ヶケッ

ほづみエイサク

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最終章 清浄

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 !!!!!!!注意!!!!!!!
 やりすぎたので

・ホラーやスプラッター・エログロが苦手な人
・心臓が弱かったり精神状態が良くない人

 は〝読むのをお控え〟くださいm(__)m
 出来れば覚悟のある人だけ読んでください!
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――



 私は生前、よく小説を読んでいました。

 小説にはそれぞれ物語を語る『視点』というものがあります。

 一人称視点や三人称視点。

 さらに細かい分類すると、かなりの種類になるでしょう。

 その中でも近年よく使われているのが、三人称一元視点というものです。
 三人称一視点や、三人称単視点とも呼ばれたりもしますね。

 この視点は〝主人公の背後霊の視点〟と例えられることがあります。

 そして、私は〝綿貫の背後霊〟です。

 ええ、つまりはそういうことです。


 この物語はずっと、私の視点で進んでいました。


 時々感情が漏れ出てしまっていたのは、ご愛敬です。
 本当にあの泥棒猫・・・は許せなかった。

 さて、皆さんはきっと、こう思っていることでしょう。


――なんでそんなことをするのか


 ここまでお付き合いくださった素敵なあなた・・・には、真摯に答えないといけませんね。

 私が綿貫のことを愛しているからです。
 愛する存在を、多くの人に知ってほしい。認めてほしい。

 今時風に言えば、綿貫は私の『推し』なのです。
 これは『推し活』というものです。

 それだけのことなんです。

 素敵な話でしょう?
 私も皆さんもハッピーになる至高のアイディアです。


 ですけど、もう我慢できなくなってしまいました。


 もう愛があふれて止まらなくて、どうにかなってしまいそうです。

 私との最高の蜜月を忘れられていると知った時、どれだけ絶望したかわかりますか?
 きっと私を衝動的に殺してしまったことを悔いてしまったのですよね?
 それだけ私が大切な存在だったということですよね?
 他の女に行くために忘れたんじゃないですよね?
 あなたはそんな男じゃないですよね?
 やめてくださいよ?
 私だけですよ?

 おっと。こんなことをあなた・・・に言っても仕方がないですね。
 失礼いたしました。

 でも、ここで読むのをめるなんてダメですよ?

 あなた・・・には最後まで見届ける責任があります。
 それにこれから行うのは、ただの夫婦の『イチャラヴ』です。
 皆さんは、そういうのが好きでしょう?


 さて、説明はこれくらいにして、本題に戻りましょう。


 私は綿貫に対して手を伸ばそうとしました。

 ですが――


 ヶケッ!


 綿貫が『猫野郎』と呼ぶ化け物が邪魔をしてきました。

 まずはこの猫を何とかしないといけませんね。

 ヶケッと鳴く奇妙な猫のようなもの。
 これは、私が出会うより前から綿貫に憑いていた化け物です。

 おそらく、綿貫が可愛がった・・・・・猫の一匹なのでしょう。


 ヶケッ!


 化け物は健気にも、私に対して威嚇してきました。


「猫野郎……」


 その姿に感激したのか、綿貫は目をうるませてします。

 本当、おかしいですよね。
 なんで私が『悪者』みたいになっているのでしょうか。

 私は生前とほぼ同じ姿なのに対して、猫野郎は完全に化け物の姿なのに。


 そういえば、猫野郎の姿はなぜ不気味な姿をしているのでしょうか。
 皆さんも疑問に思っているはずなので、私なりの考察をご紹介しましょう。


 まず結論から申し上げますと『自分が猫だ』という自覚が薄かったからでしょう。

 事の発端は、綿貫を『本当の親』だと思い込んだこと。

 高熱が出ても見捨てず、献身的な看病をしてくれる姿を見て、そう誤解したのでしょう。
 まあ、その原因は綿貫の去勢手術のせいだったのですが。
 まだ幼い猫野郎にはわからなかったのでしょう。

 だから自分も成長すればいずれ、綿貫みたいな〝人間〟になれると信じていた。

 そんな勘違いをしたまま死んで、幽霊になった時、歪な姿へと変貌してしまった。
 人間と猫の要素が混ざり、強くなるために大きくなり、好物だった魚の鱗も生えている。

 さて以上の考察をかんがみると、綿貫を守ろうとする猫野郎の姿は、なんと愛おしいのでしょうか。

 さしずめ『親を守ろうとする子供』と言ったところですね。
 
 皆様も心打たれたことでしょう。
 でも、憎たらしくて仕方がありません。


 ヶケッ!!!!!


 突然、猫野郎は私に襲い掛かってきました。

 私は力の限り腕を振るい、猫野郎の体を吹き飛ばしました。
 

 こんな化け物に襲われたのですから正当防衛ですよね?

