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4章 コスで救済

79話 先生と呼ばせて

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主であるエリナ姉さんがアルミクたちと湖に向かって、僕たちは3人は手を振って見送りました、そこまでは良かったんです、でも船が見えなくなったらサーヤとミーオの態度が一変しました。
僕を睨んできてため息を付かれたんだ、どうやら僕が気に入らないみたいです。


「どうしてあなたなのよ、エリナ姉に教わりたかった」

「うん、とても不満」


かなり嫌がられているので僕は説得に入ります、それは言葉ではなく行動です、冒険者や民衆が好きな料理を作っていき、ふたりに見せたんだ。
テーブルに並んだ料理は、何の変哲もない料理です、でも味は違うんだ。
塩しか使えない現状で素材を生かした料理に仕上げたんだ、一口食べればそれは分かります、だけどサーヤとミーオは食べてくれないよ、普通過ぎるって言ってね。


「だからエリナ姉が良かったのよ、こんなの作れるわ」

「サーヤそうまで言うなら食べ比べして見なよ、全然違うからね」


サーヤも作れるのかを試します、エリナで作っているのは向こうのばかりだからね、もちろんこっちのも作ってるけど指示をされながらとは一味違うんだ。
ふたりはどうなるのか眺めていきます、手際はいいです、でもやっぱりと言った感じだね。


「ねぇミーオ、これって入れて良いんだっけ?」

「確かそう」

「いやそうじゃないから!?」


香草をそのままお鍋に入れようとしたので止めました、あれが入ったら食べれない物ができます、香りの為に乗せる者なんだ、それは温めると渋みが出てしまうんだよ。
香草を二人が見てそう言えばって顔してる、言われなかったら大変な事になっていたと即座に理解したのか、急にふたりが顔色を青くしているんだ、だから入れるのは覚えていたと褒めました。


「そんなの気休めよ」

「そんな事はないよ、君たちは姉さんに指導をされて覚えていた、部分的なお手伝いはそんな物さ・・・でも君たちはお仕事にしたいんでしょ?」


姉さんから聞いていると前置きをし、冒険者の僕が指導する意味を教えたんだ、僕の料理をここでやっと食べる決意をしてくれたんだよ。
ふたりが一口食べると、ちょっとしょっぱかったみたいです、顔をしかめ飲み物を飲んだんだ。


「冒険者にはそれが丁度良いんだよ、住民の人でもそれが丁度良い人もいる、それがどんな人か分かるかな?」


働いている人だとふたりは答えます、汗をかいて塩分が不足しているから濃い目にするんだ、子供たち用は薄味だったからどうしても薄くなるんだ、だから僕が今回教えるんだ。
エリナでも良いんだよ、冒険者じゃないのに知ってるのは変だと言う事で僕が教えるんだ。


「でも来た人達で変えるなんて出来ないよ」

「調理後に加えるんだ、そうすれば注文後に変える事が出来るでしょ、その為のお客さん視点が必要なんだよ」

「「なるほど」」


元の料理は薄味、そこに塩や特製のタレを掛ける、お客さんが分からなければそれも出来ない、でも二人なら出来るようになると応援したんだ。
まずは標準のレシピを覚える事、今日は戦いから帰って来る人が丁度います、試食してもらって今の実力を評価してもらうんだ。


「アルミクとドミノンに?」

「彼らはもう冒険者だよ、まずは二人を満足させる事を考えよう」


出来るかな?ふたりの顔はそんな表情をしていました、でもそれは簡単に出来るはずです、だってふたりは既に子供たちに食事を作っているんだからね、最初から最後まで1人で作る様に指示をしたんだ。
ふたりが調理台に向かい包丁を持ちます、レシピは紙に書いてテーブルに置いたので分かるはずです、僕はふたりの向かいで調理を始めたんだ、見て覚えてねっと目線を送ってね。
計量カップやスプーンを使ってる所を見せて正確に調理をして行くと、ふたりはマネをしながら作業を進めたんだ、下ごしらえは出来て来たので火を使った作業です、ここでは見せた後ふたりの手に手を添えて教えます。


