サバゲでデスゲって、もはやリアルな修羅場ッ!!?

水咲 蓮

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開始!?

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ハザダイがデスゲとなって以来、オンラインと同じようにマップはオフラインプレイ時より広くなっていた。
オンラインならランダムで選別されたメンバーが、1つの同じマップサーバーに20人まで集められ、PvPも含めた生き残りを競う。
その為、広すぎるとプレイヤー同士が会い難くなるので、マップの広さはオフラインプレイ時の約4倍にとどめられていた。
つまり、オフライン時のマップ1つのサイズに、プレイヤー5人が定員という事だ。
そして、震災時、ハザダイをプレイしていたプレイヤー全員が、一同に国家サーバーに集められているので、その人数に5分の1を掛けた数字が、マップの倍率と考えて良いだろう。
後は、国内千人前後とされるプレイヤーのうち、震災被害地域に何人居て、被害時にログインしていた人が何人居たのか、だ。
正確な人数を把握する事は不可能だが、大都市東京を中心とした震災だけに、少なくない事は推測できる。
都心が国内の人口の多くを有しているこの国家なら、震災に遇ったプレイヤーは凡そ300人を下らない。
そして、学生は学校も終わっている時間だし、働き方改革が進んだユーリ達の時代では、震災時の17時半頃には、仕事も終わって家に居る社会人も、少なくはなかったはずだ。
酒の規制も厳しくなり、週末とはいえ年末でもないから、仕事終わりに酒を飲みに行く人も多くない。
しかも、こんなマニアックなゲームを未だにやっているプレイヤー達の事だ。
かなりこのゲームに入れ込んでいて、何を置いてもハザダイをやりたいくらいの人が多いはずだった。
それらを基に考えれば、真っ直ぐ家に帰って、週末ぶっ通しでハザダイをやろう、などと考えるプレイヤーが、3分の2は居たんじゃないだろうか。
ユーリ達もまさにその中の1人となるワケだが。
つまり、200人以上はあの時間にログインしていたと予想される。
そう考えると、マップがオンラインと同じ比率で広がるとしたら、凡そ40倍近く広げられてる事になる。
オフラインの1マップの広さだけでも、安全地帯の端から反対の端まで行くのに概ね半日。
時間にして12時間前後はかかる。
マラソン選手でもない、普段から運動などしていない一般人が、間に徒歩で休みながら走ってそれだから、距離にしたら直径50キロくらいだろうか。
その40倍となると、直径2000キロにもなる。
日本の本州から九州までが、その円の中に収まるくらいだ。
更にそれを真ん中に置いて、北端と南端を繋ぐ正円を書き、その中に入る海も陸地にしたくらいの広さだ。
それ程広いマップに、本当にヘリが1機しか来なかったら、片道で何日もかかる所から来るプレイヤーは、イベントに参加できない事になる。
それでは全員参加など到底できはしない。
従って、プレイヤー毎、または協力プレイ設定をしているグループ毎に、別々の場所にヘリが来る様になっているはずだ。
そして、ヘリが不時着する地点は、恐らく不時着地点から寝袋までの距離を一定の距離で算出し、その位置を不時着地点に指定される。
但し、ストーリー上ヘリは1機となっている為、他のプレイヤーからは、ユーリ達用に不時着したヘリは見えないし、逆も同じだ。
イベントが始まれば、ゴールするまでは他のプレイヤーにはユーリ達が連れる乗員達すらも見えない。
また、イベント開始からゴールするまでの間、ゾンビのリスポーン率が上がり、大量に発生する。
具体的には、半径10メートルに1体程度の距離間隔で発生し、1度に同時にリスポーンできる数もプレイヤー1人あたり3体、同時活動数上限がプレイヤー1人あたり6体となっている。
