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第1章 前編
9.インク職人・オーケ
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オーケの家はリジンの家から東に続く道の先にあると、オーケは言った。東に向かって歩き始めると、景色が変化し始めた。それまで若々しい葉だけを付けていた木々に、赤色や橙色などの実が成っているのだ。木々は等間隔に植えられ、平等に陽光を浴びている。そのおかげか、木の背丈はこれまでよりも少し高く感じられる。
「この辺りは木の実の成る木が多いですね」
「ああ、もとは果樹園があった地域らしいんだ」
「今は誰も管理してないってことか?」
フフランはサクランボのような小さく赤い双子の実の成る木を、穴が空くほど見つめながら尋ねた。
たぶん食べたいんだろうな、とロティアは心の中で笑った。
「今はすべて野生化しているよ。この街に住んでるのは、わたしとリジンくらいだからね」
オーケが「好きに食べて大丈夫さ」と言うと、フフランは一目散に木の実に向かっていった。すぐに「うまいぞうっ!」とごきげんな声が聞こえてくる。
そうしてフフランが様々な木の実をついばみながら進んでいくと、突然、ブロッコリーのような木の群生が見えた。何かを覆い隠すように円を描いて生えた木々の奥に、何やらキラリと輝く建物が見える。
「あれがうちだよ」
「すごいお家ですね! ちょっとした森みたい」
「ハッハッハッ、リジンと同じことを言うんだねえ」
オーケはご機嫌にそう言って、一足先に木の群生の方へ歩いていった。そして、よく見ると開いている木々の隙間から、中へ入っていった。幹の向こう側から「おいでー」と声が聞こえてくる。
自由に飛び回っていたフフランが、ロティアの肩に飛び乗った。ふたりはニマニマした顔を見合わせた。
「素敵なところにお呼ばれされちゃったね」
「中も楽しみだな!」
見よう見まねでオーケが通った木と木の隙間を通る。すると、木の葉の濃い匂いに体中を覆われる感覚に襲われた。それはとても心地よく、ロティアは一瞬にして眠りについてしまいそうになった。
一瞬目を閉じて顔を上げたロティアは、「わあっ!」と声を上げた。
木の群生の中には、全面ガラス張りの建物が建っていたのだ。それも瓶のような形をした円柱形だ。木漏れ日を照り返すガラスは、星明りのように煌めいている。
「す、すごい。こんな素敵なお家、初めて見ました!」
「気に入ってもらえてよかった」
ドアの前に立つオーケは、うれしそうに笑った。
ガラスでできたドアを抜け、緑色のカーペットが敷かれた廊下を進んでいき、談話室に通された。素材や大きさ、色が異なる椅子以外の家具は、すべてリジンの家と同じ白色の木でできていて、レースのクロスがかかっている。
「好きな椅子に座ってくれ。おすすめは夜空色のソファかな」
「あ、オーケさんも深い青色のことを夜空色って呼ぶんですね」
「インクに携わる者の傾向だね」
「えっ! オーケさんもインクと仕事を?」
ロティアは紅茶の準備をするオーケに駆け寄った。
「おや、ロティアもかい?」
「はいっ! わたしはインクを紙から取り出す魔法が使えるんです」
「ああ! 君が! 噂はかねがね」
フフランが「ロジーア母さんの言う通りだな」とささやく。
「オーケさんはどんな仕事を?」
オーケは得意げな笑みを浮かべ、暖炉の隣に設置された飾り棚を指さした。飾り棚には燭台が置かれ、ロウソクの替わりに細長い瓶が立ててある。その中には、カラフルなインクが入っている。
「わたしはインクを作っているんだ。植物や鉱物を使ってね」
「えー! すごい! ここで作ってるんですか?」
「そうだよ。作業場がこの母屋の裏手にあるんだ。リジンの絵も、わたしのインクで書かれてるんだよ。彼は最高の友人であり、上顧客さ」
オーケはちょっといたずらっぽく笑って、茶葉を淹れたポットに、ちょうどよくわいたお湯を注いだ。たちまち花のような香りが部屋の中に流れる。
「ああ、淹れる前に聞くのを忘れてしまった。カモミールティーは飲めるかな?」
「この香り、カモミールティーなんですね。昔一度飲んで、あまり好きではなかったんですけど。今は良い香りだと思ったので、ぜひいただきたいです」
「それはよかった。フフランはお水で良いかな?」
「おうっ。ありがとよ」
お茶がはいる間に、オーケは自分が作ったインクを持ってきて見せてくれた。
「右の二つは植物油で作ったインクだ。大豆油や亜麻仁油を使っていて、いわゆる夜空色と呼ばれる色のインクだ。そして、こっちは鉱物を使ったもので、わたしとリジンは星空色と呼んでいる」
星空色だって! やっぱりね!
