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4章 コスで救済

87話 目標はリュウ

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「いったな、行くぞドミノン」


俺とドミノンは、サーヤたちが酒場の手伝いをすると言い出した時、負けられないって思った、だから俺たちもある場所に向かったんだ、そこは俺たちの憧れの場所で来年その職業になる。
ふたりで冒険者ギルドの扉を通り受付に向かった、周りの冒険者がすっげぇ見て来る、俺達は気にしないで受付まで行くと女の人が笑顔を見せてくれた。


「君たちは・・・なんの御用ですか?」

「俺達、来年冒険者になるつもりなんだ、だから今から訓練したい、場所を貸してくれ」


頭を下げてお願いした、ちょっと言葉使いがなってなかったけど俺の精一杯だ、ドミノンも同じ様に頭を下げてる、受付の姉ちゃんはダメですと一言で断って来た。
顔を上げると困った表情をしていた、ギルドに所属してないからダメなんだそうだ、だからと言って俺たちは成人してないから正式には入れない、何度もお願いしたけどダメなんだ。


「頼むよ姉ちゃん」

「そう言われましても規則ですからね」

「後4ヶ月したら絶対冒険者になるんだ、何とか頼むよ」


年が明けるのは後4ヶ月、孤児院でも訓練は本格化し始めた、ダンジョンでの戦闘以外も何かしておきたい、サーヤたちだってその為に酒場に行ったんだ、負けられないんだよ。
どうしてもダメだと言われ続け、俺は強さを見せようと周りの冒険者を痛めつけてしまおうかと考えた、だけど振り向く前に誰かに肩を掴まれたんだ、その手からすごい力を感じた、振り向くと作業服の兄ちゃんが立ってたよ。


「ショウヨンさん!」


受付の姉ちゃんから嬉しそうに声を掛けれた兄ちゃんは笑顔で状況を聞いていた、どうやらショウヨンとか言う兄ちゃんは顔が効くらしい、俺はやっと訓練が出来るって期待した、だけどギルドは使えないと言われたよ。


「ど、どうしてだよ!」

「それは規則だからだ、ルールは守らないといけない、だけど話は分かったから僕の店に来なさい、訓練を付けてあげるよ」


ショウヨンの兄ちゃんは、受付に大きな袋を置いて俺たちに訓練をしてくれると約束してくれた、俺とドミノンは訓練が出来るって嬉しかったけど、受付の姉ちゃんの顔が青かったのが気になったな。
袋の確認もしないまま受付の奥に下げたからなおさら気になった、ショウヨンの兄ちゃんが受付で待ってる時、ドミノンが隣の受付で仕事をしてる姉ちゃんに、あれには何が入っているのか聞いたんだ、俺は兄ちゃんが誰かに似てると見てることしかできなかった、それには魔石が入っていたらしい。


「あんなに大きな袋に入ってたのか?」


ドミノンに聞いて、つい俺は声が出た、それに反応したのはそこにいた全員だ、魔石大よりも大きな袋だからざわ付が凄い。


「ドミノンなら入りそうだったあの袋いっぱいに?」

「僕たちの戦うモンスターはドラゴンだからね、あれでも小さい方さ」

「「ドラゴン!?」」


そこで俺は思い出すことが出来た、ショウヨンさんはエリナ姉とリュウの知り合いだ、一度だけ孤児院にも来ていた事がある、とんでもない人に協力を求めてしまったのかもっと、少し緊張したぞ。
だけど訓練にはもってこいだ、ドミノンも意気込みを感じる顔になってたぜ、場所は肉屋と書かれた店だったけどな。


「さて、ふたりの事はリュウから聞いてる、だから腕を見る事はしない」


店の中に入ると、奥に通されそこには見た事のある門があった、早速実戦だぜ!っと、俺とドミノンは気合が入ったよ、どうしてここにこれがあるんだって突っ込みは頭になかったな。
先頭はショウヨンさんだ、だけど門を通ると俺たちの知ってるダンジョンじゃなかった、景色は同じだけど空気がピリピリしていて違うんだ。


