上 下
86 / 141
3章 変動

86話 次の手

しおりを挟む
「では、皆さんに収納ポシェットを配ります」
「「「やったー!」」」


あの一件の責任を取り、僕の休みはデートに費やして、やっと休日に島の基地に集まる事が出来ました。
あの話し合いから1ヶ月が経過し、デートが終わって別れる時にキスを求められる土日が終わったんだ。


「アンジーにユキミキは嬉しそうだけど、説明するので座ってくださいね」
「「「はーい」」」


興奮している3人に注意をして、僕は座ってくれるのを待ってから使い方の説明に入りました。
収納ポシェットは、手を入れるだけで使えるんだけど、今回ちょっとした発見があったので、この説明会を開く事になったんだよ。


「50種類を99個入れることが出来て、大きさの上限はありません」
「上限がないの?」
「そうだよムツ、どんなものでもその数を入れる事ができて、それをみんなには二つ渡します」
「「「「「2つ?」」」」」


配る前の実験の時、ルナと発見をしました。
ポシェットを着けたままで変身すると、元の服と一緒に消えてしまい、変身を解いても服は元に戻るのにポシェットは無くなっていたんだ。


「それってどういうことですの?」
「これはねマリア、魔法少女が吸収したと考えてる」
「その証拠にな、俺が魔法少女に変身すると、ポケットに収納ポシェットのアイテムが入っていたんだ」
「そ、それはすごいですわ」


そう、クジラ戦までにこれが発見できたのは喜ばしい事で、間違いなく戦力になるとみんなに渡す事にしました。
でも、そのせいでみんなが無理をしない様にしてほしいので、次のお話に入ります。


「注意事項もあるからちょっと聞いてね」
「注意って、普通に魔法少女になれば良いんでしょ?」
「そうでもないんだよムツ、実はね、ポシェットを魔法少女が吸収した後、次に同じことをすると魔法少女のポケットが上書きされちゃうみたいなんだ」
「「「「「え!?」」」」」


ルナが頷きみんなが驚いてくる衝撃の事実で、最初にポシェットに入っていた物が消えちゃうんだ。
新しく吸収した物が上書きされ、勿体ないという声が上がったね。


「だからね、変身する時は、もう一つのポシェットは外すようにね」
「そう言う事ね、分かったわ」
「幸い、ルナとの実験ではポーション1つだけが消えたけど、次はそうもいかないからね」


そう、2つ渡すポシェットには、それぞれ違う品を入れます。
魔法少女のポシェットには、回復系と強化アイテムを入れ、普通の時のポシェットには食料などの生活製品を入れるんだ。


「事前に注意点が見つかったのは良かったんだ、最小の損害だったよ」
「そうだな、あの時は焦ったぜ」
「そうだねルナ、だからみんなも注意して使ってください」


みんなは真剣に頷いてくれて、早速ポシェットを魔法少女に吸収してもらい、収納を使えるようになりました。
後は、大量に届いてるポーション関係を入れてもらう作業を、ただひたすらに行ってもらいます。


「うぅ~50個って多すぎます、アンジー飽きてきた」
「ほんと、これはめんどくさいわね」
「ん」
「同感」


みんな凄くげんなりしてるけど、そればかりは仕方ないと僕は応援だけします。
99個じゃないだけマシではあるけど、戦闘がどれだけ長引くか分からないし、まだこの先があるんだよ。


「「「「「終わった~」」」」」
「では、薬関係の次は」
「「「「「まだあるの」」」」」


当然でございますっと、僕は指を鳴らしてロボットメイドさんたちを呼びます。
実は、こっちの方が本命で、クジラ戦ではテストのようなものなんだ。


「まだ本当の戦いは続くんだから、これで底上げをします」
「底上げって」
「これって、ポッ〇ー?」


ルナとセイヤが不思議そうだけど、気持ちは分かるけれど、女神様の趣味なので諦めてもらいます。
でも、これを貰って説明を読んだ時、さすがっと思ったんだよ。


「中身もそのまんまね、これを入れるってことは非常食?」
「いやいや違うんだよムツ」
「甘い物」
「大切」
「今食べちゃダメだからねユキミキ」


みんなにツッコミを入れて、説明よりも食べて試した方が早いと、開けてしまった1個を皆に勧め、ぱくりとみんなが素直に食べました。
でも何も起きないから不思議そうにして来て、訓練をしないとダメなほどの効果がある事を知らせた。


