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1章 新たな人生

14話 ボス戦指導

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「っと言う事で、皆さんの弱点である打撃力について解説します」


ダンジョンに入る前に、ギルドの入り口付近に並べられているテーブルを囲み、僕は皆とお話を始めたけど、まずカリーナの打撃が問題と指摘した。
格闘士には【ラッシュ・ハードブロウ】と初級の闘技があり、カリーナはそれを使いません。


「だって、学校で覚えてるやつがいなかったんだ」
「だからって、闘気を使った身体強化は使おうよ」
「闘気ってどうやって出すんだよ?」


そこからかぁ~っと、この国の教育機関に文句を言いたくなったけど、それよりもまずお話と言う事で、次に問題の魔法組です。
こちらも初級の魔法しか使えず、範囲魔法や強力な物は無理でした。


「で、でも」
「分かってるよアミラ、今から教えても直ぐには使えない、だから訓練はするけど今日のはそっちじゃない」
「そっちじゃないって、他にも方法があるの?」
「スキルや魔法を覚えるわけじゃないから、あるんだよ」


その後、強化訓練をする事を決め、まずはダンジョンに行こうと席を立ちました。
ダンジョンに入り、まずはカリーナの強化ですが、ここは簡単に済む様に手を繋ごうと提案です。


「て、手を繋ぐのか!?」
「そうだよ、僕の闘気を君の身体に通せば使い方が分かるんだ」
「そ、そうなのか」


闘気術は、自分の闘気を感じるよりもこっちの方が簡単で、それは魔力でも言える事でした。
ルーシェたちがジッと見て来るのでやりにくいけど、ドリルラビットを標的に僕がカリーナに闘気を流すと、拳を繰り出した先のドリルラビットが吹っ飛ぶ事無く弾け飛んだよ。


「す、すげぇ~」
「今のは、カリーナが流れに合わせて拳を繰り出した結果で、普通じゃない威力でとても良かったね」
「そ、そうなのか?」
「うん、これは才能と言っても良いんだけど、今のは闘技の【バーストナックル】と同じことをしたんだよ」


バーストナックルは上級で、とても扱いの難しい事で有名な技だから、みんなはビックリです。
でも、今回のは闘技ではない為、感覚で覚えておくだけと言いました。


「んだよ、それなら使えないのかよ」
「それを使えるようにするのがレベルなのさカリーナ」
「じゃあ、早くボスまで行こうぜリイル」


闘気術の事を忘れているけど、カリーナは僕の問いかけに応え、自らの闘気を上げたり拳に移動させて見せた。
ほんとに天才かもしれないとは思ったけど、今のカリーナに言っても良くないので、もっとしっかり出来るようになってからにしようと伝える事にして、今度は魔法組の説明です。


「さ、3人の魔法を合わせる」
「そうだよルーシェ、息の合った君たちなら出来る、初級でも3人の魔法を合わせれば強い威力が出せるんだ」
「そ、そうかなぁ~」
「ん、やってみる」


出来ない事は無い、そう確信してみんなにはMPポーションを渡したよ。
高い品なのは誰もが知っていたので、使えないと拒否して来たけど、これは絶対に必要なのでそこを伝える事にしました。


「あのね3人とも、これは貸しなんだよ、僕はみんなの未来に期待して渡してるんだ」
「そ、そうだとしても、さすがに高いわよ」
「ん、銀貨5枚」
「3人が使うんだから15枚もするじゃん」


皆が拒否して来るけど、銀貨15枚を稼ぐのはそれほど難しくありません。
20階のボスを倒せば良いだけで、3人の魔法が成功すれば、カリーナと合わせれば余裕で倒せると教えたんだ。


「ほ、ほんとかよリイル」
「嘘なんてつかないさカリーナ、それだけ難しい事を言ってて、みんなだから教えてる」
「でも20階なんて、とても先の話よリイル?」
「そうだよルーシェ、だからこれは先行投資になるんだよ」


そういう事ならっと、やっと納得してMPポーションを受け取ってくれた。
そして、ボス前まではカリーナの訓練も入れて、魔法の合わせ技の練習をしてもらい、何とお昼過ぎにボス前に来たんだ。


