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第2章
12.シアの魔法
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ロティアがシアの魔法を見たのは、ロティアがリジンのために魔法に関する情報を集めている時だった。シアもあのアンケートに協力してくれていたのだ。
『――少し話したと思うけど、わたしの魔法は物質を硬化する魔法』
『簡単に言うと、硬くするってことで良いのかな?』
『うん。それで良いと思う』
『見た目じゃわからない変化だと思うけど、どうやって気づいたんだ?』とフフラン。
『手に持ってた綿詰めのぬいぐるみが硬くなって気が付いたんだ』
シアは『母さん、すごく動揺してたよ』と少し落ち着いた声色で言った。
『もしかして、シアのご両親は魔法が使えないの?』
ロティアはすぐに『答えたくなかったら良いからね』と付け足した。
この世界では、魔法使いの生誕にはふたつの方法がある。
一つは、代々魔法使いの家に生まれる方法。この場合、古くから魔力が受け継がれているため、家族の全員が魔法を使うことができる。ロティアのチッツェルダイマー家は魔法使いの家だ。
もう一つは、魔法が使えない両親からたまたま生まれる方法だ。原因ははっきりとはわかっていない。親族の中に生粋の魔法使いがいるか、母親の胎内にいた際に妖精が近くに居たため、魔力が移った可能性がある、と考えられている。
後者の場合は、少なからず苦労をすることになる。直近三代の親族に魔法が使える者がいないと、浮気を疑われる原因になるからだ。一代で魔法が受け継がれることは稀だが、それを知らない者が浮気ではないかと想像するのも無理はないだろう。
シアは後者にあたると答えた。
『わたしの場合は、おばあちゃんが魔法使いだったから、特別奇異の目は向けられなかったけどね。まあ、わたしの話はこのくらいで良いよね。魔法を見せた方が良いかな?』
『うん。可能なら』
『オーケー。それじゃあ、このチェリータルトで試そうかな』
シアは自分の前に置かれたチェリータルトに杖を向けた。そして、三角形に切られたタルトの上を、端から端へなぞるように杖を動かした。
『よし、これでかかったはず』
『えっ、もう!』
『うん。見てて』
シアは良く磨かれたシルバーのフォークを手に取り、ケーキに刺そうとした。するとタルト生地はフォークを跳ね返した。これだけでは、単純にタルト生地が固いだけにも見える。しかしその後いくらシアがフォークを突き立てても、タルトには傷一つつかなかった。
『す、すごい! 本当に硬くなったんだね』
ロティアとフフランがポカンと口を開けながら、タルトを食い入るように見ると、シアはクスッと笑った。
『でもたぶん、実際はタルト自体を硬くしてるって言うよりも、魔法の膜でタルトを覆って硬くしてる感じなんだよね』
『魔法の膜か。面白い考え方だな。どうしてそう思うんだ?』
興味を持ったのか、フフランはシアの肩に飛び乗った。
『簡単だよ。こういう食べ物なんかを硬くすると、硬くしてない食べ物と同じペースで腐っていくんだ。硬いままカビが生えたり』
『へえ! そりゃあ面白い!』
『うへえ、嫌だねえ』
フフランとロティアの正反対の反応に、またもシアはクスッと笑った。
『だから、わたしの魔法は、物質に硬い膜を纏わせるっていうのが正しい表現なのかな』
『それじゃあ、もしこのタルトを切断魔法で切ったとしたら、中は柔らかいのか?』
シアの肩に座るフフランは興奮した様子でシアの頬に詰め寄っていく。
『いや、そういうわけでもないかな。中までしっかり硬くはなってるから、今タルトは石みたいな状態だと思う』
『それじゃあ、外側だけが硬い膜で覆われてるわけでもないってことか。うーん、不思議だ。説明が難しい魔法だな』