ロティアはうれしくなった。
「鉱物を使ったインクって初めて聞きました。何を使ってるんですか?」
「フェイゼルフィアという高度二度の柔らかい鉱物をベースに、黒鉛を混ぜて作るんだ。フェイゼルフィアが鮮やかな金色をしているから、黒鉛を入れると素晴らしい星空色になるんだ。リジンが使っているのはこのインクで、インクの中で一番美しいといつも褒めてくれるよ」
「画家さんも絶賛してるなら、間違いないですね」
ロティアが鉱物製のインクを手に取って光にかざすと、リジンの絵と同じようにきらめいた。隣に飛んできたフフランも「良い色だな」と言った。
「今思ったんですけど、リジンさんの絵って、今までの依頼の絵よりも取り出しにくかったんです。それって、この特別なインクだからなんでしょうか」
「うーん。君の魔法はわからないから、確かなことは言えないが、鉱物がたっぷり入っている分、ふつうのインクよりも重みはあるかもしれないね。でも……」
オーケはカモミールティーをカップに注ぐと、一度口を閉じた。その顔は、注ぐことに集中しているというよりは何かを言い淀んでいるように見える。
ロティアは黙って待った。
「……でも、リジンの場合は、絵を大切にしているから、消えにくいのかもしれないね。彼の執念が乗っているのかもしれない」
「……執念」
ロティアはじっくりと繰り返した。
同時に、ロティアは、自分のしていることが悪いことのように思えた。
そんなに自分の絵を大切にしている人が、お金がないばかりに絵を消さなきゃならないなんて。
「……あの、リジンさんのことを勝手にオーケさんに聞くのは、ズルいのかもしれないんですが」
オーケはカモミールティーのカップを口元に寄せながら「ん?」と言う。
「リジンさんは、画家の他に、なんのお仕事をされてるんですか」
カモミールティーを一口飲み、オーケは首を傾げた。
「あ、えっと、リジンさん、今日は別の仕事で、外に出てるんです。今のオーケさんのお話を聞いたら、わたし、リジンさんの絵を取り出して良いものなのか、わからなくなってしまって」
ロティアは膝の上でギュッと両手を握り締める。
リジンの家に来て三日目。消した絵は二枚だけだが、それでも心が痛む。それは今でも鮮明に思い出せるほど、リジンの絵を好きだと思ったからだ。
「他のお仕事をされているのなら、なんとか画材代を賄えないのかな、と思ってしまって……。そんなに、自分の作品を大切にしているのなら、絵を消さずに済む方法はないのかな、と……」
ロティアの言葉が尻すぼみになっていくと、オーケが「ふふっ」と笑った。
「ロティアは、とても優しい人なんだね」
「いえっ、そんな、独りよがりな考えです。リジンさんは消すことを望んでいるわけですから。それに、オーケさんが答えたらまずいのなら、無理に答えていただかなくて大丈夫です。わたしのせいで、オーケさんとリジンさんとの友情に亀裂がはいったら、それこそちっとも優しくありません」
「いや、リジンはあまり口数が多い方じゃないから、わたしから言ってしまうよ。彼はね、絵画の先生をしているんだ」
「……絵画の先生?」
ポカンとするロティアの代わりに、フフランがオウム返しをする。
「そう。ご令嬢やご子息の教養教育のために、お屋敷に赴いて絵を教えているんだ」
意外な返答だった。
背が高いだけで威圧感はないし、普段の柔らかい雰囲気は子どもに好かれないわけではなさそうだ。
ただ、その仕事が儲かりそうか、と聞かれると答えは「いいえ」だと思った。少なくとも画材代をすべて賄うことはでき無さそうだ。
展覧会はどれくらいの頻度で開催しているのだろうか。それだって絵を売るわけではないのなら、収入源になるのは入場料だけだ。
疑問は次々に浮かんでくる。
そのすべてをオーケに聞いても良いのだろうか。
そう思って口を開いた時、オーケが右手を上げて制止した。
「特別隠しているようなことでもないだろうから、わたしから聞いたと言っていろいろ聞いてみたらどうだい?」
「……そうですね。帰ったら、聞いてみます」
「この辺りは木の実の成る木が多いですね」