 おっと、忘れてはいけません。
 ちゃんと死体は隠さないといけませんね。

 だって、綿貫が魅入られてしまうでしょう?
 彼は新鮮な臓器が大好きなんですから。

 あの乙葉とかいう泥棒猫を殺したときは、そこを忘れていました。 
 死んでまで綿貫を魅了するなんて、本当に最低ですね。
 
 でも、今回はきちんと反省して、活かすことができました。

 これでもう邪魔者はいません。

 いえ、そういえば。
 この場にはもう一人いましたね。

 この老人介護施設の施設長さん。


「あ、あぁ……あああああアアアアア!!!」


 あら。
 私が化け物を退治する姿を見てしまったからでしょうか。
 悲鳴を上げて逃げて行ってしまいました。
 筋骨隆々なのに根性がありませんね。

 まあ、好都合なのでいいでしょう。
 どうせ彼は何もできません。
 少し霊感のあるだけの、ただの人間なのですから。


 これで、本当に邪魔者はいなくなりました。


 久しぶりの水入らずです。

 ああ、老いている綿貫もかっこいい。
 


「お前……お前なのか」


 私が晴れやかに笑うと、綿貫の顔がどんどん青くなっていきます。

 そして、震える唇を開く来ます。


「俺を、殺しに来たのか?」


 違いますよ。
 愛しに来たんです。


「俺は許されないことをした」


 違いますよ。
 あなたはかけがえのないものをくれたんです。


「俺は、どうすれば許してくれるんだ?」


 違いますよ。
 私には怒りも憎しみもありません。


「なあ、何か言ってくれよ!」


 なにも言いませんよ。
 だって、あの時、あなたは私の口を真っ先に塞いだではないですか。

 私は覚えていますよ。

 あなたが珍しくお茶を淹れて、私に睡眠薬を盛ったことを。
 すぐに気づいて、飲みませんでしたけど。

 寝たふりをすると、あなたは私の口を塞ぎましたね。

 最初は唇で。
 その後は柔らかいタオルで。

 そして、私のお腹に包丁を入れました。

 途中で私が騒いでも、あなたは無理やり押さえつけて、続けていました。

 ああ。
 でも、うれしかったんです。

 あなたは夜の営みには積極的ではなく、なかなか乗り気になってくれませんでした。
 いつもかなりの時間がかかっていました。

 それなのに、その時のあなたのペニスは興奮していました。
 ズボンの上からわかるほどに。

 私はそれがすごくうれしかった/////

 私の体で興奮してくれる。
 この上ない女の喜びです。


「なあ、俺は一体、なんだったんだ……。本当に人間だったのか?」


 そんなことはどうでもいいじゃないですか。
 あなたは私にとって最悪の人。
 それだけで十分ですよね?

 さて、今からすることを少し想像してみましょう。

 まず、あなたの目玉はピアスにでもしましょう。
 きっとどんな真珠にも負けませんよ。

 あなたの小腸はきれいに引き出しましょう。
 とってもキレイな首飾りになりますよ。

 あなたの髪を結んでミサンガにしましょう。
 今は白髪混じりなのでピッタリですね。

 あなたの脳をきれいにくりぬきましょう。
 とっても効能のある保湿クリームになりますよ。

 あなたの喉仏をたっぷりとねぶりましょう。
 ずっとわたしの乾きを癒してくれますよね。

 ああ、想像するだけで濡れてしまいます。
 私はあなたのスベテ・・・に囲まれて、美しくて幸せな死後を送れるのです。


「俺は、おまえに殺されるのか?」


 怯える綿貫に対して、私はとびっきりの笑みを見せました。

 大丈夫ですよ。
 あなたが死んだとしても、私の中で生き続けます。

 ああ、私も死んでいるんでしたっけ。

 まあ、そんな細かいことはどうでもいいですよね。
 お互いに、こんなに幸せなんですから。

 あなたが愛してくたことを、そのまま返します。

 まずはキスをしましょう。


「~~~~~~~~~~!!!!」


 綿貫が嘔吐してしまいましたが、とても甘い口づけでした。

 あとはタオルで口を――。
 
 あら、タオルがありませんね。

 あ、いいものがあるじゃないですか。
 猫野郎だったもの。

 ちょっと大きいので、引きちぎってタオルにしてしまいましょう。


 ブチッ ブチチ ぶちゅ


 少してこずりましたが、そこそこキレイなタオルへと変身してくれました。


「猫野郎……」


 綿貫は唖然しながら、目を見開いていました。
 おそらくは猫野郎の死体に見惚れているのでしょう。

 そんな浮気性な目玉はいりませんよね。
 順番は変わりますが、先に取ってしまいましょう。

 私が指でこめかみを圧迫すると、簡単に目玉が取れました。

 すると、綿貫は命乞いをするようにうめき声を上げ始めます。


「も、もうヤめて……くレぇ……」


 何を言ってるんですか。これからが本番ですよ。

 まずは猫野郎タオルで口を塞ぎます。

 あらまあ♪

 綿貫は今、目玉があった眼窩がんかから血の涙を流し、口を猫野郎タオルで縛られ、興奮に悶えている。

 ああ。
 なんて凛々しくて可愛らしくて、かっこよくて雄弁で、あいらしくて狂おしい。
 素敵な姿なんでしょう。


■■ヶ■■■■■■■■
■■■■■■ケ■■■■
■■■■■■■■■ッ■


 あら。
 興奮するあまり、変な笑いが漏れてしまいました。

 恥ずかしいですが、もう我慢できません。
 早速本番と参りましょう。

 ふふふ。
 本番というと少しエロティックですね。

 では早速――


 ブチュ ぐちゅ ぬチャ………………―――――――――――――――――


















――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ここまでお付き合い頂き、ありがとうございました。
最初から考えていた最終回だけに、筆がノリにノリすぎました(-"-)

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