『いろんな人に話を聞いてるけど、また新しい種類の魔法だね。魔法って本当に不思議だなあ』
ロティアは感心したようにうなづきながら、手帳にメモをした。
『本当だね。……でも、わたしはどうせ使えるなら、もっとふつうの魔法が良かった』
シアは困ったような顔で耳の後ろを触った。艶やかな茶色の髪がサラサラと揺れる。
『そうなの?』
『……うん。わたしが最初に魔法を使った時、ぬいぐるみが硬くなったって言ったでしょう。それで他のぬいぐるみがちょっと破けちゃったんだ。耳が薄いフェルトでできてたから、そこが硬くなったことで、別のぬいぐるみの布地を裂いちゃって』
『ありゃりゃ。そりゃあ子どもの頃はさらに堪えるな』
フフランが慰めるようにシアの頬にすり寄る。
『ありがと。でも、そのあとちゃんと縫って直したから、大丈夫だよ』
シアはフフランに手を伸ばし、鳩胸を優しくなでた。
『わたしの魔法で硬くしたものは、わたしが魔法を解除しないと硬いままなんだ。硬いものって危険でしょう。特に重さがあったり、尖ってたりすると、ぶつかったり、刺さったりしたら痛いし。だから、依頼を受ける時は、どんな形状のものを硬くするのかちゃんと聞くようにしてるんだ。凶器にでもされたら困るからね』
『そんな悪いこと考える人ばかりじゃないと良いけど……』
『そうだね。平和が一番なのにね』
そう言って、シアはロティアの頭をなでた。その顔はどこかさみし気に見えた。
シアの魔法について知りたかっただけで、シアにこんな顔をさせたかったわけではなかった。
ロティアは申し訳ない気持ちでいっぱいになった。しかし、今はロティアが落ち込む時ではない。
ロティアは口角を上げてにっこりと笑った。
『ねえ、シア。わたし、シアに魔法をかけてほしいものがあるんだけど、依頼をしても良い?』
『構わないよ。どんなもの?』
翌日、シアの仕事部屋を訪れたロティアは、シアの机の上にインク瓶をいくつも並べた。星空色のインクが入ったインク瓶だ。シアはインク瓶に顔を寄せ、『きれいだね』とつぶやく。
『でしょう! フェイゼルフィアっていうキラキラした鉱物が入ったインクなの!』
ロティアはキラキラした目で答える。
『へえ! 珍しいインクだね。初めて見たよ』
『わたしも今回の依頼で初めて見たんだ。すごく気に入ってるの』
『わたしも気に入ったよ。でも、インク瓶ならそれなりの強度が保証されてない?』
ロティアは一つのインク瓶を手に取り、両手でギュッと握り締めた。
『このインクはね、わたしにとって特別なインクなんだ。だから、シアの魔法でもっと強い力で護ってほしいの。お願いできる?』
この時、ロティアはシアにリジンの話を伝えはしなかった。リジンは友人でもあり、依頼人でもある。あまりにも詳しい話は、リジンと知り合いであるサニアにしか話さなかったのだ。
――魔法に関するアンケートに協力してもらったのに、曖昧な理由で魔法をお願いするだなんて、都合が良すぎるかな。
一瞬、ロティアの頭に不安がよぎったが、次の瞬間にシアの笑顔を見ると、その不安は吹き飛んだ。
『ロティアの大事なものを、わたしの魔法で護らせてくれてありがとう。全力で魔法をかけるね』
シアは笑顔でそう言った。
その後、インクは一時的に別の瓶に移され、インク瓶だけがシアの魔法によって硬化された。シアの魔法で硬化したものは、モース硬度で表すと十度になり、耐久度は鉄と同等になる。つまりよほどのことがない限り、壊れることはない、ということだ。
『ありがとう、シア。すっごく嬉しいよ』
『良かった。ロティアに喜んでもらえて』
この時のロティアにとって、リジンの絵のインクは願いだった。自らの魔法が原因で苦しみ、絵を描くことを諦めかけているリジン。そんなリジンの絵のインクを大切に保管することは、リジンと自分を結んでくれている、そんな気がしていたのだ。
