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第13話 敵襲
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いつも通りの賑わいを見せる大通り、露店商は元気な声で売り込みをしていた。
「おっ、アダムス!パトロールか?」
一人の露店商が剣に手を掛け歩いているアダムスに声を掛ける、するとアダムスは笑顔で手を振った。
平和な街、治安の面では恐らく大陸で1番治安が良い……だがアダムスは心配で仕方がなかった。
皇帝直属の部隊に配属されて1年、2度の戦争を経験した……2回とも国への侵攻を防ぎはしたが戦いは熾烈を極めた……あんな地獄の様な争いがこの街にいずれは訪れると考えると怖くて仕方がなかった。
街の人々は平和がずっと続くと思っている……だが正直それは皇帝直属の部隊であるアルスセンテの頑張り次第でもあった。
一つ前の代の皇帝が軍の強化を怠った影響で我が国の軍は正直他国よりも質が低い……それ故に強者を集め作られたアルスセンテが最前線で戦果を上げなければ国の敗北を意味していた。
ずっとその重圧が自身にのし掛かって居る……正直しんどかった。
だがパトロールと言う他の人から見られる仕事の中では決して表情を曇らさず、ずっとアダムスは笑顔で街を歩いた。
街の人々はアダムスを見ると挨拶をしてくれる、暖かい街だった。
「今日も異常は無いな……」
粗方パトロールを終え、城へと戻ろう……そう思った時、西の方向から爆発音が街の中に響き渡った。
その音に騒がしかった街は一瞬にして静まり返る、そして再度爆発音が聞こえると街の人々は一斉に悲鳴を上げ逃げ出した。
「爆発音……敵襲か!?」
何度も鳴り響く爆発音にアダムスは転けそうになりながらも急いで西門の方へと向かう、そして着いた頃には衝撃の光景が広がって居た。
「あれ?君は確かアルスセンテの子だね」
中途半端な長さの剣を携えて居る白髪の少女、彼女の周りには先に到着していた兵士の死体が転がって居た。
辺りの建物は倒壊し、下敷きになる街の人々……戦争の時の様な光景だった。
「貴様……許さん!!」
彼女が何者なのか……そんな事はもう聞かなかった。
何者でも良い、愛する国民を傷つけた……剣を向ける理由はそれだけで十分すぎた。
「もー、そんなに怒んないでよ」
かなりの速さで攻撃を仕掛けたアダムスの剣を一歩で躱すとカウンターで足払いをする、一度は足払いで転び掛けるも片手で後ろに飛ぶと何とか体勢を整えた。
「くっ……」
足に鈍い痛みを覚える、だがアダムスはグッと堪えると鎧の下に隠して居たナイフを二本、白髪の少女に向けて投げた。
少女は一本を剣で弾くと2本目は飛んで躱す、アダムスはそれを予測して居たかの様に落下地点に向けて走り出して居た。
「ふーん……」
その行動に少女は面白そうな笑みを浮かべた。
「街の人々を傷つけた……お前だけは絶対に許さん!!」
滞空している少女に向けて剣を振りかざす、それを受け止められるがすぐ様剣から手を離すと足を掴み地面に叩きつけた。
間髪入れず叩きつけた際に手から離れた剣を握りしめ少女を突き刺そうとする、だが尋常ではない速さで仰向けになると少女は突き刺そうとした剣を指二本で受け止めた。
「痛いじゃん」
その言葉を言い放った瞬間腹部に鈍い痛みを感じる、そして次の瞬間アダムスは宙を舞って居た。
「何が……起こって?」
吹き飛ばされるアダムス、そのまま地面に叩きつけられ倒壊した瓦礫の中に突っ込んで行く、ふと腹部を見ると鎧が割れて居た。
「見た目よりも脆いよね……鎧って、だから私はそんな重たいもの付けないんだ」
痴女とも見える服装の少女はそう言ってアダムスの持って居た剣を投げ捨てる、恐らく腹部を蹴られた……だがそれだけで鎧が砕けるのはあり得なかった。
