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最終章
悪意の海
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警察に出向いた俺は、いつものように鑑識の資料をこっそりと見せてもらった。
そこで得られた情報は非常に興味深いもので、俺の推理を裏付けるのに役立った。
やはりそういうことだったか。
これで状況証拠は裏付けが取れた。
あとは動機だけ。これから学校に戻り、放課後には目黒明日香から調査報告を得られるだろう。随分とはりきっていたが、今でも少し彼女に調査の手伝いをさせていることは気が引ける。
そう言えば、朝方に撒いた餌に獲物は喰いついていてくれてるだろうか?
俺は、あまり期待せずにSNSを開いてみた。
「えっ!こんなに!?」
そこには、おびただしい数のコメントが溢れかえっていた。あまりの数に、思わず俺は声が出てしまった。
「こりゃあ、遡るだけでも一苦労だな」
投稿にはさまざまな内容の書き込みが残されていた。
5人の人間関係や、それぞれの人間性、中には個人情報とおぼしきものまで、どこまで正確なのかわからない噂や憶測の域を出ない、ありとあらゆるコメントがどんどん増えていく。
そして、そのほとんどが5人を貶めるような内容で、肯定的なコメントはついぞ見当たらなかった。
果たして、これだけの数のコメントの中に、どれほどの真実があるのだろうか?
佐野杏奈については、その強気な性格や目立つ存在から多くの生徒達、とりわけ女子と思われる書き込みで、強烈な罵詈雑言が並べられていた。
加納慎一については、こちらはこちらで男子達からのやっかみと思われる書き込みが並び、いけすかないカッコつけしいとか、ナルシストと書き込まれていた。
安城誠は、ガリ勉で根暗で何考えているかわからない、槇隆文については軽くてチャラくて万年補欠、中井華子に至っては「ニモ」と揶揄されていた。
俺は何故彼女が「ニモ」と呼ばれているのか分からず、ネットで「ニモ」について検索してみると、ディズニーアニメの「ファインディングニモ」の主人公から来ているらしいことが分かった。
どうやら、中井華子をイソギンチャクを宿主としているクマノミになぞらえているようだ。
しかし、それさえも「あんなブスにニモなんて可愛い名前勿体無い」、「小判鮫で正解」などと書き込まれている始末だった。
「それにしても、凄い悪意ある言葉の数だ。まるで電子の海に投げ出されたかのようだ」
果たして、この膨大な数のコメントの中に、事件の背景となるような情報はあるのだろうか?どう見ても、事件とは結びつかないただの中傷のようなものばかりだが。
『佐野さんって、小学生の頃に万引きして補導されたことあるらしいよ』
『それなら安城誠が、この間、本屋の参考書コーナーでキョドッてるのを見たよ』
『あいつの家、シングルマザーで貧乏だから、参考書を万引きしようとしてたんじゃないの?笑』
『あー、見たわ、あたし。あの子が万引きしてるところ』
『中井って小学生の頃、いじめられてて引きこもりだったんだってさ』
『だからあんな捻くれた性格なのか?』
『それを言ったら、加納なんて学級崩壊させて担任を退職に追い込んだって』
『あー、それ聞いた。なんか自慢してたよね』
『うわ!最悪。クズだな笑笑』
『クズと言えば槇も負けてない。あいつ、顧問と寝てレギュラーになろうとしてたんだぜ』
『うわ!マジかよ、枕営業とかあり得ないわ!』
『枕で思い出したけど、中井って子、男に対して節操ないよね』
『そうそう、しょっちゅう好きな男が変わって色目使って。でも、必ずフラれるの。ウケる笑』
『佐野は逆だな。あの女、お高く止まってて苦手』
『槇が一生懸命アタックしてるけど、全く相手されてないよな』
『あのグループ、けっこう乱れてるよね。前は佐野と加納が2カ月付き合ってたし、中井は加納にフラれてるし』
俺は、このやり取りを見ていて、心の底から改めて人間関係に嫌気が差す気持ちだった。
やはり人間関係は必要最低限でいい。このSNSの中は、特別悪意で満ち満ちている。こういう匿名性の高い場所では、人間の悪い部分が出やすいのだろう。それが人間の本質でもあるのだろうか。
