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3章
ケモミミの女の子
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ラース王国の警備隊に捕まり牢屋に入れられてしまった俺は、とりあえず回りの人間を確認することにし、向かいにケモミミの女の子を発見した。
彼女は高めの身長、整った顔立ち、鮮やかな黒い髪を1つに纏め、猫獣人特有の慎ましやかな胸を薄い布切れ1枚で包んでいる。
「まだ獣人に会ってないから存在しないと思ってたけどやっぱりいたんだ!」
俺の叫び声に驚いたのか女の子がこっちを向いた。
一応声掛けるてみるか。
「こんにちは、俺はブレイド。訳あってここに閉じ込められた人間だ。君の名前は?」
いきなり話しかけられるとは思っていなかったのか彼女は目を丸くしている。
「ウ…ウトエナ・マキです。見ての通り獣人です。2年前、何も知らずにこの国を通りがかったところ、獣人だからという理由で警備隊の方達に捕まりここに入れられました。お父さんやお母さんが心配していると思うので、国に帰りたいんです!どうか協力をしてくれませんか!?」
協力を…と言われても俺はここに閉じ込められてて……魔法も………って封じられてるのか?
手枷と足枷を付けられて、持ってた剣は取られたけど魔法の阻害はされていないような気がする。
とりあえず、ウトエナさんの檻の中に転移してみようかな?
「【瞬間移動】」
手枷と足枷と一緒にウトエナさんの檻の中に移動できた。
今思うと魔法はルビー達を召喚しているのだから使えて当たり前だな。
あ、ウトエナさん驚いてる。
そりゃそうか、いきなり目の前で話していた人間が真横に来たらそうなるよな。
「魔法は使えるみたいだから、このまま牢屋の外に出ちゃおうか?」
俺がそう提案するとウトエナさんはとても驚いて目をこれでもかという程見開いた。
まさか俺が魔法を使えるとは思っていなかったのだろう。
「【転移門】」
あ、最近無詠唱で使えるようになりました。
何回も使ってたからかな?
***
俺達が転移した先は、ジャンヌ達が待っているであろう野営地だ。
突然現れたにも関わらず、ジャンヌ達は俺を見つけて抱きついた。
勢いが強くて少し痛い。
精霊達はともかく、ジャンヌとアンナは正直キツい。
だって俺の身体はまだ8歳児だよ?
ジャンヌも8歳なんだけど魔族だからか潜在能力が違う。
「ここは…どこ……なの………?」
俺達が感動を分かち合っていると、ウトエナさんが絞り出すように言った。
「えっと…ここは俺達が今夜の野営地として選んだ場所で、あのラース王国から南に約1km進んだところだね。ウトエナさんには一時的だけど俺達のパーティメンバーとして行動してもらえるとありがたい。このまま何も持たずに魔物にでもあったら寝覚めが悪いし、王国のことももう少し知りたいしね。みんなもそれで大丈夫?」
「私達は構わないけど彼女は大丈夫なの?早く帰らないと家族とか心配しない?」
ジャンヌはそれを言っちゃダメだと思うよ。護衛の人に僕と一緒に飛ばされてそのままにしてるのに?
俺の怪訝な視線の意図に気が付いたのかジャンヌがこっちを見てから笑いをしている。
「彼女は2年前に牢屋に入れられたから両親はとても心配しているとは思うけど、今この中でラース王国についてジャンヌの次くらいには知っていると思う。だから、一時的にパーティを組んで最後は国に送ろうと思う。」
「巡回の方に少しだけ聞いた話で良かったら、全て教えたいと思います。あと、国に帰るまでの面倒も見てもらって、ごめんなさい…」
俺が国に帰れると伝えるとウトエナさんはとても喜んでくれた。笑顔が可愛いかった。
しかし、すぐに申し訳なさそうに謝ってきた。
「俺達は今、自分達の国に帰るためにいろんな国を旅してるんだ。だから1つくらい増えてもなんとま思わないよ。」
「…いえ、私の個人的な事情で迷惑をかけるのは……」
真面目な人なんだろうけど、こうなってしまうと俺としてはめんどくさい。
「…分かった。俺達はウトエナさんの国へ行きたい。そして、行き方を知っているのはウトエナさんしかいない。だから一緒に行動する。で、安全に向かうためにウトエナさんの問題を解決する。これで良い?」
「あ…はい、それなら申し訳ない気持ちは少し薄れます。」
変に気を使われるとパーティとしてやっていきにくいから良かったよ。
「それじゃあ、ウトエナさんの装備一式は明日揃えるとして…今日はご飯食べて寝ようか。」
「「はーい!」」
「は…はい。」
まだちょっと距離あるなぁ。
ウトエナさんの国に行く頃にはもう少し縮まってると良いな。
_________
ありがとうございます。
今日からもう6月ですね。
さて、気温が高くなってきておりますが、皆様、体調を崩されないようにご注意ください。
これからもよろしくお願いします。
彼女は高めの身長、整った顔立ち、鮮やかな黒い髪を1つに纏め、猫獣人特有の慎ましやかな胸を薄い布切れ1枚で包んでいる。
「まだ獣人に会ってないから存在しないと思ってたけどやっぱりいたんだ!」
俺の叫び声に驚いたのか女の子がこっちを向いた。
一応声掛けるてみるか。
「こんにちは、俺はブレイド。訳あってここに閉じ込められた人間だ。君の名前は?」
いきなり話しかけられるとは思っていなかったのか彼女は目を丸くしている。
「ウ…ウトエナ・マキです。見ての通り獣人です。2年前、何も知らずにこの国を通りがかったところ、獣人だからという理由で警備隊の方達に捕まりここに入れられました。お父さんやお母さんが心配していると思うので、国に帰りたいんです!どうか協力をしてくれませんか!?」
協力を…と言われても俺はここに閉じ込められてて……魔法も………って封じられてるのか?