「は、早すぎじゃねぇか?」
「そんな事はないよカリーナ、ほとんど出会い頭の一撃ならこんな物さ」
「そ、そうなのか?」
「じゃあ行くよ」


皆の緊張はかなりのモノだけど、その緊張も無くなってしまうと疲労に変わり、みんなの集中力が低下します。
ここは一気に進み倒すのが良いと、僕は先頭で扉を開けました。


「カリーナ、注意を引くよ」
「おっしゃあぁーー」
「その間にみんなは詠唱ね」
「「「了解」」」


皆の返事を聞いて、僕とカリーナは飛び出し、ラビットキングに突撃します。
本当なら僕の一撃で両断できるけど、ここは皆の訓練の場なので、カリーナと同じ様に注意を引く程度の攻撃を繰り出し距離を取って戦うと、さすがにカリーナは苦戦してるよ。


「ウサ~ウサウサ~」
「くっかてぇ~」
「カリーナ、倒さなくて良いんだ、手数を出して」
「わかってんよリイル」


カリーナも倒したいのだろうけど、闘気術を覚えたばかりではレベルがまだ足りません。
闘気術を会得したおかげで動きは良くなったけど、先ほどのバーストナックルは、僕の助けなしでは出来ないのでラビットキングに通常攻撃をぶつけて注意を引いたんだ。


「でも、初級の闘技を覚えれば行けるね」
「出来ましたよリイル」
「了解ルーシェ、離れるよカリーナ」
「おうっ!」


ルーシェの声に反応して、僕たちはラビットキングから離れると、ルーシェたちの火魔法がラビットキングに命中し大きく燃え上がりました。
その炎は、ファイアボールの比ではなく、中級のファイアーストームと言っていい程だったね。


「中級並みか、やるなルーシェたち」
「そうだねカリーナ、でも君も直ぐにあれくらいの威力が出せるよ」
「ほんとかリイル」
「うん、その為の土台は出来てるからね」


闘気術が使えればそれも可能で、帰ったら早速訓練をしようとお話をしたんだ。
ラビットキングは消滅してドロップ品を回収できた。


「それじゃあ、隣の部屋で一度戻ろうか」
「ああ、さすがに疲れたぜ」
「そうね、急に来たわね」
「ん、ヘトヘト」


みんなの緊張も切れて座り込んでしまい、ちょっと休憩をしてから僕たちはダンジョンを出ました。
まだ昼過ぎだったけど、ギルドに行ってその日の報酬を貰ったのだけど、総額銀貨6枚にはさすがに驚いていたね。


「そんなに驚く事じゃないよ、そうですよねファーラさん」
「リイル様の言う通り、ラビットキングの肉は高いですし、武器も中魔石もお売り頂いたのでそれ位になります」
「そ、そうなのか」
「これなら納得でしょ?」


カリーナたちが頷いてくれて、先行投資が本当だったと納得してもらえた。
そして、早めの夕食に誘われて僕はみんなと夕食を楽しんだけど、今日の話題は早く訓練がしたいと言うモノだったよ。


「そう焦らないでよカリーナ」
「そう言うがなリイル、俺たち強くなってる実感があって楽しいんだぜ」
「うんうん、早く試したいじゃん」
「そう、とても楽しい」


皆がそう言うので、闘気術と魔力操作の訓練にもなる方法をその場で見せる事になり、平たいお皿に水を入れ左右に割る事を教えます。
闘気術では、闘気を身体の外に出し水を弾いて真ん中に通す感じで、魔力操作は水自体を操作するんだ。


「な、なるほど、これは難しいぜぇ~」
「ん、外に出ない」
「最初だからね、出来なくても水が揺らぐだけでも良いんだよ」


最初は誰でも出来ないモノで、それを糧に反省点を見つけて進めば良いんだ。
失敗をそのままにしなければその内出来るようになると、ちょっとジジ臭く語ってしまったけど、みんなはちゃんと聞いてくれた。


「そう言えば、あいつらの中で聞いてくれたのカーリーだけだったな」


みんなのひた向きさはあいつらにも昔にあったけど、いつの間にかなくなっていて、カーリーだけになっていた。
今度はやり過ぎないよう注意しようと決めたんだけど、指導となると難しくなるので困ってしまったね。


「今だって、結局訓練になってしまったしなぁ」


みんなはお皿に夢中で聞いてないけど、僕は楽しい食事なんだからとお酒を飲んでいた。
料理の味がいまいちでも、みんなと楽しく食べると美味しく感じて、とても楽しかったね。
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