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第1章 後編
25.オーケの願い
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「こんにちは、オーケさん。お時間作ってくださってありがとうございます」
「久しぶりだな!」
リジンと別れて約二十日が経った。ロティアは休日を利用して、ヴェリオーズのオーケを訪ねていた。
オーケは相変わらず元気に仕事に勤しんでいるようで、今も腰にエプロンを巻き、手や顔にインクが飛び散り、インクの香りをほのかにまとっていた。
「やあ、ロティアにフフラン。久しぶり。よく来たね」
お土産に持ってきたサクランボジュースが入ったグラスがふたつと、水の入った浅皿が並ぶと、ロティアはさっそく書類を取り出した。ちょっとした辞書と見間違えそうな書類だ。
オーケはサクランボジュースを一口飲んでから、老眼鏡をかけた。
「これがお手紙に書いた書類です。魔法特殊技術社の半数ほどの魔法をまとめたんですけど、まとめたって言ってもかなりの量になってしまって。全部目を通してもらわなくて大丈夫です」
「時間を見つけてすべて目を通すよ」
オーケは書類に手を伸ばし、パラパラとめくった。
「読んで思いついたことは、また後日手紙に書くよ。今はロティアが聞きたいことにできるだけ答えよう。一日でも早くリジンを苦しみから解放したいのは、わたしも同じだ。本題に入ろうじゃないか」
「はい。それでは、早速ですが、質問にお答えいただきます」
ロティアは眉をキリッと上げ、手帳を取り出して、ペンを挟んだページを開いた。
オーケは老眼鏡を外し、もう一口サクランボジュースを飲んだ。
「リジンの絵は、すべてオーケさんが作ったインクで描かれていた。これは正しいですか?」
「ああ。鉱物インクをはじめ、水彩画も油絵も、すべてわたしの作った画材を使っていたよ」
「リジンの初期の作品もですか?」
「いや、わたしの画材を使うようになったのは、だいたい二年前からだ。確かリジンが十六の時。その前はごくありふれた画材を使っていた、と聞いたことがある」
ロティアは手帳に、今のオーケの返答と「最初に魔法が発動するのは、一般的に十歳から十五歳」と書き、「関係性は薄い?」と書いて丸で囲った。
「ちなみに、紙はリジン自身が用意したものですか?」
「ああ。わたしは紙は作っていないからね。隣町にある良い画材屋を紹介したことはあるよ」
「筆やペンはどうですか?」
「そういうものも作っていないね。……ただ」
突然、オーケの顔に影が差し込んだ。のろのろとサクランボジュースのグラスに手を伸ばし、時間をかけて喉に流し込むと、もう一杯ジュースを注いだ。
「……リジンは否定するだろうが、わたしは他の画材というよりは、わたしのインクとリジンの魔法に関係性があるような気がするな」
ロティアとフフランは「えっ!」と声を上げた。
「オ、オーケさんを責めようと思って、来たわけじゃありませんよ」
「それはわかっているよ。でも、魔法は自然物との結びつきが強い。水や風、土などを操る者が多いのがその証拠だ」
ロティアは、まさしく水を操るロシュのことを思い出した。それから、社長も土を操る。
「だからリジンの魔法が、鉱物を含むインクと結びつく可能性は十分に考えられる、とわたしは思う。特に魔法は歴史が長い割に、まだ解明されていないことが多い。新しく発見されるような特殊な魔法もたくさんある。この組織の存在が、それをよく表しているだろう」
オーケはロティアの持ってきた書類をポンポンと叩いた。
「な、なるほど」
「だから『あらゆる可能性を考慮する必要がある』という話をするために、あえて一番の懸念から話したんだ。驚かせてすまなかったね」
「……いえ、オーケさんの言う通りだと思います。その『あらゆる可能性』を考えるためにも、結局はリジンに会わなきゃって、思ってるんです。あらゆる可能性を、一緒に考えて、また絵を描いてほしいんです」
オーケは微笑を浮かべたままうつむいた。いつもピンと伸びた背は曲がり、まつ毛の影がかかる目は暗い。