「これは食べるとね、30分間能力が爆上がりするから、歩く時は気を付けて」
「うひゃっ」


お約束的な事を、歩いただけのムツがしてしまい、見事に足元を破壊して転びました。
それを見て、みんなが動こうとしないけど、そうもいかないが訓練だから仕方ないんだよ。


「普通のそれは、攻撃力だから歩く時はいつもより力を抜いてね」
「抜くって、普通に歩いてたぞムツは」
「うんそうだねルナ、更にこっちのは」
「先に進めないでよケイト」


セイヤが嫌がるけど、時間もないので粒粒が付いたのは防御だよっと、物理と魔力それぞれが上がる事を伝えます。
そしてイチゴ味はスピードで、チョコ増量タイプが基本魔力アップです。


「他にもあるんだけど、慣れるのが大変だろうから、今回はこの4つを使います」
「今回はって、ケイト様これはどれほどに上がりますの?」
「それはねマリア、20万上がります」
「「「「「げっ!?」」」」」


皆が驚いた顔で、開けられたポッ〇ーをジッと見てきて、そんなに上がるのっと顔に出ていたよ。
興味本位なのか、雪と美樹が次のポッ〇ーに手を伸ばすけど、ルナが止めに入って力が強かったのかテーブルを破壊しました。


「この状態で運動をしてもらいますから、気を付けてくださいね」
「先に言ってあげてよケイト」
「セイヤ、これは慣れるしかないんだ、頑張って」


皆を応援したけど、20万と言う数値がどれほどなのかと、マリアがそろぉ~っと手をあげて質問して来て、僕はそれに応えます。
変身後のセイヤよりも強くなっていると聞き、嘘でしょっと固まったよ。


「へ、変身してないですのよ?」
「これはね、変身後との誤差が無くなったら出そうと思っていたんだけど、クジラが大量に来ると分かったからね」
「じゃ、じゃあ変身後って」
「うん、その倍になるね」


それだけの効果があり、変身後に食べても効果は抜群です。
これは、対フィーネ戦の初期装備で奥の手はまだ他にあり、クジラを倒したという菜々美の夢は、恐らくこれを使ったんだと僕は予想しています。


「ぶっつけ本番でも良かったけど、人数が減りそうで同じ未来になるとは限らないからね」
「心配なんだねケイト」
「そうだよセイヤ、だから何でもやっておきたいんだ」


仲間に出来なかったのは、ほんとにまずい気がしてて、僕のせいかもしれないと責任を感じてるんだ。
セイヤはそれを聞いてゆっくり歩きだし、マリアとアンジーもそれに続いてくれた。
みんながんばれっと、僕は体育館の端っこに移動して応援を始めました。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話

妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』 『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』 『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』  大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。

ギルドから追放された実は究極の治癒魔法使い。それに気付いたギルドが崩壊仕掛かってるが、もう知らん。僕は美少女エルフと旅することにしたから。

yonechanish
ファンタジー
僕は治癒魔法使い。 子供の頃、僕は奴隷として売られていた。 そんな僕をギルドマスターが拾ってくれた。 だから、僕は自分に誓ったんだ。 ギルドのメンバーのために、生きるんだって。 でも、僕は皆の役に立てなかったみたい。 「クビ」 その言葉で、僕はギルドから追放された。 一人。 その日からギルドの崩壊が始まった。 僕の治癒魔法は地味だから、皆、僕がどれだけ役に立ったか知らなかったみたい。 だけど、もう遅いよ。 僕は僕なりの旅を始めたから。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

分析スキルで美少女たちの恥ずかしい秘密が見えちゃう異世界生活

SenY
ファンタジー
"分析"スキルを持って異世界に転生した主人公は、相手の力量を正確に見極めて勝てる相手にだけ確実に勝つスタイルで短期間に一財を為すことに成功する。 クエスト報酬で豪邸を手に入れたはいいものの一人で暮らすには広すぎると悩んでいた主人公。そんな彼が友人の勧めで奴隷市場を訪れ、記憶喪失の美少女奴隷ルナを購入したことから、物語は動き始める。 これまで危ない敵から逃げたり弱そうな敵をボコるのにばかり"分析"を活用していた主人公が、そのスキルを美少女の恥ずかしい秘密を覗くことにも使い始めるちょっとエッチなハーレム系ラブコメ。

