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第2章
9.夜空色のイヤリング
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「昨日は突然お願いしたのに、協力してくれてありがとう、リジン」
「どういたしまして。お客様には喜んでもらえた?」
「すごく喜んでくれたよ! 紙に移せばいつも一緒に居られるって。これからお出かけする時は毎日持って行くって言ってたよ」
「ロティアを好きになってくれたみたいで、今度遊びに来てほしいって招待状までもらったんだ」
「それは嬉しいね」
リジンは自分のことのように喜んでくれた。
翌日、ロティアとフフランはリジンの宿泊先のホテルを訪ねていた。
今日のリジンはホテルに籠って絵を製作すると聞いたため、ロティアたちも午前の仕事をお休みにしたのだ。大き目のテーブルがあるホテルを探したかいがあり、リジンの作業ははかどっているようで、完成した絵が並べられている。
「チャーシャの絵、リジンにも見てほしいな。きっとリジンも気に入ると思うよ」
「でも俺が一緒に行ったらお邪魔じゃない?」
「リジンなら大丈夫だよ。むしろリジンも絵を描くって知ったら、喜ぶと思うぞ」
リジンは嬉しそうに「画家仲間になれたら良いな」と笑った。
「リジンの方はどう? 順調そうだけど」
「良い感じだよ。ラスペラは大きな街だから、外に出ると創作意欲が刺激されるんだよね」
リジンは昨日描いた絵を見せてくれた。
波のように押し寄せる人の群れを上から捉えた絵や、明かりが灯った背の高い建物を影絵のように描いた絵もある。
確かに都会ならではの作品だが、リジンの作品の特徴である星空色のインクのおかげで、都会の息苦しさは感じられなかった。それどころか魅力的な街に見える、とロティアは思った。
「良い絵だね」
「ありがとう。明日まとめて持って行く予定だったけど、せっかく来てくれたから、完成してる分は今渡させてもらおうかな」
「わかった。それじゃあ、依頼書持ってきてるから書いてもらえる?」
リジンは書類を受け取ると、描画用のペンから書き物用のペンに持ち替えた。
ロティアとフフランはカリカリカリとペン先が紙の上を走る音を聞きながら、窓の外を眺めた。
「あ、見て、フフラン。風船屋さんとアイスクリーム屋さんがいる」
公園の広場に大量の風船を付けた屋台と、アイスクリーム型の大きな看板を付けた荷車が見える。その周りには子どもたちの人だかりも見えた。
フフランは窓の上の方に飛び上がり、「花がすごい公園のところだな」と言った。
「帰りに寄っても良い? アイスクリーム食べたい」
「ハハッ。寒いから風邪ひくなよ」
「大丈夫! カバンにカーディガン入ってるもん!」
ふたりがクスクス笑い合うと、ふたりの後ろに現れたリジンが「俺も行こうかな」と楽し気に言った。
「あ、書類書き終わったの?」
「うん。今回もよろしくお願いします」
ふたりは真っ直ぐに向かい合って立ち、ロティアが書類を受理した。
「承りました! それじゃあそろそろ行くね。あ、でもリジンもアイス食べるんだっけ?」
ロティアが外套に腕を通そうとすると、リジンが「あっ」と声を上げた。
「待って、ロティア。今時間あるかな? 見せたいものがあって」
「えっ、何々?」
ロティアはいそいそと上着を元に戻し、フフランはリジンの頭の上に止まった。
リジンは得意げな表情でフフッと笑い、カバンの中から小さな包みを取り出した。
「昨日、オーケと営業の帰りに、ケイリーさんのお店に寄ったんだ」
「そうなの! ケイリー元気そうだった?」
「うん。すごく。途中で新聞記者さんが来ちゃったから、話は終わっちゃったんだけど」
包みの中から出てきたのは、一対のイヤリングだ。銀のワイヤーが、夜空のような色をした石を網のようにくるんでいる。ロティアは「きれい」とつぶやく。
「俺とロティア、ふたりで片耳ずつ付けたいなと思って買ったんだけど、どうかな?」
