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4章 コスで救済

67話 土龍の上位種

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山の麓に着いた僕たちは、兵士の列を見てちょっと焦ります、2000と話しは聞いていましたけど、実際目の前で見ると迫力があります。
隊長っぽい金色の鎧を纏った兵士に挨拶をと近づいて握手しました、相手は喋らず握手しただけ、よろしくくらい欲しかったです。


「きっと冒険者が嫌いなんだ」


嫌な事は忘れて山を登ります、最初は木が生い茂る山でした、モンスターもウルフやスネークと、手ごたえのない奴らです。
でも途中から木が無くなって行くと、石のモンスターたちが出て来る様になり、硬くて手強くなったんだ、イーザスさんたちは余裕だけど、兵士たちは苦戦してます。
僕たち下のクラスは、彼らの守りに入り戦いの援護です、兵士たちはお礼も言いません。


「んだよアイツら、礼くらい言いやがれよな」

「まあ兵士なんてそんなもんだろ、気にしたら切がない、次来るぞ」


アレーンたちがイライラし始めたけど、これからが大変だと僕に視線を送って来ました、ミスリルリザードと遭遇した場所が近いんだ、僕の索敵には出てます。
兵士たちは太刀打ち出来ないので、他のモンスターが来ないか周囲を警戒してもらい、僕らは前進です。
しばらくミスリルリザードを相手にすると、イーザスさんが変だと僕に告げてきました、それは索敵にも出ている奴が理由です、さすがと思いつつどうしたのか聞きます。


「この山には何かいる、俺たちが倒した土龍に匹敵する奴がな」

「土龍はいますよ」


指を向けた先には小山があります、それが土龍の背中だと説明したんだ、イーザスさんは陣形の真ん中だったから焦ってみんなに声をかけます、距離を取り刺激しないように移動します。
でもそいつだけじゃなく、進んだ先にも土龍がいました、ミスリルリザードもどんどん出て来て兵士たちも本格的に参加です。


「スチールクラスは陣形を崩さずミスリルリザードを頼む!俺たちは土龍を相手にする」


山の山頂付近に移動しながら戦い、イーザスさんが僕たちに指示を出してくれます、一番奥にいる大きな土龍に20人の冒険者が突撃しました。
アレーンたちと僕はミスリルリザードを倒して兵士たちも守ります、イーザスさんたちを手伝うと前の雪辱戦が出来ませんから、がんばれっと遠目で見守ります。


「今の所、兵士たちもミスリルリザードと戦っていて大人しいね・・・でも何か変かも?動きが鈍い」


何かを守ってる様にも見えます、その中心には何がいるのか、よく見ようとしたけど、銀の鎧を着た騎士たちが数名いるだけに見えます。
金色の隊長さんが見えないので、きっとあの人は戦わず守られてるだけと、僕はアレーンたちと戦闘を続けます、ダメージを受けるけどみんなは頑張ったよ、20体はいたミスリルリザードを全部倒したんだ、遠くの土龍ももう直ぐ倒れます。


「さすがイーザスさんたちだな」

「もうジャッカル!ヒールを掛けてる時は動かないの!」


サーティナがみんなを介抱し始め、僕たちの戦いは休憩中です、もしイーザスさんたちが倒れたら、僕たちが先頭に変わるんだ、兵士たちもボロボロで回復中で動けません、中心にいた騎士たちは無傷なのにね。
土龍を倒したら何かしてくる、そう思って身構えていたんだ・・・だけどそれはまだ先でした、土龍を倒したその奥の壁が崩れ、もっと大きなゴツゴツした龍が出て来たんです、みんながそれを見てそいつの名前を叫びます。


「「「「「イービルグランドドラゴン!?」」」」」


山の先端が全部ドラゴンだった、それほどの大きさでみんなはもうダメだって逃げる体勢です、兵士たちも恐怖で動けず、イーザスさんたちがしんがりを務めようとします。
僕はそれを断り、魔法を準備します、このコス最大の魔法【メテオショット】でアイツを倒すんだよ。
杖を構え、その先に魔法陣が4つ重なって現れました、杖の先から拳くらい小さな石が出現すると、石が魔法陣を通る度大きくなっていきます、それは最後の魔法陣を通る時、土龍くらいの大きさになり高速で飛びました、イービルグランドドラゴンが受けた個所は消し飛び一撃で倒したんです。


「た、倒したのか?」

「そうですよイーザスさん、ちょっと魔力が無くなってしまったけど、これで終わりです・・・兵士さんたち、解体業者をお願いします」


兵士たちの後ろには戦えない人達が待機していました、それは料理などをしてくれる人達です、ドラゴンを解体できるのはその人たちだけです、素早く作業を行い始め、僕たちは休憩です。
そこで今まで動かなかった騎士たちが前に出てきました、剣を抜き振り下ろしてきたんだ、ついに来たかとシールド魔法で防ぎます。


「何をするんですかあなた達」

「なに簡単な事さ、モンスターは殲滅した、解体ももう直ぐ終わるのだ、それなら冒険者共は用済みになった、ここで死んでもらうぞ」


答えを聞きシールドを全開にして騎士たちを吹き飛ばします、兵士たちは敵だとみんなに宣言したんです、アレーンたちは困惑していて動けないけど、イーザスさんたちは陣形を取り始めました。
数を減らすべく、僕は重力魔法を放ち兵士たちを潰します、2000人はいた兵士はこれで動けません。


「やるなリュウ君、さすがだぜ」

「イーザスさんたちは残った騎士をお願いします、僕はあいつを拘束します!」


騎士の中のアイツを捕まえれば終わり、そう思って金の兜を探します、きっとあの領主だと思ったんだ、だから索敵でそいつの前に向かった。
自分の周りにバリアを張りゆっくり歩いたんだ、相手が怖がるようにね。


「逃げないんだね、ちょっと見直したよ領主様」


イーザスさんたちが騎士たちを相手にして戦いの音が響く中、僕は相手に呟きました、でも領主は何も答えません、馬からも降りないでじっとしています。
余裕なのか、かなりの心臓を持ってると目の前まで来たんだ、火の魔法を手に覆わせ領主に向けます、さすがに動揺するかと思ったけど、それでも動きませんでした。


「投降しなよ領主様、そんなに度胸があるならきっとやり直せる」

「勘違いすんなよ遠藤・・・いや、こういった方が良いか?モグラ君」

「き、君は!?」


銀の兜を取ると、そこには僕の知ってる顔がありました、それは僕を恐怖のどん底に落とす物で膝を付いたんだ。
黒髪で髪を逆立てた男、そいつは高校時代の同級生であの時僕が見た恐怖の象徴、黒田ガクトだったんだ、そいつは笑って僕を見下ろしてきたよ。


「変わらないなモグラの遠藤、だがやっぱり俺の目は確かだった訳だ、あの時の姫コスはお前なのかよ・・・気持ちわりぃ~な」


笑ってここにいるいきさつを話したよ、僕がここに来る前に見たのはこいつだったんだ、そして追いかけて来た、あの時一緒にここに来て領主に保護されたらしいよ。
笑われてるのに、僕には力が出ませんでした、今はコスを着てるけど男性の姿です、先頭で戦う為に分身を使わず本体で戦ったけど、もう僕は怖くてだめです。


「ここでは俺は勇者らしいぜ、この後国をひっくり返す戦いを引き起こしてやる、そして俺は王になるんだ」


黒田が手をかざすと空が暗くなり始め雷鳴がとどろきます、そして僕たちに雷が襲ったんだ、黒田は【ドラゴンダンパー】と唱えたんだ。
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