「ああ、もとは果樹園があった地域らしいんだ」
「今は誰も管理してないってことか?」
フフランはサクランボのような小さく赤い双子の実の成る木を、穴が空くほど見つめながら尋ねた。
たぶん食べたいんだろうな、とロティアは心の中で笑った。
「今はすべて野生化しているよ。この街に住んでるのは、わたしとリジンくらいだからね」
オーケが「好きに食べて大丈夫さ」と言うと、フフランは一目散に木の実に向かっていった。すぐに「うまいぞうっ!」とごきげんな声が聞こえてくる。
そうしてフフランが様々な木の実をついばみながら進んでいくと、突然、ブロッコリーのような木の群生が見えた。何かを覆い隠すように円を描いて生えた木々の奥に、何やらキラリと輝く建物が見える。
「あれがうちだよ」
「すごいお家ですね! ちょっとした森みたい」
「ハッハッハッ、リジンと同じことを言うんだねえ」
オーケはご機嫌にそう言って、一足先に木の群生の方へ歩いていった。そして、よく見ると開いている木々の隙間から、中へ入っていった。幹の向こう側から「おいでー」と声が聞こえてくる。
自由に飛び回っていたフフランが、ロティアの肩に飛び乗った。ふたりはニマニマした顔を見合わせた。
「素敵なところにお呼ばれされちゃったね」
「中も楽しみだな!」
見よう見まねでオーケが通った木と木の隙間を通る。すると、木の葉の濃い匂いに体中を覆われる感覚に襲われた。それはとても心地よく、ロティアは一瞬にして眠りについてしまいそうになった。
一瞬目を閉じて顔を上げたロティアは、「わあっ!」と声を上げた。
木の群生の中には、全面ガラス張りの建物が建っていたのだ。それも瓶のような形をした円柱形だ。木漏れ日を照り返すガラスは、星明りのように煌めいている。
「す、すごい。こんな素敵なお家、初めて見ました!」
「気に入ってもらえてよかった」
ドアの前に立つオーケは、うれしそうに笑った。
ガラスでできたドアを抜け、緑色のカーペットが敷かれた廊下を進んでいき、談話室に通された。素材や大きさ、色が異なる椅子以外の家具は、すべてリジンの家と同じ白色の木でできていて、レースのクロスがかかっている。
「好きな椅子に座ってくれ。おすすめは夜空色のソファかな」
「あ、オーケさんも深い青色のことを夜空色って呼ぶんですね」
「インクに携わる者の傾向だね」
「えっ! オーケさんもインクと仕事を?」
ロティアは紅茶の準備をするオーケに駆け寄った。
「おや、ロティアもかい?」
「はいっ! わたしはインクを紙から取り出す魔法が使えるんです」
「ああ! 君が! 噂はかねがね」
フフランが「ロジーア母さんの言う通りだな」とささやく。
「オーケさんはどんな仕事を?」
オーケは得意げな笑みを浮かべ、暖炉の隣に設置された飾り棚を指さした。飾り棚には燭台が置かれ、ロウソクの替わりに細長い瓶が立ててある。その中には、カラフルなインクが入っている。
「わたしはインクを作っているんだ。植物や鉱物を使ってね」
「えー! すごい! ここで作ってるんですか?」
「そうだよ。作業場がこの母屋の裏手にあるんだ。リジンの絵も、わたしのインクで書かれてるんだよ。彼は最高の友人であり、上顧客さ」
オーケはちょっといたずらっぽく笑って、茶葉を淹れたポットに、ちょうどよくわいたお湯を注いだ。たちまち花のような香りが部屋の中に流れる。
「ああ、淹れる前に聞くのを忘れてしまった。カモミールティーは飲めるかな?」
「この香り、カモミールティーなんですね。昔一度飲んで、あまり好きではなかったんですけど。今は良い香りだと思ったので、ぜひいただきたいです」
「それはよかった。フフランはお水で良いかな?」
「おうっ。ありがとよ」
お茶がはいる間に、オーケは自分が作ったインクを持ってきて見せてくれた。
「右の二つは植物油で作ったインクだ。大豆油や亜麻仁油を使っていて、いわゆる夜空色と呼ばれる色のインクだ。そして、こっちは鉱物を使ったもので、わたしとリジンは星空色と呼んでいる」
星空色だって! やっぱりね!
