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2章

まさかの事態

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ブルレックの攻撃を受けてどこかに飛ばされた俺が1番に見たものは、広い森のだった。
はぁ?ってことはここ…上空?
俺はやっと自分のおかれている状況を理解した。
と同時に恐ろしいほどの浮遊感に襲われた。
このままだと後10秒と少しで地面に落下するだろう。
俺は死ぬのだろうか?
一瞬だけそう思ったが、魔法なら助かるかもしれない。
そう考えたが、魔法名を唱えるより前に浮遊感は無くなった。

ーバッシャー

俺が奇跡的に湖か何かに落ちたからだ。
こんなところで死なれては困るジジイ達の干渉だろう。
「はぁ、何とか助かったが…ここはどこだ?」
俺は陸に上がって周りを見回しながら1人呟く。
「知らないわよそんなこと…それより…早く私を…助けなさいよぉ…」
「え?」
まさか独り言に返事があるとは思わず、変な声をあげてしまう。
「だ、誰だ!?」
俺はとっさに剣を構えた。
「私よ…エンヴィー帝国…姫のジャンヌよ…」
まさかこいつまで飛ばされてたとは…
今頃ブルレックの奴焦ってるだろうな。
自分のせいで姫をどこかへ飛ばしちゃったんだからな。
「だからぁ…早く…助けてってば…」
「はいはい。」
俺は渋々溺れそうになっている魔族の姫を助けてやった。
「あ…ありがとう///」
おい、照れるな。
こっちまで恥ずかしくなるから。
「何でお前までここにいるんだよ。ブルレックの魔法食らったのは俺だけじゃないのか?」
「そんなこと…私に聞かれても分からないわよ。…いきなり空にあげられたのだし。」
確かにそうだよな。対象の俺が分からないことが巻き込まれただけのこいつに分かるはずもないか…
「取りあえず森を抜けるか、村を見つけるかだな。行くぞ、えーと…」
地面に座ったままの姫をどう呼ぶべきか悩んでしまった。
「ジャンヌでいいわよ。親しい者達は皆そう呼ぶわ。貴方は?」
「俺はブレイド。うちの国の国王の甥だ。」
「貴族にしては王子に軽く話していると思っていたけれど従兄弟だったのね。」
「まぁ、おしゃべりもこの辺にして先に進もうぜ、ジャンヌ。」
「あ…うん!」
この姫こんな感じで軽いところがあるからヴェルと同じで堅苦しくないから楽で良いな。
っていうかこの世界の王族ってそういうのが多いのかな?

歩いている間にジャンヌといろんなことを話した。
お互いの国のことや戦争についてなど。
そこで分かったことだが、魔族は各国のトップが集まって戦争や国の現状について話し合うらしい。
魔族の国は、ラース王国・グラトニー王国・グリード王国・スロウス帝国・ラスト帝国・プライド帝国そして、ジャンヌ達のエンヴィー帝国の7つあるらしい。
ジャンヌ達のエンヴィー帝国は最近できた国らしく、エンプティネス王国がプライド帝国に、メランカリィ帝国がスロウス帝国に吸収されたタイミングで新たに造られたそうだ。
そのため領土が少ないので、ホーンリバー王国に戦争を仕掛けたらしい。
「人間族としてこんなことを言うのはどうかと思うけど…勝てたから良かったものの勝てなかったらどうするつもりだったんだ?」
「不意打ちだから絶対勝てるって父上達が言ってたから…」
「なるほど…これからはあまりしないでくれよ。特にラミッシュ王国は。」
「父上に言っておくわ。私を助けてくれた人がいる国だからって。」
こんな話をしていると少し開けたところに出た。
「ここは…どこだ?」
「さ、さぁ?」
森の中に木造の家、屋根にはコケが生えている。
「誰かいませんか-!」
「ちょっと!ブレイド!!」
「何だよ、この方が手っ取り早いじゃん。」
「でも、もし人間だったら…」
「大丈夫、俺が付いてるから。」
「ブレイド…///」
だから照れるなって…こっちまで恥ずかしくなるから!
こいつとフラグが立っているような気がして仕方が無い。
人間族と魔族とだといろいろと難しい気がするけど大丈夫だろうか?
「何者だ、お前達。」
こんなことを考えていると唐突に声をかけられた。
「こんにちは、俺はブレイド・フォン・ヴィトゲンシュタイン。こちらはジャンヌ・ド・エンヴィーです。」
「何故、人間族と魔族が一緒に我々エルフの隠れ里へ足を踏み入れた?幻惑の結界も張っておいたというのに…」
「俺達は魔法で上空に飛ばされてこの近くに落ちたので結界とかはよく分からないんだが…」
「それは大変だっただろう。僅かながら歓迎しましょう。勇敢なる者達よ。私はこの里の見回り役をしておりますエリック・フレッカーと申します。」
こうして俺達はエルフの隠れ里で過ごすことになった。
まずは国にどう帰るかを考えないと。
___________________

ありがとうございます。
果たしてブレイドは誰とくっつくことになるのか?
風邪が流行っておりますので皆様もお気を付け下さい。
これからもよろしくお願いします。
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