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3章 コスで反逆

64話 試験

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「うわぁ~痛い」


学園の校庭で詠唱をしてる男子生徒を見て、僕はものすごく引いています、コスをしてる時のセリフを唱え魔法を使ってキメのポーズを取ってるんだ、それが的を壊したりすごい破壊力なら良かったんだけど、そうでもないから凄く恥ずかしいよ。
詠唱をしないと威力が上がらない、それは生徒にとって致命傷だからみんな長い詠唱を唱える必要がる、それは僕の番まで続き、僕はどうしようっと悩みます。


「的は10m先だからそれほど遠くないし、当てるだけなら目を瞑ってもいけるよ、ほんとに成績順なのかな」


学園で生活を始めて3ヶ月、もっと成績の良い子がいるのが分かっています、それは学問だけの話なんだ、この学園は魔法と剣術重視なんだ、それが出来ていれば星組になれる。
学問も出来た方が良い、そう思っていると僕の番になり、前にいる先生の前に立ちます、いつものように無詠唱で火の魔法を手から撃ち的に当てました、的は壊崩れ後ろにいる生徒から驚きの声を貰っています、ここでは僕の普通の威力です、もっとすごいのは当然撃てます、必要ないのでやりません。


「ただいま~」


生徒の列に戻ると、みんなに注目されたんだ、ミレーヌは拍手をしてくれてるけど、僕にとってはいつもの事です。
学園長にそれ位の実力は見せろとか言われちゃったので、僕は渋々って感じです、男子の列に並んでるアサラン君も僕を見て手を振っていました。


「さすがですわハーミオ、次はウイシャですわ」


ミレーヌも負けない、そんな意気込みを感じてウイシャが前に出ているのが見えました、魔法は得意だから問題ない、そう思って応援です。
ウイシャはいつもの様に眠そうです、昨日試験前の最後の追い上げで、夜遅くまでみんなで勉強をしていました、でもそれのせいではないんですよ、昼を過ぎないとウイシャはあんな感じです。
いつもはあれでも立派に授業を受けれます、先生に呼ばれ教科書を読まされたりしても読めるんです、あれは特技だと思っています。
でもね、今日はいつもと違う事があるんだ、危険な魔法試験が午前から行われるですよ、座ってるだけで良い学問とは違うんだ、それを夜にウイシャに伝えると「いつもと変わらないわぁ」っと返答が来ました、僕とミレーヌは何か起きるかもっと警戒しています。


「ハーミオ、平気ですわよね?」

「その為に僕たちは見てるんだよ、やり過ぎたら止めようね」


僕と同じでウイシャはいつも威力を調節しています、でも寝ぼけてるからきっと威力を間違う、そう思っていたんだ、だけどウイシャはそんな予想を斜め上に行きました、冒険者並みの水の玉を放ち、それは的を壊した後大きくカーブし先生に向かって行ったんだ、先生も反応できない速度と威力です。
先生の前に来て水魔法を殴って分散させました、一瞬の出来事で誰も分かっていません、先生さすがですと僕は元の位置に移動してから叫びました、生徒たちは先生がやったと思い込み歓声を上げます、その場は収まったと僕はホッとしたよ。


「さすがですわねハーミオ」

「しっみんなに気付かれるでしょミレーヌ」


さすがミレーヌと思いつつ気付かれない様に注意です、先生のおかげとした方が良いですからね、それに僕はこれ以上目立ちたくないんです。
魔法のテストは最後のミレーヌが終わったので次に向かいます、みんなはさっきの先生の話で盛り上がっていました、僕とミレーヌはまだ寝ぼけているウイシャに肩を貸して移動です。


「次、アサラン!」

「はい」


体育館に移動した僕たちは、木の人形を相手に剣術の試験を始めました、アサラン君が不得手にしては頑張ってます、クラスの男子2人は笑ってます。
時間を掛け木の人形を何とか倒し、僕たちに向かってガッツポーズを見せたんだ、良かったねと手を振り返し男子2人睨みます、アサラン君は相手からもダメージを受けてボロボロだけど、笑われるような成績じゃない、あの二人だってそれほどすごくないよ。
戻って来る時、アサラン君と目線が合いました、あいつらに笑われてショックを受けていたんだ、僕は親指を当てておきます、アサラン君はそれを見て喜んでいました。


「さすがハーミオですわね、特訓してなかったら彼、赤点だったのではなくて?」

「きついねミレーヌ、でも補修くらいしても平気でしょ、それよりも次はまた問題のウイシャだ」

「分かっていますわ、次はワタクシが守りますわよ」


ウイシャが木剣を構えたので、ミレーヌが補佐の準備を始めたよ、ウイシャはアサラン君同様に剣術が少し得意じゃないんだ、だけどウイシャが違うのは魔法が得意と言う事です。
魔力操作で体を強化して木の人形を倒すんだ、だけどそれは普通の時の場合です、今のウイシャはきっと失敗する、繊細な操作が必要だから寝ぼけてるとあぶない、接近戦が嫌いだから近づかない武技を使ってしまうから余計危険なんだ。
ウイシャが剣を振り降ろすと、剣技の【ウエーブショット】を飛ばしたんだ、木の人形は跡形もなく砕け、威力の残ったウエーブショットは体育館の壁まで飛びました、ミレーヌが先回りして剣技を相殺しなかったら大参事でした。


「や、やり過ぎだウイシャ君」

「ふえ?」


先生に指摘されてもまだ寝ぼけてます、寝不足なせいで長引いてるみたいだよ、舞台からウイシャを降ろしてスタミナの【ヒール】掛けました、最初からこうすれば良かったと反省です。
やっと目が覚めてボーっとしてます、ミレーヌがため息を付いてウイシャに言い寄って怒ってます、後は昼の筆記だけだからもう覚ます時間なんだ、必要はないんだよ。


「まだでしょハーミオ、あなたの剣術が残ってますわよ」


新しい木の人形が準備され、やっと僕の出番です、舞台に上がり木の剣を構えます。
木の人形は4本の腕をムチの様に動かし剣を振ってきます、アサラン君は1つずつ剣を受けボロボロになりました、ミレーヌは魔法の強化でそれを上手く避けた、ウイシャは近づかないで倒しました、僕は誰よりも早く動き木の人形の後ろに回ります、そして木剣を振ったんだ、木の人形は粉々に粉砕され先生が口をあんぐり開けました。


「先生、終わりましたよ」

「お、おうそうだな・・・では昼食にすると良い」


先生の混乱をそのままにして、僕たちは昼食を食べにいきました、午後は筆記なのでみんな元気よく机に向かいます、僕は元気よくとまではいかないけど机に向かいました。
筆記テストは僕の方が調子悪いんだ、何せ直ぐに終わっちゃうからね、ボーっとしてみんなを眺めます、答案用紙に一生懸命記入していたんだ、みんな頑張ってるなぁっとボーっとします、途中からみんなにどんな衣装が合うだろうっと見てしまったんです。
そんな時、僕に小さな魔法が飛んできます、目を向けるとミレーヌが声を出さないで口をパクパクさせて注意していました。


「そうか、僕ぼーっとしてた・・・ありがとミレーヌ」


とても小さい石の魔法で痛かったけど、魔法を最小限にして出してくれたんだ、それが無かったら僕は赤点まっしぐらでした、なんと回答が全部一つずれていたんだ、直す時間があって良かったです。
向こうの学園では、僕を誰も助けてくれませんでした、助け合える友達って良いモノです。
僕たちは赤点を取らず試験は終了しました、分身のスチールクラスの試験も見事に合格出来たそうですよ。
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