そして、イベント参加者から半径15メートル以上、50メートル以内でイベント用のゾンビはリスポーンし、参加プレイヤーが近くで纏まっていれば、リスポーン範囲が重なり、プレイヤー毎に各々の範囲で決まった数が発生するのだ。
つまり、3人が密集して動けば、ほぼ1人分と同程度の範囲に、1度に9体もリスポーンする事になる。
大人数を連れてる場合、仮に列状に並び、前方か後方のどちらかにプレイヤーが集まると、反対側の救助者の至近距離でゾンビがリスポーンし、すぐに攻撃されてしまいかねない。
そうなると、その救助者を助けに体制を崩せば、苦戦してすぐに倒せなくなり、ゾンビはどんどんリスポーンして溜まっていく。
すると、同時活動数の上限が18体なので、最大18体もの個体に囲まれ、全滅しかねないのだ。
そうならない為の策を、ユーリ達は歩きながら話し合っていた。
「オーケー!じゃあ、それで行くぞ!?」
「「おうっ!!」」
話は纏まり、シャーを司令塔に、ユーリ達も歯切れの良い応答をする。
因みに、希に常時発生のゾンビが付近でリスポーンして、イベント中のプレイヤーに襲いかかる事もあるので、その場合は先の上限を越える事も注意が必要だった。
逆に、ユーリ達用にリスポーンしたゾンビだが、他のプレイヤーが近くに居た場合には、そのプレイヤーも襲われる。
ゾンビの対生存者嗅覚は、感知範囲が半径30メートルと言われている。
視覚感知はさらに広く、半径50メートル。
臭いに気付いても動いているモノを視覚認識しなければ向かって来ない事もあるが、大勢を連れての移動では流石に目に付くから、常にエンカウントする状況になりそうだ。
せめてもの救いは、イベントに参加したプレイヤーは、其々のヘリに救助に行くので、ヘリの位置は上手く散る様になっている。
その為、他のプレイヤーに邪魔される事は、かなり減ると思われた。
大幅に遠回りや寄り道でもしない限り、他のプレイヤーとは、互いを遠目に見る事はあっても、経路が交差したり、重なったりはしないはずだ。
ともあれ、仲間になるNPCキャラの姿なども、ユーリには楽しみで仕方ない。
そんなに多くの外見パターンは無いから、もしかしたら、ハンプやエリーゼの色違いとかが、救助対象の中に居るかも。
そんな事を内心考えながら、ユーリの心は踊っていた。
「ここね」
アリアがそう言って空を見上げる。
荒野を東北東に進み、細長い荒野エリアを抜けた先の、草原地帯に来ていた。
木は疎らで、確かにヘリが着地するには良いかもしれない。
草も生えてない荒野の方が、もっと着地しやすかっただろうけど、そこはゲーム臭い設定上、一定の距離を拠点から離した結果だろう。
「ああ。間違いない」
シャーとユーリも到着して、空を見上げた時、真上よりまだ東に居る太陽から、黒い点が大きくなってくるのが見えた。
指定地点にプレイヤーが到着するのに合わせて、イベントが始まる。
次第に、下から金魚の影でも見ているかのように、ぷっくらとした胴に尻尾の方が細くなった影が降りてきた。
バラバラと大きな音をばら蒔き、周囲に存在感を与える。
「おお!ブラックホークかな、あれ!!」
ユーリがヘリの機種を言うが、シャーもアリアもそこまでの知識はない。
「有名なのか?」
「う~ん、まあ、有名というか、日本の自衛隊で使ってる最新の機体の基になった、昔の機体だよ!」
「へえ~。ホントにユーリは物知りだね。あたしはホントにド素人だから、今度ゆっくり教わりたいかも」
そんな話をして、ユーリとアリアがヘリに夢中になっている間に、ふと周囲を見渡したシャーがボーガンを構えて声を溢した。
「おいおい、待て待て待て!まだヘリも着地してないのに、いきなり八方からゾンビがお出ましだぞ!?」
言われてハッと我に返ったユーリは、反射的にボーガンを構えて周囲を見渡した。
ゾンビ達は、既に6体もの数がリスポーンしている。
その他にもイベント前から普通に湧いていた2体がこちらに気付いて迫ってきていたのだった。
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