上 下
135 / 219
第9章 勇者RENの冒険

第133話 入場 4

しおりを挟む


「次の代表者です! ドラゴン族代表! バハル!」

 ドラゴン族……、大きいのかな? ……って! なんだありゃ?

 歩いてきたのは俺を大差ない大きさの男だった。

 白く長い髪を後ろに束ね、厳つい身体つきの男が白いマントを羽織って歩いてくる。

「さぁ、巨人族に続いて、ライバルのドラゴン族からバハルがやって参りました!」

「はい、このバハルですが、伝説によると年齢は10万歳を超えているそうです! ドラゴンの身でありながら、神竜と称えられ、亜神となり、破壊竜、バハムートの異名も持っております! いやぁ、ドラゴン族である彼と永遠のライバルである巨人族のギガースの直接対決! 見たいですねぇ!」

「ローファンは、もし両者が闘った場合、どちらが勝つと思われますか?」

「んー、難しいですねぇ! 両者ともに亜神であり、パワーも五分と五分と聞いております! こればかりは結果を見るしかないんじゃないでしょうか?」



「次の代表者は! 死の国代表! ジーク!」

 む? なんだこの気配? さ、寒気が止まらんとは……。

 まさに迫り来る死の気配。俺の背中が汗に濡れ、ヒンヤリとする。

 落ち着け、まだ闘う時じゃない……。しかし、なんて威圧だ……。

「さぁ、死の国からジークがやって参りました!」

「この死の国はトップの入れ替わりが激しいんですが、現在のトップがこのジークです! リッチという死人の中では最上位の魔法使いですね。闇属性の魔法は右に出るものはいないと言われております。その真価がこのトーナメントで問われるでしょう!」

「いやぁ、ジークの目が青白く光ってますね! 怖いなぁ……」

「えぇとリサさん、彼の目は死の魔眼です。くれぐれも見てはいけませんよ!」

「もっと早く言って下さいよ! 死んじゃったらどうするんですか!」



「次の代表者! 元天使族! ルシフェル!」

 背中に翼の生えたイケメンが優雅に歩いてきた。手には白く輝く長大な剣を一振り持っている。

 顔立ちはイケメン待ったなしなんだが……、なんだあの目の下のクマは……。

「さぁ、元天使族だったルシフェルの登場ですね!」

「いやぁ、ほんとよく参加してくれましたよね! ルシフェルは私のずっと先輩に当たる方なんですが、性格が激しくてですね……。私もルシフェル先輩に連れられて色々な地獄を見て回ったのも良い思い出です!」

「因みにどんなところを回ったのですか?」

「えぇとですね。ベヒーモスが暴れ回って世界が壊れそうになってしまった時や、大悪魔サタニスが世界を支配しようとしたときにルシフェル先輩が先陣を切って闘ったんですよ! いやぁかっこよかったなぁ! あの時は……」

「そ、そんなことがあったんですね……」



「最後の代表者は! 人間族代表! 黒騎士!」

 花道を歩いてくるのは漆黒の鎧、漆黒のマント、漆黒の剣を携えた騎士だった。フルフェイスの兜をかぶっており素顔は全く窺うことが出来ない。

 ん? 最後は俺と同じ人間か。果たしてどれほどの強さなのか……。

「さぁ、最後の代表者は人間です! 天使達にとって一番赴くことの多い人間界ですが、ローファンさんは黒騎士について何かご存じでしょうか?」

「はい、人間の国々の中で最も大きな国である、グラナーダ帝国。そこの闘技場で不敗を誇る戦士ですね。人間族だけを相手にしておりますが、400戦不敗という戦績を誇っております。これは最早、人間界の生きる伝説となっております。規格外の人間の力、このトーナメントではどこまで通用するのか? 楽しみですねぇ!」

「400戦不敗ですか! これは期待できそうです。しかし、獣人族の代表も急遽ですが、人間族になってしまいましたよね? 人間族だけ2人ということになっております」

「えぇ、そこなんですよ。これでは他の種族にアンフェアなことになってしまいます。そこゴッズトーナメントに参加する神々が協議した結果、最初の第一試合、これをREN VS 黒騎士 とすることでどちらが人間族で最強なのか? これを決めてもらうこととなりました」

「なるほど……、人間族最強ですか! これも楽しみな試合になりそうですね!」

 くっ、一刻も早くニュートを倒して、ザッツにかけられた呪いを解かなければならぬと言うときに……余計なことを!