そんな大切なインクを、より強固に護ってくれたのは、他でもないシアの魔法だ。
「……シアの魔法は、大切なものを護ってくれたもん」
「ああ。そうだな」
フフランは泣き出しそうなロティアの頭に乗り、羽根の先でそっとなでてくれた。
『――少し話したと思うけど、わたしの魔法は物質を硬化する魔法』
『簡単に言うと、硬くするってことで良いのかな?』
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『手に持ってた綿詰めのぬいぐるみが硬くなって気が付いたんだ』
シアは『母さん、すごく動揺してたよ』と少し落ち着いた声色で言った。
『もしかして、シアのご両親は魔法が使えないの?』
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この世界では、魔法使いの生誕にはふたつの方法がある。
一つは、代々魔法使いの家に生まれる方法。この場合、古くから魔力が受け継がれているため、家族の全員が魔法を使うことができる。ロティアのチッツェルダイマー家は魔法使いの家だ。
もう一つは、魔法が使えない両親からたまたま生まれる方法だ。原因ははっきりとはわかっていない。親族の中に生粋の魔法使いがいるか、母親の胎内にいた際に妖精が近くに居たため、魔力が移った可能性がある、と考えられている。
後者の場合は、少なからず苦労をすることになる。直近三代の親族に魔法が使える者がいないと、浮気を疑われる原因になるからだ。一代で魔法が受け継がれることは稀だが、それを知らない者が浮気ではないかと想像するのも無理はないだろう。
シアは後者にあたると答えた。
『わたしの場合は、おばあちゃんが魔法使いだったから、特別奇異の目は向けられなかったけどね。まあ、わたしの話はこのくらいで良いよね。魔法を見せた方が良いかな?』
『うん。可能なら』
『オーケー。それじゃあ、このチェリータルトで試そうかな』
シアは自分の前に置かれたチェリータルトに杖を向けた。そして、三角形に切られたタルトの上を、端から端へなぞるように杖を動かした。
『よし、これでかかったはず』
『えっ、もう!』
『うん。見てて』
シアは良く磨かれたシルバーのフォークを手に取り、ケーキに刺そうとした。するとタルト生地はフォークを跳ね返した。これだけでは、単純にタルト生地が固いだけにも見える。しかしその後いくらシアがフォークを突き立てても、タルトには傷一つつかなかった。
『す、すごい! 本当に硬くなったんだね』
ロティアとフフランがポカンと口を開けながら、タルトを食い入るように見ると、シアはクスッと笑った。
『でもたぶん、実際はタルト自体を硬くしてるって言うよりも、魔法の膜でタルトを覆って硬くしてる感じなんだよね』
『魔法の膜か。面白い考え方だな。どうしてそう思うんだ?』
興味を持ったのか、フフランはシアの肩に飛び乗った。
『簡単だよ。こういう食べ物なんかを硬くすると、硬くしてない食べ物と同じペースで腐っていくんだ。硬いままカビが生えたり』
『へえ! そりゃあ面白い!』
『うへえ、嫌だねえ』
フフランとロティアの正反対の反応に、またもシアはクスッと笑った。
『だから、わたしの魔法は、物質に硬い膜を纏わせるっていうのが正しい表現なのかな』
『それじゃあ、もしこのタルトを切断魔法で切ったとしたら、中は柔らかいのか?』
シアの肩に座るフフランは興奮した様子でシアの頬に詰め寄っていく。
『いや、そういうわけでもないかな。中までしっかり硬くはなってるから、今タルトは石みたいな状態だと思う』
『それじゃあ、外側だけが硬い膜で覆われてるわけでもないってことか。うーん、不思議だ。説明が難しい魔法だな』
『いろんな人に話を聞いてるけど、また新しい種類の魔法だね。魔法って本当に不思議だなあ』
ロティアは感心したようにうなづきながら、手帳にメモをした。