手枷と足枷を付けられて、持ってた剣は取られたけど魔法の阻害はされていないような気がする。
とりあえず、ウトエナさんの檻の中に転移してみようかな?
「【瞬間移動】」
手枷と足枷と一緒にウトエナさんの檻の中に移動できた。
今思うと魔法はルビー達を召喚しているのだから使えて当たり前だな。
あ、ウトエナさん驚いてる。
そりゃそうか、いきなり目の前で話していた人間が真横に来たらそうなるよな。
「魔法は使えるみたいだから、このまま牢屋の外に出ちゃおうか?」
俺がそう提案するとウトエナさんはとても驚いて目をこれでもかという程見開いた。
まさか俺が魔法を使えるとは思っていなかったのだろう。
「【転移門】」
あ、最近無詠唱で使えるようになりました。
何回も使ってたからかな?
***
俺達が転移した先は、ジャンヌ達が待っているであろう野営地だ。
突然現れたにも関わらず、ジャンヌ達は俺を見つけて抱きついた。
勢いが強くて少し痛い。
精霊達はともかく、ジャンヌとアンナは正直キツい。
だって俺の身体はまだ8歳児だよ?
ジャンヌも8歳なんだけど魔族だからか潜在能力が違う。
「ここは…どこ……なの………?」
俺達が感動を分かち合っていると、ウトエナさんが絞り出すように言った。
「えっと…ここは俺達が今夜の野営地として選んだ場所で、あのラース王国から南に約1km進んだところだね。ウトエナさんには一時的だけど俺達のパーティメンバーとして行動してもらえるとありがたい。このまま何も持たずに魔物にでもあったら寝覚めが悪いし、王国のことももう少し知りたいしね。みんなもそれで大丈夫?」
「私達は構わないけど彼女は大丈夫なの?早く帰らないと家族とか心配しない?」
ジャンヌはそれを言っちゃダメだと思うよ。護衛の人に僕と一緒に飛ばされてそのままにしてるのに?
俺の怪訝な視線の意図に気が付いたのかジャンヌがこっちを見てから笑いをしている。
「彼女は2年前に牢屋に入れられたから両親はとても心配しているとは思うけど、今この中でラース王国についてジャンヌの次くらいには知っていると思う。だから、一時的にパーティを組んで最後は国に送ろうと思う。」
「巡回の方に少しだけ聞いた話で良かったら、全て教えたいと思います。あと、国に帰るまでの面倒も見てもらって、ごめんなさい…」
俺が国に帰れると伝えるとウトエナさんはとても喜んでくれた。笑顔が可愛いかった。
しかし、すぐに申し訳なさそうに謝ってきた。
「俺達は今、自分達の国に帰るためにいろんな国を旅してるんだ。だから1つくらい増えてもなんとま思わないよ。」
「…いえ、私の個人的な事情で迷惑をかけるのは……」
真面目な人なんだろうけど、こうなってしまうと俺としてはめんどくさい。
「…分かった。俺達はウトエナさんの国へ行きたい。そして、行き方を知っているのはウトエナさんしかいない。だから一緒に行動する。で、安全に向かうためにウトエナさんの問題を解決する。これで良い?」
「あ…はい、それなら申し訳ない気持ちは少し薄れます。」
変に気を使われるとパーティとしてやっていきにくいから良かったよ。
「それじゃあ、ウトエナさんの装備一式は明日揃えるとして…今日はご飯食べて寝ようか。」
「「はーい!」」
「は…はい。」
まだちょっと距離あるなぁ。
ウトエナさんの国に行く頃にはもう少し縮まってると良いな。
_________
ありがとうございます。
今日からもう6月ですね。
さて、気温が高くなってきておりますが、皆様、体調を崩されないようにご注意ください。
これからもよろしくお願いします。
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