「こ、こうですか?」

「そうそう、手首を使って腕全体でフライパンを動かすんだ、炒め物をする時は手首を使ってこうだよ」


野菜を宙に泳がせ炒めていきます、火加減も教えて行き料理がどんどん出来上がっていきます。
肉野菜炒めやソーセージの香草焼き、スクランブルエッグを作るのにふたりはかなり苦戦しています、硬かったら美味しくないとか、焦げてしまったりね。


「ほどほどの塊になってきたら、火から離すんだよ、焼き過ぎが好きな人もいるけどね」


手を添えながら火から離しトロトロ状態でお皿に盛ります、卵料理は加減が難しいので何度もやってもらいます、失敗しても他の料理に入れるので心配ないとフォローを入れます。
卵は高級品だからかなり心配そうにしてたんだよ、卵の用途は沢山あるのにね、挽肉にしたお肉と一緒にしたり、ご飯の上に乗せてお弁当の箱入れる事も出来ると説得です。


「お弁当なら硬くても良いし、お店の宣伝にもなるんだよ」

「「なるほど」」


宣伝が大事、ふたりにはそこを強調させます、新しいお店はお客さんが来店するまでが問題です、だから定番の料理を作れるようにするんだ、それでお弁当を作れば常連になってくれるはずなんだ。
ふたりのお店はそれ以外も壁があります、ふたりのお店はケーキなどのスイーツが主流です、甘いスイーツ自体が広まってません、宣伝するにも住民はあまり文字が分からないので食べに来ない可能性があるんだ。


「じゃ、じゃあどうすれば良いんですか?」

「簡単だよサーヤ、お店の外で現物を出す、一口サイズのケーキを作って販売するんだ、どうせお弁当も外で売るんだからね」


ふたりはお店を持つ事ばかりを考えています、でもお店は常連が出来てからでも遅くない、屋台から始めても美味しければお客は入ります。
僕の提案を喜んで受け入れてくれました、品物は何にしようと話が進むと、ミーオから問題点が上がったんだ、それはふたりがアルミクたちと冒険者にならなかった原因です。


「収納スキルがないからあまり持ち運び出来ない?」

「そうなんですリュウさん、アタシたちの中で出来るのはドミノンだけ・・・頑張ったけど出来なかったんです」


エリナ姉さんの時に僕も悩んでいました、どうしてか出来ない子は使えませんでした、きっと素質のようなものがあるんです、ふたりはしょんぼりして下を向き、自分たちはアルミクたちと冒険者になったら迷惑になると言ってきます。
PTには収納スキル持ちが多い方が良いですから分かる気がします、今はお店をやりたい方が強いみたいだけど、相当悩んだみたいなんです。
だから僕もここで言って良いのか悩みます、その悩みは他の人たちも思っている事で最大の問題です。


「ふたりはそれが解決したらどっちになりたい?」


少し考えたふたりは、お店を開きたいと言いました、僕がホッとしているとアルミクたちの帰りを待っていたいとか赤くなっていたんです、可愛いなと頭を撫で収納スキルの代わりなるアイテムを開発してると伝えました。
これはまだ秘密です、この国の特産品にしたいので数が出来るまで公表していないんだ。


「屋台にはそれを付ければいい、でも僕の目的は冒険者でも使えないといけなかった、だからペンダントを作ったんだ」


収納スキルが付与されたペンダントを錬金コスで作りました、大きめのダイヤモンドの裏に魔石大取り付け出来るようになったんです、収納スキルはそれだけ高度な物で大変だったんだよ。
ふたりが上達したら渡す事を約束すると、僕の事を「リュウ先生」とか呼ぶようになりました、悪い気はしないけど物で釣ったみたいで罪悪感です。
その後は変わった料理を教える為、湖に入って魚を取ったりしたんだよ。
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