ロティアはうれしくなった。
「鉱物を使ったインクって初めて聞きました。何を使ってるんですか?」
「フェイゼルフィアという高度二度の柔らかい鉱物をベースに、黒鉛を混ぜて作るんだ。フェイゼルフィアが鮮やかな金色をしているから、黒鉛を入れると素晴らしい星空色になるんだ。リジンが使っているのはこのインクで、インクの中で一番美しいといつも褒めてくれるよ」
「画家さんも絶賛してるなら、間違いないですね」
ロティアが鉱物製のインクを手に取って光にかざすと、リジンの絵と同じようにきらめいた。隣に飛んできたフフランも「良い色だな」と言った。
「今思ったんですけど、リジンさんの絵って、今までの依頼の絵よりも取り出しにくかったんです。それって、この特別なインクだからなんでしょうか」
「うーん。君の魔法はわからないから、確かなことは言えないが、鉱物がたっぷり入っている分、ふつうのインクよりも重みはあるかもしれないね。でも……」
オーケはカモミールティーをカップに注ぐと、一度口を閉じた。その顔は、注ぐことに集中しているというよりは何かを言い淀んでいるように見える。
ロティアは黙って待った。
「……でも、リジンの場合は、絵を大切にしているから、消えにくいのかもしれないね。彼の執念が乗っているのかもしれない」
「……執念」
ロティアはじっくりと繰り返した。
同時に、ロティアは、自分のしていることが悪いことのように思えた。
そんなに自分の絵を大切にしている人が、お金がないばかりに絵を消さなきゃならないなんて。
「……あの、リジンさんのことを勝手にオーケさんに聞くのは、ズルいのかもしれないんですが」
オーケはカモミールティーのカップを口元に寄せながら「ん?」と言う。
「リジンさんは、画家の他に、なんのお仕事をされてるんですか」
カモミールティーを一口飲み、オーケは首を傾げた。
「あ、えっと、リジンさん、今日は別の仕事で、外に出てるんです。今のオーケさんのお話を聞いたら、わたし、リジンさんの絵を取り出して良いものなのか、わからなくなってしまって」
ロティアは膝の上でギュッと両手を握り締める。
リジンの家に来て三日目。消した絵は二枚だけだが、それでも心が痛む。それは今でも鮮明に思い出せるほど、リジンの絵を好きだと思ったからだ。
「他のお仕事をされているのなら、なんとか画材代を賄えないのかな、と思ってしまって……。そんなに、自分の作品を大切にしているのなら、絵を消さずに済む方法はないのかな、と……」
ロティアの言葉が尻すぼみになっていくと、オーケが「ふふっ」と笑った。
「ロティアは、とても優しい人なんだね」
「いえっ、そんな、独りよがりな考えです。リジンさんは消すことを望んでいるわけですから。それに、オーケさんが答えたらまずいのなら、無理に答えていただかなくて大丈夫です。わたしのせいで、オーケさんとリジンさんとの友情に亀裂がはいったら、それこそちっとも優しくありません」
「いや、リジンはあまり口数が多い方じゃないから、わたしから言ってしまうよ。彼はね、絵画の先生をしているんだ」
「……絵画の先生?」
ポカンとするロティアの代わりに、フフランがオウム返しをする。
「そう。ご令嬢やご子息の教養教育のために、お屋敷に赴いて絵を教えているんだ」
意外な返答だった。
背が高いだけで威圧感はないし、普段の柔らかい雰囲気は子どもに好かれないわけではなさそうだ。
ただ、その仕事が儲かりそうか、と聞かれると答えは「いいえ」だと思った。少なくとも画材代をすべて賄うことはでき無さそうだ。
展覧会はどれくらいの頻度で開催しているのだろうか。それだって絵を売るわけではないのなら、収入源になるのは入場料だけだ。
疑問は次々に浮かんでくる。
そのすべてをオーケに聞いても良いのだろうか。
そう思って口を開いた時、オーケが右手を上げて制止した。
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