神よ願いを叶えてくれ

まったりー

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2章2つ目の世界

40話 自分で

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「よし回復魔法のアレンジは出来たな、あとはアイに覚えてもらって」


『主、そろそろ時間ですよ』


時間を忘れ魔法を作っているとナビ玉が言ってきた、もう少し他の魔法も作りたかったがしょうがないな。


「じゃあミュウミを見るか」


『はい、どうせ予想通りでしょうからね、主の新しい魔法の出番ですよ』


その為に作った、いままでの魔法はただ傷を治したりする物だった、だが昨日のあの状態を見て思ったんだ、鎮静効果や体のケアも考えた方が良いってな。


「魔力も渡せるようにするのが大変だったな、絶対枯渇してるだろうからな」


イルティの時は動けないだけだった、魔力が多かったからな、だがミュウミはおそらく枯渇している、昨日調べてわかってるんだ。


『これでスキルの治療よりも使い勝手が良くなりましたね主』


「ん?そうかもな、だがどちらも使うかもしれんからその都度決めることになると思うぞ」


スキルの治療は死んでさえいなければなんでも治る、さすがと言うべきだろう、だがそれが今回の世界では仇になってるんだがな。


『まぁそうですね、あら!?予想通りですよ主』


ナビ玉が通路の先を見ると玄関の椅子に横になっているミュウミが見えた、アイはオロオロしている。


「アイ間に合わなかったか?」


「あ、ジュート!?そうなの部屋に入ったらすでに循環の練習をしていて時間を聞いたら30分はしてるって言うんです」


30分か、それはかなり無理をしたな。


「じゃあ僕が魔法で治す、アイも良く覚えておけよ『ミドルエクスヒール』」


俺の言葉を聞いてアイが驚いている、初めて聞く魔法だからな。


「うぅ~なんだか気持ちいぃー」


「こんなもんかな」


「す、すごい!?こんなに早く治るなんて、私の診察魔法で見たら1週間は寝込むって出たのに」


診察魔法も使ったのか、まぁ当然か。


「普通はそうだな、だが魔力が枯渇したせいだ、普通なら数時間で治るぞ」


魔力が枯渇すると普通よりも回復が遅いんだ、イルティが良くなったんだがスキルでしょっちゅう治した。

どうやら自分の体にないから自然界から取り込んでいるようだった、そしてそれはすごくゆっくりなんだ。


「そうなんですか、じゃあ魔力薬とかを使って更に回復魔法を使えば」


「そうだな、だが魔力薬は使い過ぎないようにする必要はあるぞ」


魔力を回復させるのに魔力薬と言う物がある、だが少量しか回復しないんだ、枯渇には有効な方法だな。


「あれ苦いですから多めに取る人いませんよ、ミュウミさん気付きましたよ」


俺たちが話をしているとやっと意識がはっきりしてきたようで、目をぱちぱちさせていた。


「わ、私どうなったの?」


「練習のし過ぎだ、慣れないのに30分もするからそうなる、最初は10分で良いんだよ」


少し強めに言った、昨日と違ってしっかり聞いていた。


「まぁ無事でなによりだよ、僕たちは仕事に行ってくるからね」


「う、うん」


頭を撫でながらそう言った、嬉しそうだったな。


「ジュート・・・もしかして鈍感?」


「な!?なんだよそれ、僕は普通に接しただけだろ」


説教をしてその後フォローは必要だろう、反省はしても後悔はしてほしくないんだ。


「あれが普通ねぇ~」


アイにジト目をされてしまった、そう言えば成長しだしたイルティにもそんな目をされたな。


「ここがジュートの仕事場だよ」


魔法士の部屋で着替えを済ませアイが治療の仕事場に俺を案内してくれた、昨日アイの仕事を見た隣だな。


「ありがとアイ、それで看護士の君の名前は?僕はジュートって言うんだ」


「はははい!見習いのティカと言います」


ティカか、随分緊張してるな。


「じゃあ私は自分の仕事場に行くね、頑張ってジュート」


手を振り俺の初仕事が始まった、患者の対応は簡単だったがそれ以外に大変なことがあるとは思わなかったぞ。


「ティカ落ち着いたかい?」


「うぅ~すみません、わたし失敗ばかりで」


患者を入れる時にどうしてか転んだり、立っているだけなのに机にぶつかり物は落とすし、ほんと大変だった。


「どうしてそんなに緊張してるんだい?」


「そ、それは・・・わたしこれ以上失敗するとここを辞めさせられるんです、だから余計緊張してしまって」


なるほど、他の魔法士に言われたんだな、確かにあいつらなら言いかねないな。


「そこは安心していいよ、僕はそんなこと言わないからさ」


「で、でもぉ~」


「じゃあ深呼吸だ、はい息吸って」


俺は取り合えず深呼吸をさせた、魔法の鎮静を使えばすぐだがこの子の場合またすぐになるだろうからな。


「少し落ち着きました」


「それは良かった、じゃあお茶とお菓子を食べて休憩しよう」


「え!?」


ティカが驚いている、お茶とお菓子を出したことにではない、まだ休憩には早いんだ。


「今の状態じゃ患者さんも困るだろ、それなら休憩をして万全な状態にしなくちゃ、サボるのも必要なんだよ」


「は、はぁ~」


俺はティカにお茶を進めた、かなり嬉しそうにしていた。


「お菓子も食べていいからね」


「す、すごくおいしいっす、あ!?」


お菓子を食べてどうしてかビックリしている、どうしたんだ?


「聞こえちゃいました?わたしの口癖」


「もしかしておいしいっすって奴?」


恥ずかしそうに頷いている、それが出るってことはリラックスしてるって事だろ?それならいいじゃないか。


「変でしょこんな喋り方」


「僕の友達にもいたよ最後にですを付ける人、全然変じゃないよ、むしろそれで行こうよティカ」


笑顔でそう言っておいた、俺の部下にいたんだ敬語が苦手で俺と喋る時そうなってたのが、懐かしいな。


「そ、そうっすか」


「うん、その方が断然いいよ、じゃあそろそろ患者さん入れようティカ」


「は、はいっす」


随分肩の力が抜けた、少ししか話していないがまぁこれなら平気だろう。


『主、それはまずいですよ、知りませんからね』


肩からそう聞こえた、あれでダメなのか?だが仕事上しょうがないだろう。


「よし!今日の仕事はこんな物かな、お疲れティカ」


「はいっすお疲れ様っすジュートっち」


ティカとかなり打ち解けた、ナビ玉の注意をされてから気を付けたんだが、手遅れだったようで今俺の腕に寄り添っている。


「ティカ仕事場でこういうのは困るんだけど」


「なにいってるっすか、ジュートっちは自分の恩人っす一生付いて行くっすよ」


看護士はずっと同じ子が担当する、だからティカは俺の担当なんだが一生は言い過ぎだ。


「ティカあのな」


「ジュートどうだったって、何してるの!?」


アイがそんなとき入って来た、かなり叱られたよ。

別に職場恋愛が禁止ではない、だが場所が悪いと言われたよ、そしてその後何かブツブツ言っていたが、ナビ玉が反応してないからアイはまだ平気なのだろう。
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