「分かったかなふたりとも、ここはエリナやリュウが間引きしたダンジョンではない、下手をしたら死に危険がある本物のダンジョンだ」


すっげぇ怖いぜ、ドミノンも俺も震えてしまった、だけど嬉しくてたまらない方に切り替えたんだ、俺たちは冒険者になる、やっと本当の冒険が出来るんだぜ。
ショウヨンさんを後ろにして俺たちは歩き出した、分岐には小さなトカゲが二本足で立ってたよ、見た目リザードマンだからちょっとガッカリだ。


「何だよあれは、ほんとにドラゴンかよ」


ドミノンも期待外れだと剣を抜こうと手を添えた、だけどそれがいけなかった、太刀を抜く前に小さなドラゴンが突撃して来たんだ、その速度は今まで見た誰よりも速かった、エリナ姉の箒もリュウの突きも敵わない。
蹴りをまともに受け腹を抑えその場に倒れた、痛くて動けねぇんだ、横でドミノンも何かを食らったみたいで倒れてるよ。


「やれやれ、君たちは今死んだよ、本来なら誰も助けてくれない、エリナやリュウが悲しむね」

「ま、まだまだ・・・俺はまだいける」


太刀を杖に立ち上がったけど、小さなドラゴンはショウヨンさんによって倒されてた、ドロップ品は小さな肉と魔石だった、ギルドで見た魔石だ。
あの細かった体のどこに入っていたんだと突っ込みたいぜ、どう見ても魔石の方が横幅はある大きさだ、そう思っているとショウヨンさんが説明に入った、倒したドラゴンはスピードドラゴンと言って、ここで最速だそうだ、肉は引き締まって美味いらしいよ。


「まだダンジョン名を言ってなかったけど、ここは君たちも来たことのある肉ダンジョン、階層は30よりも下だよ」

「「!?」」


俺たちが入っているのは20階までだ、それでもサーヤたちがいてギリギリだった、怖いっと正直思った、だけどこれが本当の戦いなんだ、命のやり取りはこれからって訳だ。
ダメージはポーションで治し仕切り直しだ、今度は負けないぜ。


「あ、当たらねぇぇーー!!」


少し進んだ先に同じドラゴンがいた、先手を取って柄に手を添えたままで切り込んだ、ドラゴンに軽く躱されるのは想定内だぞ、俺の後ろには速度重視のドミノンが構えている、いつもの勝利パターンだと後ろを振り向くと、ドミノンも攻撃を躱されていた、今の連携をして避けられたのは初めてだぜ。
ショックを受けていた隙をドラゴンに取られ、俺たちはまた悶絶するほどの攻撃を受けた、ふたりで何度も倒れては反撃したんだ、ショウヨンさんがいなかったら俺たちは10回は死んでいた、1体も倒せないままで帰る時間だ。


「畜生ー!悔しいぜ」

「ん、明日は絶対倒す!」


店に戻った俺たちは決意した、ボロボロだけどまだまだ諦めないぜ、だけど全然倒せる気がしねぇ~どうすりゃいいんだ。
ショウヨンさんにコツを教わろうと視線を向けた、やれやれって感じで教えてくれたんだ。


「「1秒を1秒と思うな?」」

「そうだよふたりとも、神経を研ぎ澄まし感覚を広げるんだ、まずは高速の領域、次が音速で最後が神速と上がって行く、それを習得すれば倒せるね」


スピードドラゴンは音速だと教えてくれた、ふたりでなら高速を習得すれば勝てるとも言ってくれたんだ、俺達ならやれるそう言ってくれたんだぜ。
確信を持って行ってくれたその言葉は、俺たちにとってすごくうれしいモノだった、今まではエリナ姉の優しい言葉ばかりで甘えていたんだ、これならリュウにだって勝てるかもしれない。


「何よアルミク、そんなにボロボロになって」


次の日の朝、ボロボロになってるのをサーヤに気付かれた、なんでもねぇって言ったけどしつこく聞いて来た、サーヤたちに負けたくねぇなんて言えるわけねぇよ。
エリナ姉たちが帰って来た時、サーヤたちは褒めてもらう気だ、俺たちも一緒に褒めてもらうんだ、そして俺はあいつに決闘を申し込む。
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