 握りこぶしが震える。

 そんな俺に対し、黒騎士が近づいてきた。

「おやおや、いきなり俺と対戦することになってぶるっちまってんのか? おめぇみたいな優男の来る所じゃねぇんだ。とっとと帰って彼女と乳繰り合ってるんだな」

 この黒騎士とやら、人間代表のくせになんと口の悪い……。

「俺はお前に構っている暇などない。忙しいんでな」

「ふん、今なら棄権しても許してやろうと思ったが……、どうやら死ななければ分からんようだな。よかろう。1回戦で貴様をあの世へ送ってくれるわ」

「それはこちらの台詞だ」

 黒騎士は俺を睨み付けてくる。俺もまた睨み返す。

「おーっと、人間族同士、いきなりの場外宣戦布告かぁ?」

「両者ともに気合い充分ですね! これは1回戦から楽しみになってきました!」



 結局、黒騎士は案内係の天使に促され、自分の場所へと戻っていった。

「ここに集いし、16名の戦士達! この世界で最強は誰なのか? ゴッズトーナメントの開催をここに宣言します!!!」

 リングアナの宣言がされると、会場は割れんばかりの声援に包まれるのであった。


しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

異世界で穴掘ってます!

KeyBow
ファンタジー
修学旅行中のバスにいた筈が、異世界召喚にバスの全員が突如されてしまう。主人公の聡太が得たスキルは穴掘り。外れスキルとされ、屑の外れ者として抹殺されそうになるもしぶとく生き残り、救ってくれた少女と成り上がって行く。不遇といわれるギフトを駆使して日の目を見ようとする物語

落ちこぼれの烙印を押された少年、唯一無二のスキルを開花させ世界に裁きの鉄槌を!

酒井 曳野
ファンタジー
この世界ニードにはスキルと呼ばれる物がある。 スキルは、生まれた時に全員が神から授けられ 個人差はあるが5〜8歳で開花する。 そのスキルによって今後の人生が決まる。 しかし、極めて稀にスキルが開花しない者がいる。 世界はその者たちを、ドロップアウト(落ちこぼれ)と呼んで差別し、見下した。 カイアスもスキルは開花しなかった。 しかし、それは気付いていないだけだった。 遅咲きで開花したスキルは唯一無二の特異であり最強のもの!! それを使い、自分を蔑んだ世界に裁きを降す!

劣等生のハイランカー

双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
ダンジョンが当たり前に存在する世界で、貧乏学生である【海斗】は一攫千金を夢見て探索者の仮免許がもらえる周王学園への入学を目指す! 無事内定をもらえたのも束の間。案内されたクラスはどいつもこいつも金欲しさで集まった探索者不適合者たち。通称【Fクラス】。 カーストの最下位を指し示すと同時、そこは生徒からサンドバッグ扱いをされる掃き溜めのようなクラスだった。 唯一生き残れる道は【才能】の覚醒のみ。 学園側に【将来性】を示せねば、一方的に搾取される未来が待ち受けていた。 クラスメイトは全員ライバル! 卒業するまで、一瞬たりとも油断できない生活の幕開けである! そんな中【海斗】の覚醒した【才能】はダンジョンの中でしか発現せず、ダンジョンの外に出れば一般人になり変わる超絶ピーキーな代物だった。 それでも【海斗】は大金を得るためダンジョンに潜り続ける。 難病で眠り続ける、余命いくばくかの妹の命を救うために。 かくして、人知れず大量のTP(トレジャーポイント)を荒稼ぎする【海斗】の前に不審に思った人物が現れる。 「おかしいですね、一学期でこの成績。学年主席の私よりも高ポイント。この人は一体誰でしょうか?」 学年主席であり【氷姫】の二つ名を冠する御堂凛華から注目を浴びる。 「おいおいおい、このポイントを叩き出した【MNO】って一体誰だ? プロでもここまで出せるやつはいねーぞ?」 時を同じくゲームセンターでハイスコアを叩き出した生徒が現れた。 制服から察するに、近隣の周王学園生であることは割ている。 そんな噂は瞬く間に【学園にヤバい奴がいる】と掲示板に載せられ存在しない生徒【ゴースト】の噂が囁かれた。 (各20話編成) 1章:ダンジョン学園【完結】 2章:ダンジョンチルドレン【完結】 3章:大罪の権能【完結】 4章:暴食の力【完結】 5章:暗躍する嫉妬【完結】 6章:奇妙な共闘【完結】 7章:最弱種族の下剋上【完結】

