Fortune & Destiny

世界には、5つの大樹があった。
総じて、世界樹、或いはマナの木と呼ばれた。
マナの木にはそれぞれに名前があった。
その内の1つが『フォーチュン』。
『希望』という意味で名付けられたその大樹は、東西で終わる大陸の果て、つまりは世界の果ての先に立っていた。
他の4つと比べても、その巨大さは比ではなく、東西其々の果てから霞む姿を望めると言う。
そのフォーチュンには、強大な力があると言う伝説があった。
世界中のマナが枯渇しても、再び世界にマナを充満させる力が。
そして今、正に世界は枯渇しつつあった。
魔法の力も多くを失われ、今では魔法と呼べるものを扱える者が僅かとなり、人々は、希望の名を宿す大樹の伝説に縋るしかなかった。
ところが、大樹の力を解放するには、大樹の麓に辿り着かなければならないと伝えられる。
だが、果てと大樹の間には、激しい暴風が吹き荒れ、果ての暴風は人の命さえ簡単に吹き消すとも語り継がれていた。
誰もがそれを恐れて近付かない。
手立てを失った人々は、未来を諦め、世界はゆっくりと滅び往くのだった。
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