スライムすら倒せない底辺冒険者の俺、レベルアップしてハーレムを築く(予定)〜ユニークスキル[レベルアップ]を手に入れた俺は最弱魔法で無双する

カツラノエース
ファンタジー
ろくでもない人生を送っていた俺、海乃 哲也は、 23歳にして交通事故で死に、異世界転生をする。 急に異世界に飛ばされた俺、もちろん金は無い。何とか超初級クエストで金を集め武器を買ったが、俺に戦いの才能は無かったらしく、スライムすら倒せずに返り討ちにあってしまう。 完全に戦うということを諦めた俺は危険の無い薬草集めで、何とか金を稼ぎ、ひもじい思いをしながらも生き繋いでいた。 そんな日々を過ごしていると、突然ユニークスキル[レベルアップ]とやらを獲得する。 最初はこの胡散臭過ぎるユニークスキルを疑ったが、薬草集めでレベルが2に上がった俺は、好奇心に負け、ダメ元で再びスライムと戦う。 すると、前までは歯が立たなかったスライムをすんなり倒せてしまう。 どうやら本当にレベルアップしている模様。 「ちょっと待てよ?これなら最強になれるんじゃね?」 最弱魔法しか使う事の出来ない底辺冒険者である俺が、レベルアップで高みを目指す物語。 他サイトにも掲載しています。

異世界の約束:追放者の再興〜外れギフト【光】を授り侯爵家を追い出されたけど本当はチート持ちなので幸せに生きて見返してやります!〜

KeyBow
ファンタジー
 主人公の井野口 孝志は交通事故により死亡し、異世界へ転生した。  そこは剣と魔法の王道的なファンタジー世界。  転生した先は侯爵家の子息。  妾の子として家督相続とは無縁のはずだったが、兄の全てが事故により死亡し嫡男に。  女神により魔王討伐を受ける者は記憶を持ったまま転生させる事が出来ると言われ、主人公はゲームで遊んだ世界に転生した。  ゲームと言ってもその世界を模したゲームで、手を打たなければこうなる【if】の世界だった。  理不尽な死を迎えるモブ以下のヒロインを救いたく、転生した先で14歳の時にギフトを得られる信託の儀の後に追放されるが、その時に備えストーリーを変えてしまう。  メイヤと言うゲームでは犯され、絶望から自殺した少女をそのルートから外す事を幼少期より決めていた。  しかしそう簡単な話ではない。  女神の意図とは違う生き様と、ゲームで救えなかった少女を救う。  2人で逃げて何処かで畑でも耕しながら生きようとしていたが、計画が狂い何故か闘技場でハッスルする未来が待ち受けているとは物語がスタートした時はまだ知らない・・・  多くの者と出会い、誤解されたり頼られたり、理不尽な目に遭ったりと、平穏な生活を求める主人公の思いとは裏腹に波乱万丈な未来が待ち受けている。  しかし、主人公補正からかメインストリートから逃げられない予感。  信託の儀の後に侯爵家から追放されるところから物語はスタートする。  いつしか追放した侯爵家にザマアをし、経済的にも見返し謝罪させる事を当面の目標とする事へと、物語の早々に変化していく。  孤児達と出会い自活と脱却を手伝ったりお人好しだ。  また、貴族ではあるが、多くの貴族が好んでするが自分は奴隷を性的に抱かないとのポリシーが行動に規制を掛ける。  果たして幸せを掴む事が出来るのか?魔王討伐から逃げられるのか?・・・

王太子さま、側室さまがご懐妊です

家紋武範
恋愛
王太子の第二夫人が子どもを宿した。 愛する彼女を妃としたい王太子。 本妻である第一夫人は政略結婚の醜女。 そして国を奪い女王として君臨するとの噂もある。 あやしき第一夫人をどうにかして廃したいのであった。

スキル運で、運がいい俺を追放したギルドは倒産したけど、俺の庭にダンジョン出来て億稼いでます。~ラッキー~

暁 とと
ファンタジー
スキル運のおかげでドロップ率や宝箱のアイテムに対する運が良く、確率の低いアイテムをドロップしたり、激レアな武器を宝箱から出したりすることが出来る佐藤はギルドを辞めさられた。  しかし、佐藤の庭にダンジョンが出来たので億を稼ぐことが出来ます。 もう、戻ってきてと言われても無駄です。こっちは、億稼いでいるので。

処理中です...