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第3章 エルフの国にて

第25話 モンスター同士の戦い

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「わぁ、ここがエルフの住んでいる所なのか!」

「えぇ、みんな静かに暮らすのが好きだし、なにより森を愛しているのよ」

 三時間ほど全力で疾走していくと、目の前に広がったのは広大な森であった。

 そして、ここからでもわかるほどの大きさを誇る巨大な木が、遠くに見えている。

「あの大きな木が世界樹という木なの! あそこに私の生まれた村があるはずよ」

 ミーナの顔は晴々としていた。故郷に帰るのは久しぶりらしく、楽しみにしているようだった。

「よし、森も一気に行くよっ!」

「えっ? ちょっと待って、歩いていくんじゃないの!?」

「そんなことしてたら日が暮れちゃうよ」

「でも、こんな鬱蒼としてるし、人が一人歩けるだけの道しかないのよ?」

「大丈夫。任せてくれ!」

 俺はミーナを背負ったまま、大きくジャンプした。木の枝に立つと、すぐに隣の木の枝へジャンプして移動を開始した。

「うそ? こんな移動あり?」

 ミーナは背中で驚いているけれど、オーク達を倒しに行った時だってこうやって移動してたんだけどな……。ま、いいや。

「舌を噛むなよ?」

「え、えぇ!」

 次々とジャンプを繰り返し、遠くにあった世界樹はどんどん近くに迫ってきたときだった。

 鳥たちがいっせいに飛び立った。

「うわ! びっくりした!」

「何かあったのかしら? 鳥がこんなにざわつくなんて……」

「あ、あれはオークと、一体何だ? あれは……」

 数多くの鳥たちが一斉に飛び立った跡には魔物同士が戦っていた。

 片方の魔物はオークで間違いない。しかしもう片方の魔物は……、大型の蝙蝠だろうか?

 大型の蝙蝠らしき生物は全身を黒く長い毛に覆われており、長い翼をはためかせて空を飛んでいる。体長が大きく、オークにひけをとっていない。

 オークは体長三メートルといったところだが、大型の蝙蝠は二メートル以上は確実にある。翼が大きく、羽ばたくことによって暴風を起こし、オークは前に進めないどころか、目も開けられないように嫌がっている。

 そのオークは近くにあった岩を持ち上げ、オオコウモリに投げつけると、それをヒラリと躱し、オークに飛びかかった。

 巨体の魔物同士の決闘は迫力があり、周りの木々を軽くなぎ倒しながら二体が暴れ回る。

「おお、すごいな。オークも丸太を振り回して応戦してるぞ!」

「あの蝙蝠は素早いわね。丸太が全然当たらないわ」

 やがて蝙蝠がオークの懐に入り込み、口を大きく開けると、長い牙を首元に刺した。

「お? やっぱり蝙蝠だな。血を吸うのか!」

「ちょっと待って、オークの様子がおかしいわ!」

 オークはビクンビクンと全身を震わせ、やがて抵抗も出来ず、なすがままになってしまった。

 オオコウモリが牙を抜くと、オークの眼が赤く光りだした。

「こ、これは……?」

「何が起こっているの?」

 オオコウモリはまた羽ばたきだした。なんと、その後をオークがついていくのだ。

「操っているのか? 他の魔物を!」

「そうみたいね。気持ち悪い蝙蝠だわ」

「倒すか?」

「出来るの?」

「多分、大丈夫だろ? あんま強そうに見えないし。あ、先に魔法を当ててくれよ」

「うん。いつでもいいわ」

 素早く後を追いかけ、ミーナがオークにファイアーを当てると、それだけでオークは焼け死んだ。

「お? 一発で倒したか!」

「えぇ、でもまだ一匹残ってるわ!」

 オオコウモリがこちらにきづいて振り返るがもう遅い。

 さらにミーナがファイアーを当てると、全身火だるまになって墜ちていった。

「やったわ!」

「レベルを上げた効果が早速でてるね!」

「ありがとう! ソウのおかげよ!」

 笑顔で俺に感謝してくれるミーナ。

 しかし、今度は大規模な戦闘の音が聞こえだした。

「あ、あれは?」

「仲間のエルフ達だわ! さっきのオオコウモリやオークと戦ってる! いや、それだけじゃない。オオコウモリがいっぱいいるわ!」

 俺たちはすぐに戦闘音のする所へ急ぐのであった。


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