太陽を追いかける月のように

あらんすみし

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幸せな結末

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福山さんの告白が成功し、無事に後輩君と付き合うことが報告された時の投稿は、2人の恋の行方を見守ってきた人達からの祝福のコメントで溢れていた。
福山さんの決断に半分否定的だった僕も、福山さんの恋が成就した投稿を目にしたときは、本当にこんなお伽話みたいな展開があるのか?っと、自分のことでもないのに興奮し、純粋に安堵してお祝いのコメントを送らずにはいられなかった。
僕の送ったコメントにも福山さんは律儀に返事を返してくれて、他のコメントも僕が覚えている限り、全てコメントにお礼のコメントを返していた。 
そういう人柄だからこそ、最初は好奇の目で見ていたであろう人もいただろうが、途中から2人のことを応援してしまうのだろうと思った。
これから2人にどんな未来が待っているのか、僕にはこのとき想像もつかなかった。
ただ、1年以上交際が続いたことのない僕は、この物語の続きが永遠に続いてくれることを祈っていたし、実際ここまで運命的に出逢って付き合いが始まったわけだから、これから先もずっと幸福な投稿が続くものだと信じて疑わなかった。
とかく男同士の恋愛は、男同士に限らずかもしれないが、だいたいが体の関係が終わると別れるか、家族や同居人のような関係になって惰性で付き合いが続く。
それでもまだ、互いに大切な存在であると認識していればいいのだけど、大体の場合はそうはならず、ただ一緒にいるだけの存在となる。
だからこそなのか、僕はこの2人の関係が余計に、自分が夢見るような運命の関係であってほしいと願ってやまなかった。
どこかで恋愛に絶望していた僕は、自分の叶わぬ夢を2人に重ね合わせていたのかもしれない。
もしかしたら、この2人なら本当に永遠を僕に見せてくれるのかもしれない。
僕は、どこの誰かもわからない、見ず知らずの2人の恋愛の行方に心の底からエールを送らずにはいられなかった。
それからというものの、福山さんの後輩君との幸せな生活の投稿は、多ければ1日に複数回の投稿があった。
どの投稿も、2人がお互いを思いやり、労り、大切にしていることが手に取るようにわかる、優しい愛の生活のエピソードの数々。
特に福山さんの後輩君への愛情は、文章の端々に滲み出ていて、人がこんなに他者を思いやれるものなのかと思わせずにはいられなかった、
読んでいると自然と笑顔になり、妬みや僻みなど全く湧き起こる余地の無い、純粋な愛が溢れている気がした。
2人の仲はさらに加速度を増して進展していく。
次から次へと幸せそうなイベントが起きて、僕はそのたびに驚きと嬉しさと幸福のお裾分けをたくさん貰うことができた。
いつか、自分にもこんな恋愛をする日が訪れてくれたりするのかな?
自分にもそんな期待を持たせてくれる投稿が続いていった。
福山さんの投稿を読みながら、どうか、いついつまでもお幸せにと願った。
その先の未来など、このときは知る由も無かった。

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