、仕方ない事ですファーラさん」
「他国にまで来てそれですか」


聖女でも他の人と変わらないと、ファーラさんはガッカリしている様でした。
事前のお話は終わり、食事会を楽しんだ後は、クラーシュたちとの大変重要な話し合いの時間で、バーバルナさんも同席して納得していたよ。


「さすがですねバーバルナさん、驚かないとは凄い」
「いやいや、実はこちらにも大聖女様が来られましてのう」
「なるほど、だから知っていた訳ですか」


それは良い事を聞いたので、説得(脅迫)のネタにする事を考えました。
それと言うのも、大聖女が気に掛けていると分かったのはとても重要で、嫌がらせを思いついたんだ。


「友好的にしていたのに、あんな事をして来て、更にその職人たちが非道な虐待受けていたとなれば、言いのがれは出来ない」
「なるほどのう、それは楽しみじゃ」
「バーバルナさんには、他の国の説得をお願いします」
「それは・・・かなり高くつくぞリイル殿」


そこは、職人の教育を割り引くと言う事を提案し、半額とバーバルナさんに値切られました。
それで手を打つことにして、始動に2ヶ月の期間を貰いました。


「丁度良いですね」
「そうじゃろうな、なかなか楽しみになってきたわい」
「それは良かった、僕としては倒してしまいたいですけど、死人はあまり出したくないですからね」


戦争になれば沢山の人が死んでしまい、僕のせいでそんな事になるのは避けたいのが本音です。
でも、それしか方法がないのなら、僕もそれを止める気はなく、とことんまでやり合う覚悟だった。


「ふむ・・・じゃがその国は無くなるのじゃから、手に入れるのも良いのう」
「遠くですから、ちょっと大変ですよ」
「な~に平気じゃよ」


使い様はいくらでもあると、バーバルナさんはとても楽しそうで、僕なんかよりも尋常ではなさそうで、やっぱりすごい人だったとホッとしました。
クラーシュは心配そうだけど、僕の作戦の要はクラーシュで、聖女として頑張ってもらう事を伝えたよ。


「ほ、本気なんですねリイル様」
「うん、あいつらは聖女に相応しくない、君の方が誠実で清らかだよ」
「光栄ですけど、ワタシはそんな器ではありません」


それでも、クラーシュは僕の為に頑張ってくれると約束してくれました。
僕も行くので危険はそんなにないけど、先に行って貰う事になるので頼みました。


「アミラたちも直ぐに行かせるから、先陣は任せるよ」
「お任せください、あの6人は助けて見せます」
「ごめんね、一番辛い事をさせてしまうかも知れない」
「良いんですよリイル様、ワタシはその為にいるんです」


命に代えてもっとクラーシュが言って来たので、僕はそれをしない様に伝えた。
必ず帰って来るように指示を出し、その手段も決めたんだよ。


「命は掛けてはいけない、冒険者の鉄則だよ」
「分かりましたリイル様」
「お願いしたからねクラーシュ、君たちがいなくなったら、僕は相手の国を壊すだけじゃ済まないからね」
「それはとても光栄です、ありがとうございます」


それだけ大切にしているし、奴隷の立場なんていつでも解放しても良かった。
要望が無かったから解放しなかったけど、それも今後考えないといけないかもしれません。


「それじゃあ、教育者50名と冒険者30人を残し、行動を開始するよ」
「「「「「はい」」」」」
「相手は、大国の聖法王国で、勇者もいるけどぶっ倒すからね」


勇者はとても強いと聞いているけど、7つ星がまたいなくなるのはとても残念と、みんなに伝えて笑いました。
負ければ、僕は魔王と呼ばれるかもしれないけど、勇者に魔王が勝つ物語があっても良いかも知れない。


「魔王だなんて、思ってもないくせに」
「あっちには聖女もいるけど、あっちが魔王だっただけだよね」
「そうね、人を蔑ろにしてるのだから仕方ないわ」


それが決定打で、僕たちが正義とここで宣言しました。
だからではないけど、僕は2度と負けないと、遠くの聖法王国に向けて宣言したんだ。
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