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第6章 アナザージャパン編

第73話 強化ポーション

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「ギョエ~~~っ!」

 敵の断末魔が響く。敵は波のように押し寄せてきた。が、所詮は烏合の衆。またたく間に山の様に重なり合って倒れていく。

 やがて敵たちも警戒するように距離を取った。

 そちらから攻めて来ないのであれば……、俺が威圧するように魔力を放出するだけで、雑魚たちはその場からピクリとも動けなくなる。

「どうした? そこまでか?」

 俺の挑発にも応えることなく敵たちは呻くだけだ。

 やがて敵が二手に別れていくと、その間から竜の頭部を持った大男が現れるのであった。

「なかなかやるようだな。だが貴様が暴れるのもこれまでよ。この、水竜様から特別な力を頂いたこのリュージャ様が相手をしてやろう!」

 これはまた、尊大な奴が出てきたな。どれ、レベルはどれ位なんだ?

 リュージャとやらに鑑定を使ってみる。すると、レベルは1500と表示された。

 あぁ、この程度か。全く、雑魚のくせにあんなに威張り散らしやがって。

俺が呆れ果てていると、

「グハハハハハ、どうやらビビってるようだな! いいことを教えてやろう! 俺様のレベルは1500を超えているのだ! どうだ? あ~ん? チビって声も出ねぇのか?」

「うるさい」

 俺は瞬時に刀を抜き、奴を切り刻んだ。もちろん、瞬きする程の間に、だ。

「貴様から来ねぇなら、こっちから行くぞぉ!」

 リュージュが走り出した。が、俺に向かって走ってくるのは下半身だけだった。

 上半身はそのまま、べシャッと地面に落ちる。

「な、ななな、何が起きた?」

 腕を動かそうとすると、腕が落ちる。

「な! なぁ!」

あわてて腕を見ようとしたのか、首を曲げた途端、首が勢い良く回転し、真後ろを向いた。

「そ、そんなバカな……」

 リュージュがその場に崩れ去ると、他の雑魚達はあっという間に逃げ去って行った。

「ふぅ、これで下らない戦闘は終わったか」

 後ろを見ると、コンと大牙もそれなりに闘ってくれたようで、多数の敵を倒していた。

「お疲れ様。よくやってくれた」

「ワンワン!」

「はっ!」

 コンは俺の脚元にじゃれついてくる。

「よしよし、よくやってくれたぞ~。次はもっと手応えがある奴だろうから、次も頼むな!」

「ワンッ!」

 とりあえず、二人を回復し、先に進んでいこう。目の前には巨大な鳥居がそびえ立ち、その先には石階段が続いている。

 俺達は石階段を駆け上がっていくのであった。



   *



「露払いはお任せください」

 石階段を守る兵は多い。しかも、地形的に不利な下から攻めている状況だ。

だが、大牙の得意な技はナイフ投げだったこともあり、大した苦戦もなくどんどん進んでいく。たまに怪我もするが、俺はヒールが無限に使えるのだ。惜しむことはない。

 コンも頑張ってくれている。一瞬であれば、風のように速い移動で近づき、長く、魔力を帯びた爪で引き裂いていく。

 直接の戦闘は傷つくことも多いが、死んでも大丈夫だし、こまめにヒールが飛んでくることもあり、大胆に攻めている。

経験値がいいのか、二人とも着実にレベルアップしてるな。

 俺は5分に一度ヒールをかけながら走るだけだから、楽ちんで助かる。

 そんなことを思ってたら、階段の先にまた鳥居が見えた。

「ついに頂上か! 二人とも気を引き締めるぞ!」

「ワンッ!」

「はっ!」

 頂上につくと、出迎えたのは竜の頭部を持つ大男の集団。

 いづれも下で倒したリュージュ位の強さだろう。

 せっかくだから、俺が作ったバフポーションを試してもらうことにしよう。

「コン、大牙。これを使ってくれ!」

 二人にほをかけた。

「ワンワンッ!」

「こ、これは! 凄まじい効果ですな!」

 気に入ってくれたようで何よりだ。さらに、二人にバリヤーをかけておく。

「よし、二人であの連中を倒してみてくれ!」

 俺のバフポーションが果たしてどれほど他人に効果的なのか、試したかったんだよね。

 大牙は一気に数十本ものナイフを投げつけた。

 そのナイフは奴らの体を突き抜け、まるでレーザーの様に貫通した。

 どうっ! と音を立てて倒れ込む大男たち。

 コンは素早い動きがさらに強化され、奴らにはコンの動きが全く追えないようで、キョロキョロと見回しているうちに、鋭い爪で引き裂かれていった。

 次々と倒れ込む大男たち。あっという間に二人は片付けてしまうのだった。

 何と言うか……、もしかして、やりすぎちゃったかな?

 ま、済んだことは仕方がない。弱めのポーションも用意して置かなければならんな。いざという時にやりすぎてしまうかもしれん!

「よし、よくやった!」

 コンは褒めて! とばかりに尻尾を振りながら俺の脚に絡みつく。

 大牙は俺に跪いて頭を下げた。

「大魔神様のおかげです!」

大牙は嬉しそうな声を上げる。

「レベルもかなり上がったようだね! この調子だ」

 大牙のレベルは早くも800を超えた……、ま、いいか。済んでしまったことは仕方がない!

「よし、本殿に乗り込むぞ!」

 俺たちは、水竜の棲む建物の中へ入って行くのであった。


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