「嬉しい! 良いの!」
「もちろん。ロティアとおそろいでつけたいなと思って」
リジンはハッとして、フフランに手を添えた。
「フフランの分は無くてごめん。前にアクセサリーとかを付けるのは性に合わないって言ってた覚えがあったから」
リジンがワタワタしながら弁明すると、フフランは嬉しそうにクルックーと鳴いた。
「リジンは優しいな。そんなに申し訳なさそうな顔しなくていいぜ。リジンの言う通り、カラスに狙われると嫌だから、キラキラしたものは付けたくないんだよ」
「でも、仲間外れにみたいになっちゃったから」
シュンとするリジンには申し訳ないが、ロティアはリジンのこういうところが大好きだと思った。
ロティアだけでなく、ロティアが大事に思っているフフランにも優しいところ。
そういえば、リジンと打ち解けたのも、フフランがきっかけだった。
羽根をもがれたフフランのために、声を上げたリジンを見て、リジンを信用しようと思えたのだ。
ロティアは嬉しい気持ちがあふれそうになり、ガバッとリジンに抱き着いた。「わっ」と言って、リジンがよろける。
「ありがとう、リジン。フフランのことも、イヤリングも。すっごく嬉しい!」
リジンは眉をハの字にしてふわっと微笑み、「良かった」と答えた。
「そうだ。ロティア、俺の耳に付けてくれない?」
「えっ!」
「不器用で恥ずかしいんだけど、ケイリーさんのお店でもうまくつけられなかったんだ」
「あ、そ、そういうこと……」
ロティアはドキドキしながらも平静を装って答えた。
「ありがとう、お願いします」
リジンは肩の辺りで揺れる長い濃紺の黒髪を左耳にかけ、ロティアの方に向けた。
リジンの耳は色が白く、耳たぶは薄く、きゅっと引き締まった綺麗な形をしている。
――リジンって耳まで綺麗なんだな。それともリジンのことが好きだから、綺麗だなって思うのかな。……どっちにしてもわたし、耳を意識しすぎじゃない! 恥ずかしすぎる!
どんどん顔が熱くなっていくロティアは、イヤリングを手に取って一度深呼吸をした。すると、イヤリングのケースの傍に立っているフフランと目が合った。
「緊張しすぎだぞ、ロティア」
「……フフランの意地悪!」
ロティアはフフランに舌を出し、リジンの耳に向き直った。
まじまじと見たことなど一度もなかったリジンの耳に緊張しながら、イヤリングを装着し、ネジを回しながら「きつくない?」と尋ねる。
「うん、大丈夫そう。ありがとう、ロティア」
「どういたしまして……」
ロティアはリジンの耳元からパッと手を下ろし、うつむいた。
――リジンにまで緊張してたってバレたら、恥ずかしすぎる!
すると、リジンの手が髪を通り抜けてロティアの頬に触れてきた。
ふいにロティアが顔を上げると、リジンは穏やかな微笑を浮かべていた。
リジンと目が合うと、心臓が破裂しそうなくらい大きな音で鳴りだす。
「ロティアは自分でつける? 緊張させちゃったみたいだから」
「……! リ、リジンも気づいてたの!」
リジンはクスクス笑いながら「手の震えがわかって」と答えた。
「リジンも意地悪だ!」
「ごめんごめん。でも、困らせたかったんじゃないんだよ。ロティアに付けてほしかったんだ」
リジンはロティアの左手を取り、薬指にそっと触れた。
「結婚指輪の交換みたいじゃない?」
その言葉に、ロティアの頬はまた一気に赤くなった。
まるでプロポーズのような言葉だ。
嬉しさと気恥ずかしさで、ロティアはうつむき、小さくうなずいた。
「でも結果的に困らせちゃったね、ごめん」
「……ううん。嬉しい」
「良かった」
「……わたしも、リジンにつけてほしい」
この一言を言っただけで、本当に心臓が破裂してしまうような気がした。
ギュッと目をつぶってうつむいていると、リジンの手がまたロティアの頬に触れた。
「優しくつけるから、緊張しなくて大丈夫だよ」
「……うん」
その後、イヤリングを付けたふたりと一羽は、一緒にアイスクリームの屋台へ向かった。
リジンの想像通り、夜空色の石と銀色のイヤリングは、金髪のロティアに良く似合っていた。