ギリギリ視認出来たが反応など出来なかった……あの速さに鎧を砕く威力……実力差は歴然として居た。
「私の顔に傷を付けたんだから……覚悟しろよ」
可愛らしい表情だった少女の顔が豹変し、その場から姿を消す、アダムスは急いで立ち上がるものの、立ち上がった瞬間背後から衝撃を受けた。
「グッ……」
あまりの衝撃にアダムスは再び吹き飛ぶ、だが地面に着くよりも先に少女は前に回ると脚を高々と上げ、アダムスの顔面目掛けて振り下ろした。
「くっ……そがぁぁ!!」
何とか片腕で顔面へのダメージを和らげる、だが尋常では無い威力でアダムスは地面へと叩きつけられた。
「グッ……ガァッ」
地面に叩きつけられると共に吐血する、それを見た少女は追撃せずに眺めて居た。
実力差があり過ぎる……とても勝てる相手では無かった。
今まで戦争を他国として来た、その時の誰よりも強い……化け物だった。
「何者……なんだ貴様は」
「私?私はミリア、クリミナティの冒険者専門の殺し屋ミリアって言ったら分かる?」
そう首を傾げ笑顔で言うミリア、その名にアダムスは衝撃を受けた。
クリミナティのミリア、累計千人を超える冒険者を殺して来たと言われて居るクリミナティの中でも特に重要手配されて居る七人の内の一人……まさかこんな見た目をして居るとは思わなかった。
何故彼女の目撃情報が無いのかよく分かる……目撃者は皆死ぬ、単純な事だった。
「な、何故街を襲う……」
「依頼よ、君達も依頼があればゴブリンを殺す……それと同じよ」
そう言い放つミリア、理解出来なかった。
アダムスは痛む身体に鞭を打ち立ち上がる、そしてフラフラとした足取りながらも隣に落ちて居た兵士の剣を取ると構えた。
「へぇーまだ戦うんだ、アルスセンテ?の意地ってやつ?少し惚れそうかも」
クスクスと笑いながら小馬鹿にする様に言い放つミリア、背骨に異常がある、肋骨も折れて居る、ガードした左腕も……だがここで俺が倒れれば街の人々は殺されてしまう筈だった。
此処を……引くわけには行かなかった。
「俺は誓った、命ある限り街の人々を、この国を守ると……だから俺は倒れない、死なない!!」
「あっそ」
つまらなそうにそう言い捨てるとミリアの回し蹴りがアダムスの顔面にヒットする、だがアダムスは吹き飛ばなかった。
「なっ?!」
持てる全ての力を込めて踏ん張る、そして折れた右腕で足を掴むと左腕の剣を振り上げた。
「こんなもの……?!」
掴む腕を振り払おうとミリアは暴れる、だがアダムスは尋常では無い力で足を握り離さなかった。
「な、何なのこの力!?離しなさいよ!!」
ミリアの声が荒くなる、焦って居る証拠だった。
そのまま身動きの取れないミリアに向けて剣を振りかざす、せめて致命的な傷を……そう願いを込めて振りかざした剣、だが次の瞬間、ボンってと言う爆発音と共に剣は無情にも宙を舞って居た。
「な……にが?」
宙を舞う剣、ふと左腕に視線を移すとそこに腕は無かった。
「腕、が……あぁぁあ゛あ゛!!!」
あまりの激痛に叫び声を上げる、何が起こったのか理解出来なかった。
「全く……今のは危なかったぞミリア」
低い男の声が聞こえる、ふと視線を上げるとミリアの隣に先程までは居なかった黒のローブを羽織りフードを被った男が立って居た。
「あ、ありがとう」
ミリアは悔しそうな表情をしながらも礼を言う、まさか二人居るとは思いもしなかった。
「しかしこの男、ミリアをあそこ迄追い詰めるとは中々強いな、早急に殺そう」
「そうね……」
男の言葉にミリアも頷き宙を舞って居た剣を掴みアダムスの上に跨った。
右腕を動かない様に踏み付け剣を心臓の位置に立てる、抵抗の仕様が無かった。
「隊長……俺の夢は託しました」
