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春を追いかけて
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しおりを挟む一人目は無事に僕の所属グループになってくれたと安心している間に、どんどん発表は続いていく。
二番目に僕が選んだのは、十八番の皇紫音。
ポーカーフェイスを装備したクールな彼は、次が自分の番だというのにまっすぐに前だけを見つめている。
全く動じることのない、その肝の座り方が羨ましい。琴くんと足して、はんぶんこしたらちょうどよさそうな気もする。このふたりはいいシンメになるかもしれないとわくわくした。
「十八番、皇紫音。……HARE、吉良」
……競合だ。
隣を盗み見れば、HAREさんにウインクを飛ばされた。男でもキュンとしてしまうほど様になっていて、なんだか悔しい。
「皇くん、何か質問があればお二人に聞いていただいて構いません」
「……まずは、選んでいただいてありがとうございます」
田島さんに促されて、淡々と話し始めた皇くんにみんなが注目している。既に僕のグループに決まった琴くんを除いて。
そちらにちらりと視線を送った皇くんは、暫し逡巡した後、再び口を開いた。
「……吉良さんでお願いします」
何か質問されると思って構えていたから、何も聞かずに自分の中で完結させた彼に拍子抜けした。HAREさんも同じみたいで、苦笑いを隠せていない。
さすがに理由を知りたいと思ったのか、田島さんが逆に彼に質問する。
「吉良くんに決めた理由は?」
「……琴がいるから」
「天宮くん?」
小さくぽつりと零された言葉。
一ヶ月という短い期間だったのに、下の名前を呼び捨てで呼ぶほどの関係に発展していたのだろうか。
けれど、名前を呼ばれた張本人である琴くんは一気に注目を浴びたことにびくりと体を跳ねさせた後、膝を抱えて縮こまっている。正直、正反対にも見える彼らが仲がいいようには見えなかった。
そんな彼らを見つめていた田島さんは深く追求することを止めて、僕の方に向き直った。
「吉良くん、皇くんを獲得でいいよね?」
「はい、もちろんです」
お互いに嫌い合っているようではなさそうだと判断して頷けば、皇くんの表情に安堵の色が見えた。
対照的に少し泣きそうな琴くんには後で事情を聞いて、どうしても無理だと言うなら田島さんに相談しにいこう。そう決めた。
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