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3章 コスで反逆

53話 入学式

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「ふ~ん、こっちじゃ雪は降らないんだね」


入学式の列に並ぶミレーヌの故郷のお話を聞き、僕は小声で返事を返します、ミレーヌは横で顔も動かさないで冬でも暖かい方だと教えてくれたんだ、夏はとても暑くなるから嫌だとも言ってます、その時は魔法で水や氷を出して冷やすそうですよ。
学園長や生徒代表などの挨拶は聞き流して楽しくお喋りをしました、他の人達も同じ感じで誰も聞いてないんだ、有難いお話が長いのはどこでも同じなんだと、ちょっとグッタリです。


「ハーミオの故郷では雪をよく見ますの?」

「冬に入ると2ヶ月くらい降るんだ、とても寒いよ」


本体の情報では、長くて3ヶ月は降ると聞いています、ミレーヌはそれは大変ですわねっと言うだけです、どれだけ大変なのか分からないって顔です、その後は服の話題に変わり、どういったのが流行っているとか聞いて来たよ、ミレーヌはそう言った方にとても興味があるのが表情で分かったね、ここに来て1月経ちますけどそのお話しばかりでした、好きな男性とかは聞いてこないんですよね。
楽しくお喋りしていると式が終わりました、あくびをしてる生徒たちと一緒に移動を始め、各教室に分かれます、僕はミレーヌと一緒の星組です。


「優秀な星組は6人ですのね、今年は不作と言う事かしら?」


クラスは星・雲・山・陸に分かれています、陸は劣等生として平民たちばかりなんです、僕も平民だけど星組になってすごいとミレーヌは褒めてくれました。
僕たち以外の生徒は4人(男3人女1人)で、全員違う国の王族だそうです。
アサラン様は家の国、他はここから西南北の国になります、みんなヒューマンなのは同盟国で牽制してる同士って事ですね。


「西は海の国ウインダム、南は砂漠の国サラバサ、北は氷の国ベリーダストかぁ~・・・寒そうだね」

「そうですわね、ワタクシの国はサラバサの近くですわ、だからウインダムに行ってみたいですわ、綺麗なお洋服が沢山ありますのよ」


また服ですかっと思うけど、僕もミレーヌ並みに服には興味があります、ウインダムでは水で出来た服なんかもあると噂なんだ、分身が行ってるけど普通の人では買えない値段です、魔法の布の水バージョンでとても綺麗だそうですよ。
1学期の最後には長期休暇があるので、ミレーヌと行く約束をしました、その時までにはここの魔法糸を作れるようになりたいね。


「あらあら、随分熱心ですわねあなたたち、ワタシのお話より大切な事かしら?」

「「え!?」」


自分の席に座ってから、僕たちはずっとお喋りしていました、それは学園の説明をしていた先生をそっちのけでです、だから怒った先生が僕たちの横に来ていたのに気付きませんでした、咳ばらいをされ僕とミレーヌはやっと気づいて黙ります。


「よろしい、私はこのクラスの担任を任されたジャスチャーです、優秀な生徒たちを任され光栄に思いますわ」


次はありませんっと言わんばかりに眼鏡を釣り上げて挨拶をしてくれました、でも顔はかなり怒ってる感じです、きっと僕とミレーヌのせいです。
他の生徒からも睨まれてる視線を感じながら明日からの授業内容を聞きました、この後は学園を見て回ると言う事でみんなで教室を出ます。
ジャスチャー先生の後に一列になって歩くと、ジャスチャー先生が解説を始めます。
学園の校門を抜けると校庭が広がっていて正面に本館、その後ろに講堂や大会議室の建物があります、校庭の左に男性寮で右が女子寮です。


「今いる本館は、座学を学ぶ場で1階は食堂と職員室があります、外に見える校庭では魔法の授業を行います、剣術などは体育館ですわね」


入学式で使った講堂は表彰式や発表会でも使うそうです、後は3学期の最後に行う闘技大会です、剣術や魔法の成果を見せる機会だそうです。
寮はどちらも異性の立ち入りは禁止です、言うまでもないと先生がくぎを刺してきました。


