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第4章 突撃! 魔界統一編 後編
第48話 攻城戦 開始
しおりを挟む「ソウ様、そろそろ潮時ですかな」
「あぁ、もう十分だろう」
刈り尽くしたドラゴン達をまた蘇らせ、この場をお開きにした。
皆の神聖魔法のレベルは6000を超え、最低限実用的なレベルにはなっただろう。
だが、俺の魔法と皆の魔法は色々と違いがあった。
俺の魔法は神が特別に力を分け与えてくれたものということで、MPの消費がない特別製なのだが、皆はもちろんMPを消費する。
当然、リザレクションは何度も出来るがエリアリザレクションとなれば、なんとMPの都合で一回しか出来ないようだ。
それにポーションを出すのも、細かく分かれているようで、HPを回復させるものであれば、いくつも作れるようだが、MPを回復させるものは一日に一個が限界のようだ。
まぁ、一日のMPを瓶に溜めておくような感覚らしい。
あと、ホーリーソードもあまり長くは出来ないようだし、バリヤーも大きいのは展開できない。村人にはバリヤーは局所的に展開する技を教えておいた。
「よし、これで皆が主導して、村の他の人たちも導いていけるだろう!」
「はっ! この身に余る幸せですじゃ!」
村長は元気になってくれたが、ドウムは泣いてばかりいるのであった。
*
「レイ、昨日からノーラの姿が見えないがどうしたんだ?」
「さ、さぁ。どうしたんじゃろうの? ほら、ノーラがいると出来ぬ事もあるじゃろうし、気を利かせてくれてるんじゃないかのぅ?」
とぼけるレイ。
「レイ、俺は真面目に話してるんだがな」
俺はマッピングの魔法でこの近くにノーラがいなくなったことをわかっていた。問題はどこへ行ったのか、なのだが……。
「むむむ……。旦那様には隠せぬか……」
いや、俺じゃなくてもわかりやすすぎるだろ!
「ノーラは元魔王城へ向かってもらったのじゃ……」
視線を逸らしながら答えるレイ。
「元魔王城か……、危険なんじゃないのか?」
「それは……、百も承知しておるのじゃが、妾とノーラを助けてくれた宰相ゲッケと近衛騎士団が心配で……」
レイは目に涙を溜め手で拭いながら吐き出すように言った。
「そうか……。俺に任せておけ。生き残っている者がいれば助けるし、ノーラも無事に返すと約束しよう」
「だ、旦那様~~~!!」
レイは俺の服にしがみつくように泣き出してしまった。
*
「すまんな、ついてきてもらって。村長」
「いえいえ、お安いご用ですじゃ。頼りにしていただけるなんて村長冥利に尽きますのぉ。ホッホッホ」
俺は泣き疲れたレイを背中に背負い、村長を引き連れ、元魔王城を目指してひたすらに走っていた。
かなり距離があるようで俺が走っても一日では着かなかった。夜通し走り抜け、到着したのは次の日の朝日が昇ってからのことであった。
「ん? 随分と慌ただしいな。これは……」
「ふぅむ、軍が出撃するようですな。魔王閣下との決戦に向けて全軍で出るつもりでしょう」
城の外にはテントがいくつも出ており、今日にでも進軍できるように見える。
「よし、では、俺が囮になって正面から攻めよう。敵の親玉まで引きずりだす。そこでレイと村長が城に侵入して助け出すってことでどうだ?」
「えぇ、でも一人で大丈夫?」
「あぁ、俺を誰だと思ってる。六大将の二人さえ引き付ければ、レイと村長の二人なら敵はいないだろう」
「仰せのままに。さぁ閣下、参りましょうぞ」
「わかったわ。旦那様、ご武運を!」
レイが近寄ってくると俺の頬に柔らかで温かい感触が触れた。
「レイも気をつけて」
「ホッホッホ、仲がよろしいようでなによりですなぁ」
村長は冷やかしを入れつつレイを連れて城の後ろへ回り込んでいった。
さて、始めるか。なるべく派手に暴れた方が引き付けやすいだろう。
俺はゆっくりと歩きながら、風魔法、トルネードカッターと、闇魔法、ヘルファイアーを立ち並ぶテントに向けて放つ。
兵達は何が起こったのかわからないままに蹂躙されていく。
ただ大声で騒ぎ立て、散り散りになって逃げ惑う。逃げる敵を見ていると、どうやらこの軍は獣人が多いようだ。いつか見た馬顔の大男や、牛顔の男、獅子顔の男やらが多く見受けられる。
今回は全滅させるわけではなく、ボスを引き付けるのが目的だ。
逃げる者は放置、敵の武器を減らすため、テントは入念に燃やしていくぞ。
暴風と爆音が鳴り響くなか、俺は悠々と敵軍の真ん中を歩いて城へ近づいていく。
「くっ、このバケモノめぇ!」
中には士官もおり、襲いかかってくるが、俺の相手になる者はいなかった。
すれ違いざまに切り捨て、獣の頭が体とズレ落ちる。
その隊長らしき者の死に様を見ても俺に向かってくる一団がいた。
「かなり勇猛な奴らだな。だが、無駄死にするだけだぞ」
俺の言葉に耳も貸さず突っ込んできた。
逃げれば良いものを……、仕方がない。
ホーリーソードを伸ばし、まとめて一閃する。
その一団が一気に崩れ去ると、蜘蛛の子を散らしたように兵たちは一斉に逃げ出していくのであった。
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