さて、SNSの投稿を見て、いくつか有益な情報を得られた。
あのグループが、周りから思っていた以上に疎まれていたことが分かったし、そして、グループ内の人間関係についても、なかなか入り組んでいたことがわかってきた。
あとは絡まった糸を、一本ずつ解きほぐしていくだけだ。
その時、俺のスマホに目黒明日香から着信が入った。どうやら彼女の方も捜査に一定の結論が出たようだ。
昼休み、俺は旧校舎の裏で目黒明日香と落ち合い、彼女から捜査状況を聞くことにした。
「探偵さん!」
目黒明日香が明るい声をあげて駆け寄ってくる。
「静かに。人気の無い場所だからって、誰がいるかわからないだろ。ここでは探偵さんと呼ばないようにしてくれ」
「ごめんなさい、佐藤先生」
目黒明日香は、あまり反省の色が見られない様子で謝った。
「それで、あの6人の関係について何かわかったことはあったか?」
「うん、皆んないろいろと話したがってウズウズしているから、証言を取るのは簡単だったわ。でも、そうなるとどれが重要な証言なのか分からなくなってしまって。先生の方はどう?何かわかった?」
俺は例のSNSを開いて目黒明日香に見せてみた。
「わぁ!こんなにたくさん?でも、これじゃあどれが本当か嘘か分からなくなっちゃうね」
「まぁ、そうだな。だが、俺が確認したいことはもう決まっている。それの真偽を確かめるだけでいい。それが確認されれば、この事件は今日にも解決だ」
俺の言葉に目黒明日香は目を丸くした。
「えっ、そうなの?なんだ、つまらない。せっかく捜査が始まったばかりなのに」
目黒明日香は分かりやすく残念がっているが、いちおう俺も教師としていつまでも彼女を巻き込みたくは無い。さっさと解決しなければならない。そしてなにより、早く元の生活に戻りたい。
「まず一つ目だ。佐野杏奈と加納慎一が交際していたというのは本当か?」
「うん、それは本当。でも、一年生の時の話しよ。それが今更、事件と関係あるの?」
「中井華子について、君はどんな印象を持っている?」
「嫌な女よ。いつも佐野にべったり媚を売って、女版スネ夫ね」
「彼女が加納慎一に好意を抱いていたと言うのは?」
「あっ、それね。そのことであの女、凄く怒ってたの。加納が告白されたことをバラしちゃったから。だからあの2人、最近はあまり話さないのよ」
「そうか、なるほどね」
「ねぇ、それが何か大事なことなの?」
目黒明日香は、少し苛立ちを隠せずにいた。きっと、彼女としてはもっと事件の核心に迫る重大なことを聞かれて、自分が事件解決に繋がる重大証言をしたいのだろう。
「そういえば、君の方で分かったことであればいいのだが、例えば加納慎一のことで」
「うーん、加納のことね。そうそう、昔、加納が槇の好きな子を取っちゃったことがあるんだけど、あれね、少し違うのよ」
「どういうこと?」
「私、その子に聞いたことあるんだけど、本当はその子と加納って付き合ってないの。簡単に言うと、加納はその子に二股かけられてたの。でもあいつ、プライド高いじゃない?自分の方が2号だとカッコつかないから、槇から取ったことにしたの。かっこ悪いでしょ。皆んなは槇が加納を嫌ってると思ってるみたいだけど、実は加納の方が槇を良く思ってないのよね」
目黒明日香は、そんな裏事情を笑いを抑えながら説明した。
「なるほどねー。あの子たち、仲良しグループでは無かったんだ。実は佐野君と安城君も仲悪かったりして」
「あの2人はどうかな?でも、安城はどうだかわからないけど、佐野は嫌ってるかもね」
「何か心当たりでもあるのか?」
「私、先月だったかな?佐野が安城にお金を渡しているのを見たことがあるの。理由はわからないけど」
俺はその証言を聞いて、一つ思いついたことがあった。俺は目黒明日香に礼を言い、急いでSNSを開いてDMを送った。
そこで得られた情報は非常に興味深いもので、俺の推理を裏付けるのに役立った。
やはりそういうことだったか。
これで状況証拠は裏付けが取れた。
あとは動機だけ。これから学校に戻り、放課後には目黒明日香から調査報告を得られるだろう。随分とはりきっていたが、今でも少し彼女に調査の手伝いをさせていることは気が引ける。
そう言えば、朝方に撒いた餌に獲物は喰いついていてくれてるだろうか?