ロティアの髪と一緒に右耳で揺れるイヤリングを見て、リジンは満足そうにまた微笑んだ。
「どういたしまして。お客様には喜んでもらえた?」
「すごく喜んでくれたよ! 紙に移せばいつも一緒に居られるって。これからお出かけする時は毎日持って行くって言ってたよ」
「ロティアを好きになってくれたみたいで、今度遊びに来てほしいって招待状までもらったんだ」
「それは嬉しいね」
リジンは自分のことのように喜んでくれた。
翌日、ロティアとフフランはリジンの宿泊先のホテルを訪ねていた。
今日のリジンはホテルに籠って絵を製作すると聞いたため、ロティアたちも午前の仕事をお休みにしたのだ。大き目のテーブルがあるホテルを探したかいがあり、リジンの作業ははかどっているようで、完成した絵が並べられている。
「チャーシャの絵、リジンにも見てほしいな。きっとリジンも気に入ると思うよ」
「でも俺が一緒に行ったらお邪魔じゃない?」
「リジンなら大丈夫だよ。むしろリジンも絵を描くって知ったら、喜ぶと思うぞ」
リジンは嬉しそうに「画家仲間になれたら良いな」と笑った。
「リジンの方はどう? 順調そうだけど」
「良い感じだよ。ラスペラは大きな街だから、外に出ると創作意欲が刺激されるんだよね」
リジンは昨日描いた絵を見せてくれた。
波のように押し寄せる人の群れを上から捉えた絵や、明かりが灯った背の高い建物を影絵のように描いた絵もある。
確かに都会ならではの作品だが、リジンの作品の特徴である星空色のインクのおかげで、都会の息苦しさは感じられなかった。それどころか魅力的な街に見える、とロティアは思った。
「良い絵だね」
「ありがとう。明日まとめて持って行く予定だったけど、せっかく来てくれたから、完成してる分は今渡させてもらおうかな」
「わかった。それじゃあ、依頼書持ってきてるから書いてもらえる?」
リジンは書類を受け取ると、描画用のペンから書き物用のペンに持ち替えた。
ロティアとフフランはカリカリカリとペン先が紙の上を走る音を聞きながら、窓の外を眺めた。
「あ、見て、フフラン。風船屋さんとアイスクリーム屋さんがいる」
公園の広場に大量の風船を付けた屋台と、アイスクリーム型の大きな看板を付けた荷車が見える。その周りには子どもたちの人だかりも見えた。
フフランは窓の上の方に飛び上がり、「花がすごい公園のところだな」と言った。
「帰りに寄っても良い? アイスクリーム食べたい」
「ハハッ。寒いから風邪ひくなよ」
「大丈夫! カバンにカーディガン入ってるもん!」
ふたりがクスクス笑い合うと、ふたりの後ろに現れたリジンが「俺も行こうかな」と楽し気に言った。
「あ、書類書き終わったの?」
「うん。今回もよろしくお願いします」
ふたりは真っ直ぐに向かい合って立ち、ロティアが書類を受理した。
「承りました! それじゃあそろそろ行くね。あ、でもリジンもアイス食べるんだっけ?」
ロティアが外套に腕を通そうとすると、リジンが「あっ」と声を上げた。
「待って、ロティア。今時間あるかな? 見せたいものがあって」
「えっ、何々?」
ロティアはいそいそと上着を元に戻し、フフランはリジンの頭の上に止まった。
リジンは得意げな表情でフフッと笑い、カバンの中から小さな包みを取り出した。
「昨日、オーケと営業の帰りに、ケイリーさんのお店に寄ったんだ」
「そうなの! ケイリー元気そうだった?」
「うん。すごく。途中で新聞記者さんが来ちゃったから、話は終わっちゃったんだけど」
包みの中から出てきたのは、一対のイヤリングだ。銀のワイヤーが、夜空のような色をした石を網のようにくるんでいる。ロティアは「きれい」とつぶやく。
「俺とロティア、ふたりで片耳ずつ付けたいなと思って買ったんだけど、どうかな?」
「嬉しい! 良いの!」
「もちろん。ロティアとおそろいでつけたいなと思って」
リジンはハッとして、フフランに手を添えた。
「フフランの分は無くてごめん。前にアクセサリーとかを付けるのは性に合わないって言ってた覚えがあったから」