「怒られると分かってんのに好き好んで行くかよ、なぁアクス」

「そ、そうですねエギラ様」


男子生徒の二人が仲の良い感じで言いました、でも先生がビタッと歩くのを止めたんだ、先生が振り向いて眼鏡を釣り上げ怒った感じで「それがいるんです」っと言ってきました、その迫力は二人の笑顔を消すのに十分なモノで、みんなすごく怖がってしまったんだ。
黙らせてやったと、先生はニヤリとして先に進みます、1時間歩いて学園を見終わると、教室の席でみんなグッタリです。


「つ、疲れましたわ」


ミレーヌも同じく机に倒れ込みます、服を買う時はあれだけ歩くのに?っと思いつつ、ミレーヌに【ヒール】を使ってあげました、スタミナが回復するヒールは魔力操作が難しいんだ、普通はHPを回復したり傷を塞ぐ方に向けて操作するんだけど、それを全て変換して使うのがスタミナ回復なんです、実は冒険者の訓練でも体内の魔力をスタミナに変える訓練をしています、回復したミレーヌがびっくりして僕を揺すります。
どうやったのか教えてと、凄い形相で揺すりながらせがまれました、僕は分かったから揺するのを止めてとお願いしましたよ。


「はぁ~頭がクラクラする、ひどいよミレーヌ」

「ご、ごめんなさいハーミオ・・・で、でもそれだけすごい事なのですわよ、それをあなたは簡単にワタクシにしたのですわ、それは分かって欲しいですわよ」


それはミレーヌの態度で分かります、でも覚えれば簡単だと変換の仕方を教えます、スタミナの回復は変換と混合を同時にするんだ、それは魔法陣で覚えている人達にとってかなりの難問です。
傷を治すヒールとHPを回復するヒール、なんとなく分かっているその両方を合わせる事で使えます、2つの性質の違う水を作り出し、それを混ぜるイメージを持って使ってみるように伝えると、ミレーヌは大変そうな顔をして使っていました、でも出来てるみたいです。


「で、出来ましたわ」

「出来たね、良かったね」

「そ、そんなに簡単に・・・でも、出来ましたわ」


まだ魔力を使い過ぎて疲れていますが、凄い事だと喜んでいます、僕の両手を取り感謝の言葉を何度も言ってます、直ぐに出来るなんてミレーヌの方が凄いっと逆に褒めたんだ。
ミレーヌは頬を赤くしてテレましたよ、女性になってる僕でも可愛いと思ってしまう微笑みでした。


「あなた達、もういいですかしらね?」

「「え!?」」


ミレーヌと僕が見つめ合っていたら、先生が隣に来ていました、眼鏡を釣り上げ怒っています、また話を聞いてなかったと叱られました、そして僕だけ校長室行きです。
連れ去れる時、ミレーヌがごめんと手を合わせ謝っていました、気にしてないと手を振り、僕は先生に引っ張られて一緒に教室を出ましたよ。


「あの・・・すみませんでした先生」

「いえ、私は怒っているのではありません、称賛しているのですよ、どうしたらあんなに簡単にSP回復のヒールを使えるのか、それを学園長に教えてほしいのです」


そんなに難しい事じゃないと返します、でもそれは初歩しか知らない生徒だからだと返って来たんだ、知識があればあるほど分からなくなると教えてくれたよ。
そして無理やり引っ張られていた移動も途中で止まります、手を放してくれて普通に歩くように言われたんだ、最初からそうして欲しいと目で訴えました、他の生徒にも見られ恥ずかしかったです。
ミレーヌとはこの後食事に誘うつもりだったのにっと、先生の横を歩いてぼそっと言います、食事なんて後ですとか言われちゃったよ。


「あ、あの先生、今すぐじゃなくても」

「これは急ぎの事なのです、それだけ重要な事をあなたは先ほどしたんですわよ」


急ぎ足はもっと速くなり、僕はまた両足が浮きました、片腕だけで引っ張られ普通の子供だったら悲鳴をあげてるかもです、優等生で身体強化が出来てるから乱暴に扱ってると思いたいですね。
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