「……リジンの魔法のことは、知っていたんだが。彼自身がこれまでのやり方で納得していたことを知っていたから、わたしは、あえて何もしようと思わなかったんだ。彼のファンでいること。それで、彼を支えようと思っていたんだ」
「支えになってたと思います。今だって、きっと支えです。……むしろ、絵を描いてほしいっていうのは、わたしの身勝手な願いなんです」
「いや、わたしの願いでもある」
オーケがロティアの言葉に重なるように声を上げた。その顔は泣き出しそうに見える。その顔を見るとロティアまで泣きたくなり、ロティアはグッとくちびるを噛んだ。
「そんで、リジンの願いでもあったら最高だよな」
フフランはロティアとオーケの間をぐるぐる飛び回った。
「リジンって良い奴だし、リジンの描く絵って綺麗だろ。そんな最高の友達を助けるために、いろんな材料が集まったんだ。あとは会いに行くだけだな! 良い感じ、良い感じ!」
声高々に話しながら辻風を起こす勢いで飛び回るフフランを見て、ロティアもオーケもクスッと笑った。
「フフランの言う通りです。オーケさんやみんなのおかげです。ありがとうございます、協力してくださって。あの、よかったらオーケさんも一緒に行きませんか? リジンのところに」
「いや、わたしは遠慮しておくよ。今、インクの注文が殺到していてね。外出するのは難しそうだ」
オーケはサクランボジュースをグイッと飲み干すと、ギュッと目をつぶって笑った。
「ロティアとフフランから伝えておいてくれ。君の絵を待っていると。それから、君がインクを買いに、会いに来るのもね」
「わかりました。お忙しい中、お時間作ってくださって、本当にありがとうございました」
「いやいやっ。リジンが苦しんでここを離れたのに、仕事のせいで何もできないのが歯がゆかったんだ。だから、ロティアとフフランが来てくれて、少しでもリジンの役に立つ話をできたなら、それはわたしにとって幸せなことなんだ。だからむしろお礼を言わせてくれ。ありがとう、ロティア、フフラン」
「……こちらこそ、ありがとうございます。オーケさん」
ロティアとオーケの付き合いはまだ半年にも満たない。
だから今オーケが本心を伝えてくれているのか。その思考は確実にはわからない。
しかし今のオーケはさみし気に見えた。
「それじゃあ、次にここに来る時は、リジンも一緒だな」
ロティアとオーケは同時にフフランを見た。フフランはテーブルの真ん中でにっこりと笑って、ふたりを順に見つめる。
「オイラとロティア、リジンにオーケ。三人と一羽でこうしてうまいものを囲おうぜ。……ってこれだと、うまいもの食いたがってるだけかな」
フフランは羽根の先で頭を掻いて、照れくさそうに笑った。すると、オーケはフフッと笑って、フフランの背を優しくなでた。
「いや、とても素敵な提案だよ。それじゃ、わたしがおいしいクッキーを買っておこう。それならフフランも一緒に食べられるだろう」
「やった! 頼むぜ、オーケ!」
「ありがとうございます、オーケさん」
フフランは羽根を広げてパタパタと無邪気に振った。
「――ところで、リジンに会いに行くと言っていたが、実家の住所は知っているのかい?」
「いえ。でもリジンがヴェリオーズから二時間汽車に乗った先の街だって言ってたので、だいたいの目星をつけて行くつもりです」
オーケはポカンと口を開けた。信じられないものを見るような目だ。
「そんな途方のない旅に出る必要はない! ちょっと待っていなさい」
オーケはバタバタと応接室から出て行き、すぐにバタバタと戻って来た。ぐしゃぐしゃに握られたメモ書きを差し出してくる。
「これがリジンの実家の住所だ。一度、実家に向けてインクを郵送したことがある。これで間違いないだろう」
「え、で、でも、リジンの許可もなしに教えてもらうのは……」
「君はさっき言ったじゃないか、わたしの言葉を伝えてくれると。わたしの代わりに行くと思って、これを受け取ってくれ」
オーケはためらっているロティアの手をとって、メモ書きをそっと握らせた。その手は熱を帯びている。