ハズレ職業のテイマーは【強奪】スキルで無双する〜最弱の職業とバカにされたテイマーは魔物のスキルを自分のものにできる最強の職業でした〜

平山和人
ファンタジー
Sランクパーティー【黄金の獅子王】に所属するテイマーのカイトは役立たずを理由にパーティーから追放される。 途方に暮れるカイトであったが、伝説の神獣であるフェンリルと遭遇したことで、テイムした魔物の能力を自分のものに出来る力に目覚める。 さらにカイトは100年に一度しか産まれないゴッドテイマーであることが判明し、フェンリルを始めとする神獣を従える存在となる。 魔物のスキルを吸収しまくってカイトはやがて最強のテイマーとして世界中に名を轟かせていくことになる。 一方、カイトを追放した【黄金の獅子王】はカイトを失ったことで没落の道を歩み、パーティーを解散することになった。

【改稿版】休憩スキルで異世界無双!チートを得た俺は異世界で無双し、王女と魔女を嫁にする。

ゆう
ファンタジー
剣と魔法の異世界に転生したクリス・レガード。 剣聖を輩出したことのあるレガード家において剣術スキルは必要不可欠だが12歳の儀式で手に入れたスキルは【休憩】だった。 しかしこのスキル、想像していた以上にチートだ。 休憩を使いスキルを強化、更に新しいスキルを獲得できてしまう… そして強敵と相対する中、クリスは伝説のスキルである覇王を取得する。 ルミナス初代国王が有したスキルである覇王。 その覇王発現は王国の長い歴史の中で悲願だった。 それ以降、クリスを取り巻く環境は目まぐるしく変化していく…… ※アルファポリスに投稿した作品の改稿版です。 ホットランキング最高位2位でした。 カクヨムにも別シナリオで掲載。

「残念でした~。レベル1だしチートスキルなんてありませ~ん笑」と女神に言われ異世界転生させられましたが、転移先がレベルアップの実の宝庫でした

御浦祥太
ファンタジー
どこにでもいる高校生、朝比奈結人《あさひなゆいと》は修学旅行で京都を訪れた際に、突然清水寺から落下してしまう。不思議な空間にワープした結人は女神を名乗る女性に会い、自分がこれから異世界転生することを告げられる。 異世界と聞いて結人は、何かチートのような特別なスキルがもらえるのか女神に尋ねるが、返ってきたのは「残念でした~~。レベル1だしチートスキルなんてありませ~~ん(笑)」という強烈な言葉だった。 女神の言葉に落胆しつつも異世界に転生させられる結人。 ――しかし、彼は知らなかった。 転移先がまさかの禁断のレベルアップの実の群生地であり、その実を食べることで自身のレベルが世界最高となることを――

日本帝国陸海軍 混成異世界根拠地隊

北鴨梨
ファンタジー
太平洋戦争も終盤に近付いた1944(昭和19)年末、日本海軍が特攻作戦のため終結させた南方の小規模な空母機動部隊、北方の輸送兼対潜掃討部隊、小笠原増援輸送部隊が突如として消失し、異世界へ転移した。米軍相手には苦戦続きの彼らが、航空戦力と火力、機動力を生かして他を圧倒し、図らずも異世界最強の軍隊となってしまい、その情勢に大きく関わって引っ掻き回すことになる。

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

処理中です...