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桜の君は一番星
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しおりを挟む担任の先生からも両親からも頑張ったねと褒められるほど、僕は勉強漬けの毎日を送った。寝る前の桜の君のアカウントチェックは怠らなかったけれど、それが唯一のモチベーションになった。
名前が分からないから、桜の君。
いつしかそう呼ぶようになっていた。
彼はどうやらインフルエンサーというもので、男性ファッション誌に掲載されたりしているらしい。
あの容姿はひとつの才能。
見つかってしまえば、世間が放っておくはずないだろう。
二、三日に一度のペースでアップされる彼の写真。
受験生の一年はすぐに時間が過ぎ去って、彼の投稿欄はカレンダーを捲る毎に装いを新たにした。
淡いパステルカラーの春から瑞々しいビタミンカラーの夏へ、そして色とりどりの深い紅葉の秋から白銀の世界の冬に色を変えた。
雪がちらつく夜にガードレールに寄りかかって佇む写真がアップされた日、僕は南大学に合格した。白く吐いた息がまるで魔法みたいで、そのあまりの美しさに思わずため息が漏れた。
目標にしてきた合格は涙が出るほど嬉しくて、初めて努力は報われるということを知った。
桜の君に会いに行く。
学部も知らないし、本当にいるのかどうかさえ分からないのに、僕の心は少し早い春の陽気に誘われて楽しそうに踊っていた。
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