そう呟きそっと空を眺めるアダムス、孤児だった俺を育て、強くしてくれたこの街の人々、隊長に恩返し出来ぬまま死ぬ……その後悔に涙を流しながらそっとアダムスは目を閉じた。
「おっ、アダムス!パトロールか?」
一人の露店商が剣に手を掛け歩いているアダムスに声を掛ける、するとアダムスは笑顔で手を振った。
平和な街、治安の面では恐らく大陸で1番治安が良い……だがアダムスは心配で仕方がなかった。
皇帝直属の部隊に配属されて1年、2度の戦争を経験した……2回とも国への侵攻を防ぎはしたが戦いは熾烈を極めた……あんな地獄の様な争いがこの街にいずれは訪れると考えると怖くて仕方がなかった。
街の人々は平和がずっと続くと思っている……だが正直それは皇帝直属の部隊であるアルスセンテの頑張り次第でもあった。
一つ前の代の皇帝が軍の強化を怠った影響で我が国の軍は正直他国よりも質が低い……それ故に強者を集め作られたアルスセンテが最前線で戦果を上げなければ国の敗北を意味していた。
ずっとその重圧が自身にのし掛かって居る……正直しんどかった。
だがパトロールと言う他の人から見られる仕事の中では決して表情を曇らさず、ずっとアダムスは笑顔で街を歩いた。
街の人々はアダムスを見ると挨拶をしてくれる、暖かい街だった。
「今日も異常は無いな……」
粗方パトロールを終え、城へと戻ろう……そう思った時、西の方向から爆発音が街の中に響き渡った。
その音に騒がしかった街は一瞬にして静まり返る、そして再度爆発音が聞こえると街の人々は一斉に悲鳴を上げ逃げ出した。
「爆発音……敵襲か!?」
何度も鳴り響く爆発音にアダムスは転けそうになりながらも急いで西門の方へと向かう、そして着いた頃には衝撃の光景が広がって居た。
「あれ?君は確かアルスセンテの子だね」
中途半端な長さの剣を携えて居る白髪の少女、彼女の周りには先に到着していた兵士の死体が転がって居た。
辺りの建物は倒壊し、下敷きになる街の人々……戦争の時の様な光景だった。
「貴様……許さん!!」
彼女が何者なのか……そんな事はもう聞かなかった。
何者でも良い、愛する国民を傷つけた……剣を向ける理由はそれだけで十分すぎた。
「もー、そんなに怒んないでよ」
かなりの速さで攻撃を仕掛けたアダムスの剣を一歩で躱すとカウンターで足払いをする、一度は足払いで転び掛けるも片手で後ろに飛ぶと何とか体勢を整えた。
「くっ……」
足に鈍い痛みを覚える、だがアダムスはグッと堪えると鎧の下に隠して居たナイフを二本、白髪の少女に向けて投げた。
少女は一本を剣で弾くと2本目は飛んで躱す、アダムスはそれを予測して居たかの様に落下地点に向けて走り出して居た。
「ふーん……」
その行動に少女は面白そうな笑みを浮かべた。
「街の人々を傷つけた……お前だけは絶対に許さん!!」
滞空している少女に向けて剣を振りかざす、それを受け止められるがすぐ様剣から手を離すと足を掴み地面に叩きつけた。
間髪入れず叩きつけた際に手から離れた剣を握りしめ少女を突き刺そうとする、だが尋常ではない速さで仰向けになると少女は突き刺そうとした剣を指二本で受け止めた。
「痛いじゃん」
その言葉を言い放った瞬間腹部に鈍い痛みを感じる、そして次の瞬間アダムスは宙を舞って居た。
「何が……起こって?」
吹き飛ばされるアダムス、そのまま地面に叩きつけられ倒壊した瓦礫の中に突っ込んで行く、ふと腹部を見ると鎧が割れて居た。
「見た目よりも脆いよね……鎧って、だから私はそんな重たいもの付けないんだ」
痴女とも見える服装の少女はそう言ってアダムスの持って居た剣を投げ捨てる、恐らく腹部を蹴られた……だがそれだけで鎧が砕けるのはあり得なかった。
ギリギリ視認出来たが反応など出来なかった……あの速さに鎧を砕く威力……実力差は歴然として居た。
「私の顔に傷を付けたんだから……覚悟しろよ」
