神よ願いを叶えてくれ

まったりー

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1章初めの世界

8話 分身10号

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「行くぞ10号」


「ああ、12号たちは反対側を頼む」


俺は分身10号、俺たちは10人で1グループになって動いている、今本体がいた場所で一番近かった都市の北側だ、2人一組に分かれて捜索する予定だったが南側は人口が密集しているから俺と11号以外を向かわせる事にした、現象が起きてから3時間、何人が無事だろうか。


「はぁっ!」


「いいぞ11号、おい無事か!」


「お、おう、ありがとう助かった」


都市部中心までの間に会う人を救っている、今は男性5人に女性2だ、すでにスキルで治したから変化はない、だが全員ウイルスにやられていた、もし俺たちでない者に救助されていたら変化が起こり、救った者たちを襲っていた、それが繰り返されて助かる人は何人いるのだろうか。


「おいあんたたち!どうして都心に行くんだ、あそこは」


「出来るだけ助けるためだ、俺たちはその為に来た」


制服の男子が言ってきた、自分が助かりたいからなのだろうが、俺たちといるんだ一番安全なんだよ。


「だけどよ」


「いやなら離れてくれかまわん、俺たちは進まなければいけないんだ、だがこれだけは言っておくぞ、救助ヘリが都市部中心に降りる予定だ、それに乗れなければ生存は期待できないぞ、わかるだろ?」


男子が黙った、だがまだ嫌そうだ、他の男子もだな、治療スキルは体に入ったウイルスを除去しただけだ、もう一度体に入ったらまたスキルを使わないと変化を起こす、そして治療スキルでは変化が起きたら治せないんだ、早くワクチンが欲しいな。



「11号」


しばらく進み都に入ったと思うくらいの建物が並び始めると救出した人は23人になった、そして俺は手のサインで11号を救出場所に向かわせた、いつもは俺と11号どちらかは集団に残るのだがその時は急だった。


「きゃー!」


「む!?近いな、おい体格がいいからこれを渡しておく、俺たちが帰って来るまでここを動かずみんなを守ってくれ」


「あ、ああ任せてくれ」


さっき意見をしてきた男子と他にも何人かにナイフと刀を渡した、銃などの飛び道具は訓練が必要だからな、だがそれがいけなかった。

「10号帰ったきたか」


「どうしてこれだけしかいない!?他の奴はどうした!」


俺と11号が話してると1人の女性がおろおろしながら前に出てきてくれた、この子はさっきの男子と同じ場所で助けた子だな、後ろにもう1人隠れるようにして見てきている。


「あ、あの人達は向こうに行きました、わ、私たちは置いていかれたんです」


なるほどな俺たちが帰って来る前に移動したかったからそのままにされたのだろう。


「しょうがない、武器は渡したんだ運が良ければ助かるだろう、俺たちは急ぐぞ」


「あ、あの」


「ん!どうした?」


俺が出発しようとしたらさっきの女子が聞いてきた、急ぐんだが何故か涙目だ。


「わ、私たちあの人たちに・・・ら、乱暴されそうだったんです、助けてくれてありがとうございました」


「そうだったのか、こんなことを言うのもなんだが、この騒動が起きて運が良かったな」


そう言って頭を撫でた、丁度いい高さにあったし、どう見ても中学生くらいの子供だ、今の俺は本体よりも大人になっている、全部が同じだと後々困るからな。


「こ、子供扱いですか!」


「ははは、怒る元気が出て何よりだ、さぁ行くぞ」



そう言って都心に向かった、俺たちの助けた数はさほど多くない、問題は反対側のビルが多く建っている方だ。

こちら側は住宅地でほとんど人がいなかった、時間が夕方前だからな襲撃も少しだった、向こうはかなりの戦闘をする事になるだろう。


《そして南側では》


「マガジンをくれ14号」


「あいよ12号、ホイっとそっちはまだ平気かい13号」


「ああ問題ない14号、突撃した15号と16号ももう直ぐ来るぞ」


俺は分身12号、南側に着いて大声を出し、ビルの人たちで無事な人を探しながら道を歩いて今、100人の人を囲んで守っている。


「あ、あんたたちすごいな」


「そうですかぁ、まぁそうかもですね、はは」


14号は明るく返答していた、じっさいそうでもしていないと救出した人たちの緊張はいつ切れるか解らない状態だ。


「よし!二人が帰って来た、進みながらまた始めるぞ、14号」


「オッケーじゃあいくよ!ご近所の皆さま救助隊です!!まだ無事な方は顔を出してください、声は出さないで下さい、僕たちが大声を出している今のうちに移動をしてください、必ず助けますゆっくり音を立てず頑張ってください!」


14号が大声を出して周りに知らせた、これも救助した人たちのストレスになっている、だがこればかりはしょうがない。


「やっぱりもっと人手が欲しいですよ12号、はいこれ飲んで、すっきりするよ」


「あ、ありがとうございます」


14号が助けた人のケアをしながら言ってきた、救助しているのはこの都市だけじゃないんだ、この人数でやるしかない、だがこれは念話や思考共有で分かる、なのに声にして出したのは周りに知らせる為だ。


「他の隊は別の都市に行ってるだろ、ここは俺たちだけでなんとかするんだ、何心配ない都市の中心まであと少しだ」


「そうですけど、ねぇ君なにか知らない?警察とかさ」


そう俺たちは情報が足りない、今だって大声で叫んで被害者をなるべく減らすことを優先している、助けられるのは一握りだからな、それなら他で助けているはずの組織にも期待したいところだ。


「え!?た、確か警察がどこかの学校で集まってるって聞きました」


「ほんと!?じゃあその人たちの宣伝もしなくちゃね、また行くよ12号」


そう言って14号が叫び始めた、その都度感染者が群がるが俺たちで殲滅している、かなり倒した、恐らく万は超えているだろう。


「ここが目的地だ」


俺たちが付いたのはかなり広い公園だ、ここなら何機ものヘリが降りられる。


「やっと着いた、助かるんだ俺たち」


助けた人たちが涙を流して喜びあっている、だがまだ遠くに感染者がいる、俺たちはそれを排除しているがかなりの数だ。


「まぁ近づかせないけどな、マガジンを」


「はいよ、ホイっと・・・あれ?あの子こっち来るよ」


14号の向いている方を見るとさっき警察の情報をくれた子だ、あの子はあれから14号と結構楽しそうに話していたな。


「あの14号さん」


「どうしたの?そろそろヘリが来るよ」


「助けてくれてありがとうございました・・・あのまた会えますか?」


「う~んと・・・」


14号が困っている、無理もない俺たちはこの後また同じようにこの都市を巡回する、何度もやって救出して行くんだ。


「そ、そうですよね、ごめんなさい私」


「いいんだよ僕も嬉しい、これが全部終わったら会いに行くよ」


救出が終われば問題ないだろう、まぁ相当先だがあの顔ならきっと待っててくれるだろう。


「ねぇ12号」


「解ってるよ14号、さっさと終わらせよう、見落としが無いようにな」


「うん」


まったく分身同士て慰め合ってどうするんだ、まぁ俺は分隊長になってるからしょうがないが、それでも違和感があるぞ。
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