俺は、あまり期待せずにSNSを開いてみた。
「えっ!こんなに!?」
そこには、おびただしい数のコメントが溢れかえっていた。あまりの数に、思わず俺は声が出てしまった。
「こりゃあ、遡るだけでも一苦労だな」
投稿にはさまざまな内容の書き込みが残されていた。
5人の人間関係や、それぞれの人間性、中には個人情報とおぼしきものまで、どこまで正確なのかわからない噂や憶測の域を出ない、ありとあらゆるコメントがどんどん増えていく。
そして、そのほとんどが5人を貶めるような内容で、肯定的なコメントはついぞ見当たらなかった。
果たして、これだけの数のコメントの中に、どれほどの真実があるのだろうか?
佐野杏奈については、その強気な性格や目立つ存在から多くの生徒達、とりわけ女子と思われる書き込みで、強烈な罵詈雑言が並べられていた。
加納慎一については、こちらはこちらで男子達からのやっかみと思われる書き込みが並び、いけすかないカッコつけしいとか、ナルシストと書き込まれていた。
安城誠は、ガリ勉で根暗で何考えているかわからない、槇隆文については軽くてチャラくて万年補欠、中井華子に至っては「ニモ」と揶揄されていた。
俺は何故彼女が「ニモ」と呼ばれているのか分からず、ネットで「ニモ」について検索してみると、ディズニーアニメの「ファインディングニモ」の主人公から来ているらしいことが分かった。
どうやら、中井華子をイソギンチャクを宿主としているクマノミになぞらえているようだ。
しかし、それさえも「あんなブスにニモなんて可愛い名前勿体無い」、「小判鮫で正解」などと書き込まれている始末だった。
「それにしても、凄い悪意ある言葉の数だ。まるで電子の海に投げ出されたかのようだ」
果たして、この膨大な数のコメントの中に、事件の背景となるような情報はあるのだろうか?どう見ても、事件とは結びつかないただの中傷のようなものばかりだが。
『佐野さんって、小学生の頃に万引きして補導されたことあるらしいよ』
『それなら安城誠が、この間、本屋の参考書コーナーでキョドッてるのを見たよ』
『あいつの家、シングルマザーで貧乏だから、参考書を万引きしようとしてたんじゃないの?笑』
『あー、見たわ、あたし。あの子が万引きしてるところ』
『中井って小学生の頃、いじめられてて引きこもりだったんだってさ』
『だからあんな捻くれた性格なのか?』
『それを言ったら、加納なんて学級崩壊させて担任を退職に追い込んだって』
『あー、それ聞いた。なんか自慢してたよね』
『うわ!最悪。クズだな笑笑』
『クズと言えば槇も負けてない。あいつ、顧問と寝てレギュラーになろうとしてたんだぜ』
『うわ!マジかよ、枕営業とかあり得ないわ!』
『枕で思い出したけど、中井って子、男に対して節操ないよね』
『そうそう、しょっちゅう好きな男が変わって色目使って。でも、必ずフラれるの。ウケる笑』
『佐野は逆だな。あの女、お高く止まってて苦手』
『槇が一生懸命アタックしてるけど、全く相手されてないよな』
『あのグループ、けっこう乱れてるよね。前は佐野と加納が2カ月付き合ってたし、中井は加納にフラれてるし』
俺は、このやり取りを見ていて、心の底から改めて人間関係に嫌気が差す気持ちだった。
やはり人間関係は必要最低限でいい。このSNSの中は、特別悪意で満ち満ちている。こういう匿名性の高い場所では、人間の悪い部分が出やすいのだろう。それが人間の本質でもあるのだろうか。
さて、SNSの投稿を見て、いくつか有益な情報を得られた。
あのグループが、周りから思っていた以上に疎まれていたことが分かったし、そして、グループ内の人間関係についても、なかなか入り組んでいたことがわかってきた。