可愛らしい表情だった少女の顔が豹変し、その場から姿を消す、アダムスは急いで立ち上がるものの、立ち上がった瞬間背後から衝撃を受けた。
「グッ……」
あまりの衝撃にアダムスは再び吹き飛ぶ、だが地面に着くよりも先に少女は前に回ると脚を高々と上げ、アダムスの顔面目掛けて振り下ろした。
「くっ……そがぁぁ!!」
何とか片腕で顔面へのダメージを和らげる、だが尋常では無い威力でアダムスは地面へと叩きつけられた。
「グッ……ガァッ」
地面に叩きつけられると共に吐血する、それを見た少女は追撃せずに眺めて居た。
実力差があり過ぎる……とても勝てる相手では無かった。
今まで戦争を他国として来た、その時の誰よりも強い……化け物だった。
「何者……なんだ貴様は」
「私?私はミリア、クリミナティの冒険者専門の殺し屋ミリアって言ったら分かる?」
そう首を傾げ笑顔で言うミリア、その名にアダムスは衝撃を受けた。
クリミナティのミリア、累計千人を超える冒険者を殺して来たと言われて居るクリミナティの中でも特に重要手配されて居る七人の内の一人……まさかこんな見た目をして居るとは思わなかった。
何故彼女の目撃情報が無いのかよく分かる……目撃者は皆死ぬ、単純な事だった。
「な、何故街を襲う……」
「依頼よ、君達も依頼があればゴブリンを殺す……それと同じよ」
そう言い放つミリア、理解出来なかった。
アダムスは痛む身体に鞭を打ち立ち上がる、そしてフラフラとした足取りながらも隣に落ちて居た兵士の剣を取ると構えた。
「へぇーまだ戦うんだ、アルスセンテ?の意地ってやつ?少し惚れそうかも」
クスクスと笑いながら小馬鹿にする様に言い放つミリア、背骨に異常がある、肋骨も折れて居る、ガードした左腕も……だがここで俺が倒れれば街の人々は殺されてしまう筈だった。
此処を……引くわけには行かなかった。
「俺は誓った、命ある限り街の人々を、この国を守ると……だから俺は倒れない、死なない!!」
「あっそ」
つまらなそうにそう言い捨てるとミリアの回し蹴りがアダムスの顔面にヒットする、だがアダムスは吹き飛ばなかった。
「なっ?!」
持てる全ての力を込めて踏ん張る、そして折れた右腕で足を掴むと左腕の剣を振り上げた。
「こんなもの……?!」
掴む腕を振り払おうとミリアは暴れる、だがアダムスは尋常では無い力で足を握り離さなかった。
「な、何なのこの力!?離しなさいよ!!」
ミリアの声が荒くなる、焦って居る証拠だった。
そのまま身動きの取れないミリアに向けて剣を振りかざす、せめて致命的な傷を……そう願いを込めて振りかざした剣、だが次の瞬間、ボンってと言う爆発音と共に剣は無情にも宙を舞って居た。
「な……にが?」
宙を舞う剣、ふと左腕に視線を移すとそこに腕は無かった。
「腕、が……あぁぁあ゛あ゛!!!」
あまりの激痛に叫び声を上げる、何が起こったのか理解出来なかった。
「全く……今のは危なかったぞミリア」
低い男の声が聞こえる、ふと視線を上げるとミリアの隣に先程までは居なかった黒のローブを羽織りフードを被った男が立って居た。
「あ、ありがとう」
ミリアは悔しそうな表情をしながらも礼を言う、まさか二人居るとは思いもしなかった。
「しかしこの男、ミリアをあそこ迄追い詰めるとは中々強いな、早急に殺そう」
「そうね……」
男の言葉にミリアも頷き宙を舞って居た剣を掴みアダムスの上に跨った。
右腕を動かない様に踏み付け剣を心臓の位置に立てる、抵抗の仕様が無かった。
「隊長……俺の夢は託しました」
そう呟きそっと空を眺めるアダムス、孤児だった俺を育て、強くしてくれたこの街の人々、隊長に恩返し出来ぬまま死ぬ……その後悔に涙を流しながらそっとアダムスは目を閉じた。
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