「頼んだよ、ロティア。わたしたちの親友を共に助けよう」
「……わかりました。ありがとうございます、オーケさん」
オーケはホッとしたような顔で微笑んだ。その目には涙が浮かんでいるような気がした。
「久しぶりだな!」
リジンと別れて約二十日が経った。ロティアは休日を利用して、ヴェリオーズのオーケを訪ねていた。
オーケは相変わらず元気に仕事に勤しんでいるようで、今も腰にエプロンを巻き、手や顔にインクが飛び散り、インクの香りをほのかにまとっていた。
「やあ、ロティアにフフラン。久しぶり。よく来たね」
お土産に持ってきたサクランボジュースが入ったグラスがふたつと、水の入った浅皿が並ぶと、ロティアはさっそく書類を取り出した。ちょっとした辞書と見間違えそうな書類だ。
オーケはサクランボジュースを一口飲んでから、老眼鏡をかけた。
「これがお手紙に書いた書類です。魔法特殊技術社の半数ほどの魔法をまとめたんですけど、まとめたって言ってもかなりの量になってしまって。全部目を通してもらわなくて大丈夫です」
「時間を見つけてすべて目を通すよ」
オーケは書類に手を伸ばし、パラパラとめくった。
「読んで思いついたことは、また後日手紙に書くよ。今はロティアが聞きたいことにできるだけ答えよう。一日でも早くリジンを苦しみから解放したいのは、わたしも同じだ。本題に入ろうじゃないか」
「はい。それでは、早速ですが、質問にお答えいただきます」
ロティアは眉をキリッと上げ、手帳を取り出して、ペンを挟んだページを開いた。
オーケは老眼鏡を外し、もう一口サクランボジュースを飲んだ。
「リジンの絵は、すべてオーケさんが作ったインクで描かれていた。これは正しいですか?」
「ああ。鉱物インクをはじめ、水彩画も油絵も、すべてわたしの作った画材を使っていたよ」
「リジンの初期の作品もですか?」
「いや、わたしの画材を使うようになったのは、だいたい二年前からだ。確かリジンが十六の時。その前はごくありふれた画材を使っていた、と聞いたことがある」
ロティアは手帳に、今のオーケの返答と「最初に魔法が発動するのは、一般的に十歳から十五歳」と書き、「関係性は薄い?」と書いて丸で囲った。
「ちなみに、紙はリジン自身が用意したものですか?」
「ああ。わたしは紙は作っていないからね。隣町にある良い画材屋を紹介したことはあるよ」
「筆やペンはどうですか?」
「そういうものも作っていないね。……ただ」
突然、オーケの顔に影が差し込んだ。のろのろとサクランボジュースのグラスに手を伸ばし、時間をかけて喉に流し込むと、もう一杯ジュースを注いだ。
「……リジンは否定するだろうが、わたしは他の画材というよりは、わたしのインクとリジンの魔法に関係性があるような気がするな」
ロティアとフフランは「えっ!」と声を上げた。
「オ、オーケさんを責めようと思って、来たわけじゃありませんよ」
「それはわかっているよ。でも、魔法は自然物との結びつきが強い。水や風、土などを操る者が多いのがその証拠だ」
ロティアは、まさしく水を操るロシュのことを思い出した。それから、社長も土を操る。
「だからリジンの魔法が、鉱物を含むインクと結びつく可能性は十分に考えられる、とわたしは思う。特に魔法は歴史が長い割に、まだ解明されていないことが多い。新しく発見されるような特殊な魔法もたくさんある。この組織の存在が、それをよく表しているだろう」
オーケはロティアの持ってきた書類をポンポンと叩いた。
「な、なるほど」
「だから『あらゆる可能性を考慮する必要がある』という話をするために、あえて一番の懸念から話したんだ。驚かせてすまなかったね」
「……いえ、オーケさんの言う通りだと思います。その『あらゆる可能性』を考えるためにも、結局はリジンに会わなきゃって、思ってるんです。あらゆる可能性を、一緒に考えて、また絵を描いてほしいんです」
オーケは微笑を浮かべたままうつむいた。いつもピンと伸びた背は曲がり、まつ毛の影がかかる目は暗い。
「……リジンの魔法のことは、知っていたんだが。彼自身がこれまでのやり方で納得していたことを知っていたから、わたしは、あえて何もしようと思わなかったんだ。彼のファンでいること。それで、彼を支えようと思っていたんだ」