あとは絡まった糸を、一本ずつ解きほぐしていくだけだ。
その時、俺のスマホに目黒明日香から着信が入った。どうやら彼女の方も捜査に一定の結論が出たようだ。
昼休み、俺は旧校舎の裏で目黒明日香と落ち合い、彼女から捜査状況を聞くことにした。
「探偵さん!」
目黒明日香が明るい声をあげて駆け寄ってくる。
「静かに。人気の無い場所だからって、誰がいるかわからないだろ。ここでは探偵さんと呼ばないようにしてくれ」
「ごめんなさい、佐藤先生」
目黒明日香は、あまり反省の色が見られない様子で謝った。
「それで、あの6人の関係について何かわかったことはあったか?」
「うん、皆んないろいろと話したがってウズウズしているから、証言を取るのは簡単だったわ。でも、そうなるとどれが重要な証言なのか分からなくなってしまって。先生の方はどう?何かわかった?」
俺は例のSNSを開いて目黒明日香に見せてみた。
「わぁ!こんなにたくさん?でも、これじゃあどれが本当か嘘か分からなくなっちゃうね」
「まぁ、そうだな。だが、俺が確認したいことはもう決まっている。それの真偽を確かめるだけでいい。それが確認されれば、この事件は今日にも解決だ」
俺の言葉に目黒明日香は目を丸くした。
「えっ、そうなの?なんだ、つまらない。せっかく捜査が始まったばかりなのに」
目黒明日香は分かりやすく残念がっているが、いちおう俺も教師としていつまでも彼女を巻き込みたくは無い。さっさと解決しなければならない。そしてなにより、早く元の生活に戻りたい。
「まず一つ目だ。佐野杏奈と加納慎一が交際していたというのは本当か?」
「うん、それは本当。でも、一年生の時の話しよ。それが今更、事件と関係あるの?」
「中井華子について、君はどんな印象を持っている?」
「嫌な女よ。いつも佐野にべったり媚を売って、女版スネ夫ね」
「彼女が加納慎一に好意を抱いていたと言うのは?」
「あっ、それね。そのことであの女、凄く怒ってたの。加納が告白されたことをバラしちゃったから。だからあの2人、最近はあまり話さないのよ」
「そうか、なるほどね」
「ねぇ、それが何か大事なことなの?」
目黒明日香は、少し苛立ちを隠せずにいた。きっと、彼女としてはもっと事件の核心に迫る重大なことを聞かれて、自分が事件解決に繋がる重大証言をしたいのだろう。
「そういえば、君の方で分かったことであればいいのだが、例えば加納慎一のことで」
「うーん、加納のことね。そうそう、昔、加納が槇の好きな子を取っちゃったことがあるんだけど、あれね、少し違うのよ」
「どういうこと?」
「私、その子に聞いたことあるんだけど、本当はその子と加納って付き合ってないの。簡単に言うと、加納はその子に二股かけられてたの。でもあいつ、プライド高いじゃない?自分の方が2号だとカッコつかないから、槇から取ったことにしたの。かっこ悪いでしょ。皆んなは槇が加納を嫌ってると思ってるみたいだけど、実は加納の方が槇を良く思ってないのよね」
目黒明日香は、そんな裏事情を笑いを抑えながら説明した。
「なるほどねー。あの子たち、仲良しグループでは無かったんだ。実は佐野君と安城君も仲悪かったりして」
「あの2人はどうかな?でも、安城はどうだかわからないけど、佐野は嫌ってるかもね」
「何か心当たりでもあるのか?」
「私、先月だったかな?佐野が安城にお金を渡しているのを見たことがあるの。理由はわからないけど」
俺はその証言を聞いて、一つ思いついたことがあった。俺は目黒明日香に礼を言い、急いでSNSを開いてDMを送った。
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