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第3章
第14話 お嬢様は夜の稽古を強いられる
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その日を境に、稽古が一切なくなった。
煩わしいこと、この上なかった稽古がなくなり、シアはようやく自由を手に入れた。
昼間は時間をもてあまし、読みたかった本を読んだり、ティータイムを設けたり……
やりたかったことを、すべてやってみた。
それなのに、シアの心はちっとも嬉しくない。
なぜなら……
コンコン。
ノックする音が、真っ暗な部屋中に響き渡る。
部屋のあかりは消えていて、もう寝ようとしていたところのノック音。
シアは口をぐっと結んだ。
寝たふりをすれば、諦めて帰るだろうか。
しかし、その期待はむなしく、入室の許可も待たずに、部屋の扉が開いた。
その先にあらわれたのはネオ。
口の端をあげて、恭しく頭を垂れた。
「誰が、入っていいっていった?」
睨みつけると、ネオは、くすりと笑った。
「失礼いたします」
「そうじゃなくて……!」
「おや、なにか違いましたか?」
いつものようなやりとりに、安堵しそうな気持ちを抑える。
顔を背けると、ネオが静かに近づいてきた。
一歩、また一歩――…
影があたりを包みこむ。
すぐそこにいるのだと、気がつく。
シアは、そっぽを向いたまま、口を開いた。
「なんで、またくるの……?」
《また》の意味……
凌辱された、あの行為……
昼間の稽古がなくなった代わりに設けられた、《花嫁修業》の項目。
ネオが、当主である父に提案をしたという、淑女としての心得を教えるものだ。
《花嫁修業》という言い方だと、語弊があるかもしれない。
実際は、もっと違う行為なのだから……。
ネオにとっては、《なんでもない行為》なのかもしれない。
だから、こんなに平然と部屋にくるのだろうか……。
ネオは手を伸ばすと、シアの顎に指を添えた。
そして、視線が合うように顔を向ける。
「夜の、お稽古の時間ですよ。シアお嬢様――…」
「な……ンんぅっ」
近づくと同時に、乱暴に塞がれた唇。
抵抗をしようとした手を、いとも簡単に拘束される。
身動きを封じられたシアは、唇を受け入れるしかなかった。
「んぁっ、ンん……っ」
息が苦しくなるくらい、長い口づけ。
こんなにもネオを求めているのに。
ネオは、私を求めていない……。
その事実が悲しいのに、口づけが甘く感じてしまう。
もっとして欲しい、という気持ちと、やめて、という気持ちが、せめぎ合う。
「シアお嬢様は、本当に優秀でいらっしゃいますね。自ら、舌を出して……淫乱なおかただ」
「淫ら……っンん」
否定しようとした言葉は、快楽によってかき消された。
ネオの指先が、肩を伝い、胸へと滑る。
胸の先を、爪で弾く。
ツン、と尖っているのが、服の上からでもわかる。
「こんなに固くしているなんて、お嬢様は本当に煽るのがお上手ですね」
「ん……ぁっ」
「気持ちいいのなら、もっと啼いていいのですよ。あなたの声が、聴きたい――…」
「ん、ンぅっ」
唇を塞がれ、声が漏れる。
シアの胸を弄ぶ指先が、ツゥーっと形をなぞる。
くすぐったいのか、気持ちいいのか。
こんな感覚、知らない。
煩わしいこと、この上なかった稽古がなくなり、シアはようやく自由を手に入れた。
昼間は時間をもてあまし、読みたかった本を読んだり、ティータイムを設けたり……
やりたかったことを、すべてやってみた。
それなのに、シアの心はちっとも嬉しくない。
なぜなら……
コンコン。
ノックする音が、真っ暗な部屋中に響き渡る。
部屋のあかりは消えていて、もう寝ようとしていたところのノック音。
シアは口をぐっと結んだ。
寝たふりをすれば、諦めて帰るだろうか。
しかし、その期待はむなしく、入室の許可も待たずに、部屋の扉が開いた。
その先にあらわれたのはネオ。
口の端をあげて、恭しく頭を垂れた。
「誰が、入っていいっていった?」
睨みつけると、ネオは、くすりと笑った。
「失礼いたします」
「そうじゃなくて……!」
「おや、なにか違いましたか?」
いつものようなやりとりに、安堵しそうな気持ちを抑える。
顔を背けると、ネオが静かに近づいてきた。
一歩、また一歩――…
影があたりを包みこむ。
すぐそこにいるのだと、気がつく。
シアは、そっぽを向いたまま、口を開いた。
「なんで、またくるの……?」
《また》の意味……
凌辱された、あの行為……
昼間の稽古がなくなった代わりに設けられた、《花嫁修業》の項目。
ネオが、当主である父に提案をしたという、淑女としての心得を教えるものだ。
《花嫁修業》という言い方だと、語弊があるかもしれない。
実際は、もっと違う行為なのだから……。
ネオにとっては、《なんでもない行為》なのかもしれない。
だから、こんなに平然と部屋にくるのだろうか……。
ネオは手を伸ばすと、シアの顎に指を添えた。
そして、視線が合うように顔を向ける。
「夜の、お稽古の時間ですよ。シアお嬢様――…」
「な……ンんぅっ」
近づくと同時に、乱暴に塞がれた唇。
抵抗をしようとした手を、いとも簡単に拘束される。
身動きを封じられたシアは、唇を受け入れるしかなかった。
「んぁっ、ンん……っ」
息が苦しくなるくらい、長い口づけ。
こんなにもネオを求めているのに。
ネオは、私を求めていない……。
その事実が悲しいのに、口づけが甘く感じてしまう。
もっとして欲しい、という気持ちと、やめて、という気持ちが、せめぎ合う。
「シアお嬢様は、本当に優秀でいらっしゃいますね。自ら、舌を出して……淫乱なおかただ」
「淫ら……っンん」
否定しようとした言葉は、快楽によってかき消された。
ネオの指先が、肩を伝い、胸へと滑る。
胸の先を、爪で弾く。
ツン、と尖っているのが、服の上からでもわかる。
「こんなに固くしているなんて、お嬢様は本当に煽るのがお上手ですね」
「ん……ぁっ」
「気持ちいいのなら、もっと啼いていいのですよ。あなたの声が、聴きたい――…」
「ん、ンぅっ」
唇を塞がれ、声が漏れる。
シアの胸を弄ぶ指先が、ツゥーっと形をなぞる。
くすぐったいのか、気持ちいいのか。
こんな感覚、知らない。
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