「支えになってたと思います。今だって、きっと支えです。……むしろ、絵を描いてほしいっていうのは、わたしの身勝手な願いなんです」
「いや、わたしの願いでもある」
オーケがロティアの言葉に重なるように声を上げた。その顔は泣き出しそうに見える。その顔を見るとロティアまで泣きたくなり、ロティアはグッとくちびるを噛んだ。
「そんで、リジンの願いでもあったら最高だよな」
フフランはロティアとオーケの間をぐるぐる飛び回った。
「リジンって良い奴だし、リジンの描く絵って綺麗だろ。そんな最高の友達を助けるために、いろんな材料が集まったんだ。あとは会いに行くだけだな! 良い感じ、良い感じ!」
声高々に話しながら辻風を起こす勢いで飛び回るフフランを見て、ロティアもオーケもクスッと笑った。
「フフランの言う通りです。オーケさんやみんなのおかげです。ありがとうございます、協力してくださって。あの、よかったらオーケさんも一緒に行きませんか? リジンのところに」
「いや、わたしは遠慮しておくよ。今、インクの注文が殺到していてね。外出するのは難しそうだ」
オーケはサクランボジュースをグイッと飲み干すと、ギュッと目をつぶって笑った。
「ロティアとフフランから伝えておいてくれ。君の絵を待っていると。それから、君がインクを買いに、会いに来るのもね」
「わかりました。お忙しい中、お時間作ってくださって、本当にありがとうございました」
「いやいやっ。リジンが苦しんでここを離れたのに、仕事のせいで何もできないのが歯がゆかったんだ。だから、ロティアとフフランが来てくれて、少しでもリジンの役に立つ話をできたなら、それはわたしにとって幸せなことなんだ。だからむしろお礼を言わせてくれ。ありがとう、ロティア、フフラン」
「……こちらこそ、ありがとうございます。オーケさん」
ロティアとオーケの付き合いはまだ半年にも満たない。
だから今オーケが本心を伝えてくれているのか。その思考は確実にはわからない。
しかし今のオーケはさみし気に見えた。
「それじゃあ、次にここに来る時は、リジンも一緒だな」
ロティアとオーケは同時にフフランを見た。フフランはテーブルの真ん中でにっこりと笑って、ふたりを順に見つめる。
「オイラとロティア、リジンにオーケ。三人と一羽でこうしてうまいものを囲おうぜ。……ってこれだと、うまいもの食いたがってるだけかな」
フフランは羽根の先で頭を掻いて、照れくさそうに笑った。すると、オーケはフフッと笑って、フフランの背を優しくなでた。
「いや、とても素敵な提案だよ。それじゃ、わたしがおいしいクッキーを買っておこう。それならフフランも一緒に食べられるだろう」
「やった! 頼むぜ、オーケ!」
「ありがとうございます、オーケさん」
フフランは羽根を広げてパタパタと無邪気に振った。
「――ところで、リジンに会いに行くと言っていたが、実家の住所は知っているのかい?」
「いえ。でもリジンがヴェリオーズから二時間汽車に乗った先の街だって言ってたので、だいたいの目星をつけて行くつもりです」
オーケはポカンと口を開けた。信じられないものを見るような目だ。
「そんな途方のない旅に出る必要はない! ちょっと待っていなさい」
オーケはバタバタと応接室から出て行き、すぐにバタバタと戻って来た。ぐしゃぐしゃに握られたメモ書きを差し出してくる。
「これがリジンの実家の住所だ。一度、実家に向けてインクを郵送したことがある。これで間違いないだろう」
「え、で、でも、リジンの許可もなしに教えてもらうのは……」
「君はさっき言ったじゃないか、わたしの言葉を伝えてくれると。わたしの代わりに行くと思って、これを受け取ってくれ」
オーケはためらっているロティアの手をとって、メモ書きをそっと握らせた。その手は熱を帯びている。
「頼んだよ、ロティア。わたしたちの親友を共に助けよう」
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