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3章 統一

42話 世界統一の流れ

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早くあいつに会いたい、そう思っているぼくだけど、そんな思考で乗り越えられる状態ではないので、ぼくはちょっと気合を入れ直したよ。


「まさか、ハイエルフ直々とか、この目で見てても信じられないね」


それだけここが重要なのは分かるけど、それだけ広めているのが証明された。
ドワーフ国の王【ドワドワ・ドローネス】と睨み合ってくれてるから、ぼくはちょっと安心したけど、他の人種族の国は気が気じゃなさそうで、この獣人の国の王子がやっと進めたよ。


「良く集まってくれました、自分はこの会議の司会を任されたライオルド・バル・ライデンだ」


自己紹介をして頭を下げた王子は、早速会議を進めようとしたけど、その間に出されたお茶に全員が視線を落としていたよ。
それぞれの種族に合ったお茶で、ハイエルフのシャシャートネルにはハチミツたっぷりの紅茶で、ドワドワにはビールだったね。


「ぼくたち人種にはルイボスティーとか、これだけでも心を掴めるね」


流石という他はないけど、余計ぼくは会いたくなりました。
でも、その再会は後に取っておくとして、王子が言った様にこちらの兵を集めての魔族領進行を提案したね。


「ふむ、その提案は良いのじゃが、勝てるのか?」
「ドワドワ殿、今回戦いの為に行くのではありません、友好な関係を築くために行きます」
「でも、同盟は組むのじゃろう?」
「そうですシャシャートネル殿、それは相手の出方が分からないからで、守る為の力です」


おふたりは納得した感じだけど、人種の国の代表たちはちょっと不満げです。
それと言うのも、こちらの食料事情が良くなったとは言え、まだまだ足りない状態なのと、先の戦争で疲弊しているからです。


「そこで、自分の考えているのは、魔族との交易が出来る都市の建設です」
「「「「「なっ!?」」」」」


全員で驚いたのは、今までもそんな挑戦をして来たけど、ことごとく魔族に破壊され負けて帰って来ているんです。
お金と兵の無駄と誰もが思ったのは言うまでもないけど、今までと違うところがここで発表されたね。


「こ、言葉が分かるだとっ!」
「そうですよデデントモル国の代表、デモン王子殿」
「そ、それはもしや」


一番痛い思いをした、元ぼくの国の同盟国だから分かるんでしょうけど、ここにいるダンジョンマスターがそのカギと誰もが悟ったね。
そこで反対したのがデモン王子で、モンスターに任せたら裏切られると、会議に参加してるオーロラと言うレイスを睨んだよ。


「その心配はありません・・・っというか、オーロラ殿たちに裏切られたら、それこそ自分たちはお終いですね」


はははっと笑う王子ですが、それは笑えないとデモン王子が怒って来ました。
でも、そこで怒っているのはその人だけで、それ以外は一緒に笑ってそれはないと思っていたよ。


「それもそのはず、オーロラ殿の主であるダンジョンマスターは、そんな事を求めてないんだ」


当然だよねっと、ぼくは怒っているデモン王子にため息をついてしまいます。
もし力での征服を考えていたのなら、力だけでねじ伏せる事の出来たダンジョンマスターなのに、それをしないでこんな絡め手で来る意味がない、そんなお話をぼくが手を上げて伝えたよ。


「し、しかし、その可能性は」
「それは無いのじゃ、わらわが保証してやるのじゃよ」
「シャシャートネル殿」
「ワシもそこには賛成じゃのう」


ケンカしていたハイエルフとドワーフに言われ、さすがにデモン王子は黙ってしまいました。
自分の国以外が賛成している事もあり、兵が足りないので職人だけと条件は付けたけど、やっと了承してきました。


「それは助かります、実はそっちの方が自分たちの欲しかった人材で困っていたんですよ」


ニコリとしたライオルド王子は、それぞれ兵士と職人をお願いして来て、ぼくの方からも兵2000と職人100人を約束しました。
総勢で兵が4万と職人2000が決まり、集まるのは2月後となりました。