リジンがワタワタしながら弁明すると、フフランは嬉しそうにクルックーと鳴いた。
「リジンは優しいな。そんなに申し訳なさそうな顔しなくていいぜ。リジンの言う通り、カラスに狙われると嫌だから、キラキラしたものは付けたくないんだよ」
「でも、仲間外れにみたいになっちゃったから」
シュンとするリジンには申し訳ないが、ロティアはリジンのこういうところが大好きだと思った。
ロティアだけでなく、ロティアが大事に思っているフフランにも優しいところ。
そういえば、リジンと打ち解けたのも、フフランがきっかけだった。
羽根をもがれたフフランのために、声を上げたリジンを見て、リジンを信用しようと思えたのだ。
ロティアは嬉しい気持ちがあふれそうになり、ガバッとリジンに抱き着いた。「わっ」と言って、リジンがよろける。
「ありがとう、リジン。フフランのことも、イヤリングも。すっごく嬉しい!」
リジンは眉をハの字にしてふわっと微笑み、「良かった」と答えた。
「そうだ。ロティア、俺の耳に付けてくれない?」
「えっ!」
「不器用で恥ずかしいんだけど、ケイリーさんのお店でもうまくつけられなかったんだ」
「あ、そ、そういうこと……」
ロティアはドキドキしながらも平静を装って答えた。
「ありがとう、お願いします」
リジンは肩の辺りで揺れる長い濃紺の黒髪を左耳にかけ、ロティアの方に向けた。
リジンの耳は色が白く、耳たぶは薄く、きゅっと引き締まった綺麗な形をしている。
――リジンって耳まで綺麗なんだな。それともリジンのことが好きだから、綺麗だなって思うのかな。……どっちにしてもわたし、耳を意識しすぎじゃない! 恥ずかしすぎる!
どんどん顔が熱くなっていくロティアは、イヤリングを手に取って一度深呼吸をした。すると、イヤリングのケースの傍に立っているフフランと目が合った。
「緊張しすぎだぞ、ロティア」
「……フフランの意地悪!」
ロティアはフフランに舌を出し、リジンの耳に向き直った。
まじまじと見たことなど一度もなかったリジンの耳に緊張しながら、イヤリングを装着し、ネジを回しながら「きつくない?」と尋ねる。
「うん、大丈夫そう。ありがとう、ロティア」
「どういたしまして……」
ロティアはリジンの耳元からパッと手を下ろし、うつむいた。
――リジンにまで緊張してたってバレたら、恥ずかしすぎる!
すると、リジンの手が髪を通り抜けてロティアの頬に触れてきた。
ふいにロティアが顔を上げると、リジンは穏やかな微笑を浮かべていた。
リジンと目が合うと、心臓が破裂しそうなくらい大きな音で鳴りだす。
「ロティアは自分でつける? 緊張させちゃったみたいだから」
「……! リ、リジンも気づいてたの!」
リジンはクスクス笑いながら「手の震えがわかって」と答えた。
「リジンも意地悪だ!」
「ごめんごめん。でも、困らせたかったんじゃないんだよ。ロティアに付けてほしかったんだ」
リジンはロティアの左手を取り、薬指にそっと触れた。
「結婚指輪の交換みたいじゃない?」
その言葉に、ロティアの頬はまた一気に赤くなった。
まるでプロポーズのような言葉だ。
嬉しさと気恥ずかしさで、ロティアはうつむき、小さくうなずいた。
「でも結果的に困らせちゃったね、ごめん」
「……ううん。嬉しい」
「良かった」
「……わたしも、リジンにつけてほしい」
この一言を言っただけで、本当に心臓が破裂してしまうような気がした。
ギュッと目をつぶってうつむいていると、リジンの手がまたロティアの頬に触れた。
「優しくつけるから、緊張しなくて大丈夫だよ」
「……うん」
その後、イヤリングを付けたふたりと一羽は、一緒にアイスクリームの屋台へ向かった。
リジンの想像通り、夜空色の石と銀色のイヤリングは、金髪のロティアに良く似合っていた。
ロティアの髪と一緒に右耳で揺れるイヤリングを見て、リジンは満足そうにまた微笑んだ。
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