『本当だね。……でも、わたしはどうせ使えるなら、もっとふつうの魔法が良かった』
シアは困ったような顔で耳の後ろを触った。艶やかな茶色の髪がサラサラと揺れる。
『そうなの?』
『……うん。わたしが最初に魔法を使った時、ぬいぐるみが硬くなったって言ったでしょう。それで他のぬいぐるみがちょっと破けちゃったんだ。耳が薄いフェルトでできてたから、そこが硬くなったことで、別のぬいぐるみの布地を裂いちゃって』
『ありゃりゃ。そりゃあ子どもの頃はさらに堪えるな』
フフランが慰めるようにシアの頬にすり寄る。
『ありがと。でも、そのあとちゃんと縫って直したから、大丈夫だよ』
シアはフフランに手を伸ばし、鳩胸を優しくなでた。
『わたしの魔法で硬くしたものは、わたしが魔法を解除しないと硬いままなんだ。硬いものって危険でしょう。特に重さがあったり、尖ってたりすると、ぶつかったり、刺さったりしたら痛いし。だから、依頼を受ける時は、どんな形状のものを硬くするのかちゃんと聞くようにしてるんだ。凶器にでもされたら困るからね』
『そんな悪いこと考える人ばかりじゃないと良いけど……』
『そうだね。平和が一番なのにね』
そう言って、シアはロティアの頭をなでた。その顔はどこかさみし気に見えた。
シアの魔法について知りたかっただけで、シアにこんな顔をさせたかったわけではなかった。
ロティアは申し訳ない気持ちでいっぱいになった。しかし、今はロティアが落ち込む時ではない。
ロティアは口角を上げてにっこりと笑った。
『ねえ、シア。わたし、シアに魔法をかけてほしいものがあるんだけど、依頼をしても良い?』
『構わないよ。どんなもの?』
翌日、シアの仕事部屋を訪れたロティアは、シアの机の上にインク瓶をいくつも並べた。星空色のインクが入ったインク瓶だ。シアはインク瓶に顔を寄せ、『きれいだね』とつぶやく。
『でしょう! フェイゼルフィアっていうキラキラした鉱物が入ったインクなの!』
ロティアはキラキラした目で答える。
『へえ! 珍しいインクだね。初めて見たよ』
『わたしも今回の依頼で初めて見たんだ。すごく気に入ってるの』
『わたしも気に入ったよ。でも、インク瓶ならそれなりの強度が保証されてない?』
ロティアは一つのインク瓶を手に取り、両手でギュッと握り締めた。
『このインクはね、わたしにとって特別なインクなんだ。だから、シアの魔法でもっと強い力で護ってほしいの。お願いできる?』
この時、ロティアはシアにリジンの話を伝えはしなかった。リジンは友人でもあり、依頼人でもある。あまりにも詳しい話は、リジンと知り合いであるサニアにしか話さなかったのだ。
――魔法に関するアンケートに協力してもらったのに、曖昧な理由で魔法をお願いするだなんて、都合が良すぎるかな。
一瞬、ロティアの頭に不安がよぎったが、次の瞬間にシアの笑顔を見ると、その不安は吹き飛んだ。
『ロティアの大事なものを、わたしの魔法で護らせてくれてありがとう。全力で魔法をかけるね』
シアは笑顔でそう言った。
その後、インクは一時的に別の瓶に移され、インク瓶だけがシアの魔法によって硬化された。シアの魔法で硬化したものは、モース硬度で表すと十度になり、耐久度は鉄と同等になる。つまりよほどのことがない限り、壊れることはない、ということだ。
『ありがとう、シア。すっごく嬉しいよ』
『良かった。ロティアに喜んでもらえて』
この時のロティアにとって、リジンの絵のインクは願いだった。自らの魔法が原因で苦しみ、絵を描くことを諦めかけているリジン。そんなリジンの絵のインクを大切に保管することは、リジンと自分を結んでくれている、そんな気がしていたのだ。
そんな大切なインクを、より強固に護ってくれたのは、他でもないシアの魔法だ。
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