「大掛かりじゃな」
「でも、以前の数には及ばないわ」
「シャシャートネル殿の言う通り、魔族に戦いを挑まれればまず勝てない」


ライオルド王子が怖い事を言ってきますが、そこで安心させる為か、オーロラ殿が事前に部隊を向かわせる事を提案してきました。
そして、ぼくたちの部隊が向かう時は、既に話を済ませておくと宣言し、4万の兵は砦の防衛だけと言ってくれました。


「砦を数ヵ所建設し、それを起点に街を作ろうと思っていますわ」
「それをワシたちの職人が行うのじゃな」
「その通りですわドワドワ殿」
「ふむ、それならば安心じゃのう」


ドワドワ殿が安心してビールをおかわりしたけど、シャシャートネル殿も同じ様にお茶をお代わりして、同時に料理が運ばれてきたんだ。
難しいお話はここで終わり、次は遠征中の食事の紹介が始まったんだよ。


「な、何だこのうまさは」
「デモン王子、これがわたくしたちの力ですわ」
「そ、そうなのか」


凄く引きつった顔をしたデモン王子は、ラーメンを食べ始めたけど、ぼくはその麺を見て納得したんだ。
これはインスタントラーメンの麺で、これを出されたら相手は戦争で勝てるわけないと納得です。


「おまけに、強さも持ってるとか、チートにも程があるね」


ぼくは貰えなかったのにっと、ちょっとジェラってしまったけど、この後再会した時にチクチク言ってやる楽しみが増えました。
その後、餃子やシュウマイと、ぼくも知ってる食べ物が沢山出て来て、遠征が楽しみになりました。


「美味いが、酒は無いのか?」
「ビールを既に飲んでるでしょ山猿」
「これはワシらにとって水じゃよ森猿、酒と言うのはもっと強い物を言うんじゃ」


睨み合うおふたりだけど、オーロラ殿が用意していると宣言し、出て来たのは透明なお酒で、日本酒なのが分かりました。
もっと強いお酒がある事も告げられたけど、今日はこれくらいと抑えてもらったんだ。


「もしかして、ジンとかウォッカもあるのかな?」


ぼくは飲んだことが無いけど、これだけの料理を出せるんだからありそうと、またまたチートが羨ましくなったよ。
でも、そんなジェラシーな気分も、特別と前置きで出された品を見て、ぼくはもう飛び上がって喜びたくなったね。


「こ、これは!?」
「生の魚?」
「そうですわシャシャートネル殿、わたくしの主であるメンヤ様がおつくりになった品で、会議の為に集まっていただいたお礼だそうですわ」


オーロラ殿がそう言うけど、視線はぼくに向けられてて、あの手紙をしっかりと読んでもらえたのが分かったよ。
しかも、僕の大好きなサンマの握りが入っていて、それだけでも泣きそうです。


「黒いショウユと言うタレは、小皿に用意してありますので、お好きに付けてお食べください」
「そ、そうか・・・ではいただこう」


遠征では食べれない特別な品、みんなはちょっと怖がって口に入れたけど、その美味しさに目を輝かせました。
ぼくは違う意味で目を輝かせたけど、美味しいと思ったのは同じだったね。


「メンヤの手料理、久しぶりだね」


ラーメンを作るのも美味かったけど、あいつの料理はどれも美味しくて、プロ並みと思っていたんだ。
それでも握り寿司は作ってもらった事は無かったけど、美味しいのは変わらなかった。


「それでは、今日のお話はこれで終わります、お部屋は準備していますのでごゆっくりお休みください」


会議が終わり、それぞれオーロラ殿の部下に部屋に案内されたけど、ぼくは部屋ではなく違う所にオーロラ殿が直々に案内されます。
やっと会えるとソワソワだけど、なんて言おうかとても迷っていたよ。
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