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第三章 ネクストステージ
激昂
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翌日、学校では加納慎一が何者かに襲撃されて怪我を負った話題で持ちきりだった。
というのも、朝の情報番組でこのニュースが報じられたせいである。
金井校長は、朝の職員会議で苛立ちを隠し切ることが出来なかったが、久米川教頭は白鳥萌や学校に蔓延る虐め、そして佐野杏奈が危険に晒されたことと、まだ関連づけられて報じられなかったことを、不幸中の幸いと受け止めて胸を撫で下ろしていた。
学校側は今回の件について、徹底した箝口令を敷いていたが、とても全てのメディアから生徒達を守ることもできず、虐めや佐野杏奈の事故のことが白日の下に晒されるのも時間の問題と思われた。
「こうなったら、早く火消しをするしかありません。下手に尾鰭の付いた噂など出回ったら、それこそ我が校のブランドイメージが台無しです。今、どこまでわかっていらっしゃるの?」
金井校長が俺に迫る。俺も早くこんな案件はさっさと解決して、性に合わない教員生活から抜け出したいところだが、まだ情報があまりにも乏しすぎる。小川からもあれから何も言って来ない。
「それじゃあ、また次に何か起きるまで待てと言うんですの!?」
金井校長の俺を問い詰めるトーンが上がる。
そんなことを言われても、ホームズやポワロじゃあるまいし、いや、その2人でも今の状況では何も分かるまい。
「兎に角、お金はいくらでも払いますから、1秒でも早く解決してくださいな!」
金井校長は、言うこと言ってさっさと校長室に篭ってしまった。
「今夜、今回のことで保護者向けの説明会が開かれます。佐藤先生も出席してくださいね」
久米川教頭もこれからの対応に頭を痛めていることだろう。どうやって保護者を納得させるつもりなのか、大変なことになった。
「大野先生、生徒にはどう説明するつもりですか?」
俺は大野に尋ねてみた。
「私は包み隠さず話した方がいいと思うのですが、学校の方針には従うしかありません。まずは生徒に現段階での正しい情報を伝えて、動揺を最小限に抑えるしか無いでしょう」
朝のホームルームは、どこか空気が今までと違い張り詰めていた。どことなく、生徒達が浮き足だっているのが分かる。
生徒達から、大野の口から何が発せられるのか、期待と好奇心が混在した何かを望んでいるのが伝わってきた。
「先生から皆さんに、このあとお話しがあります。その前に、まずは出席をとります。目黒さんは・・・保健室かしら?中井さんは欠席、と」
そして大野がこれまでに分かっている事実を伝えるが、多くの生徒は納得がいかないのか、そこかしこで何やら囁きあっている。
「私からは以上です。くれぐれも軽々しく事実では無いことを言うのは謹んでください。それと、加納くんは大事をとって今日まで入院することとなりました。放課後、私と佐藤先生はお見舞いに行くので不在とします。それから、佐野さんもクラス代表として同行してもらえるかしら?」
「え~、何で私が?」
佐野杏奈が口を尖らせて不貞腐れている。
「何でって、佐野さんはクラス委員長でしょ?この間は加納くんがクラスを代表してお見舞いに行ったじゃないの」
大野が佐野杏奈の態度に、少し苛立ったのを俺は感じた。
「別にそんな理由であたしがわざわざ行く必要あるとは思えませんけど。あたしだって色々と予定あるし。あっ、そうだ!田之上さん、代理で行ってくれない?」
「えっ、自分ですか?」
突然の予期せぬ流れ弾に当たって、田之上陽子は明らかに戸惑っている。
「でも、自分は・・・」
佐野杏奈の言うことなら、普段なら二つ返事で承諾する田之上陽子だったが、今日に限っては何故か渋っている。
「佐野さん、我儘言わないで。田之上さんも困っているじゃないの」
「はーい、わかりました。はぁ、イヤになるわ」
放課後、俺と大野と佐野杏奈は、加納慎一が入院している病院へと向かった。
病院の前では、何人ものマスコミが張り付いていた。
その中の1人が、佐野杏奈の着ている制服に気づいて、それから他の人間も迫って来て、あっという間に俺たちは囲まれてしまった。
マスコミの連中は、いっせいに質問を浴びせてくるから何を言っているのか聞き取れないし、聞く気もさらさら無かったが、名門進学校の生徒が襲われたというセンセーショナルな事件は、マスコミのかっこうの餌となったようだ。
俺たちを取り囲むマスコミ連中を掻き分けて、どうにか病院に入れた俺たちは、人気の無いロビーを突っ切ってエレベーターに乗り込み、加納慎一が入院している病室へ急いだ。
病室に入ると、ベッドに起き上がっている加納慎一と、その母親がいた。
俺たちは加納慎一の母と挨拶を交わし、大野が加納慎一に経過はどうかと声をかけた。
「もう痛みもほとんど引いて、明日には登校できます。ご迷惑をおかけしました。」
加納慎一は、いつもの優等生の笑顔で俺たちに微笑んだ。ついこの間、俺に見せた一面とは違う顔の影は、微塵も感じられなかった。
「そうだ、母さん。売店で先生達のジュースを買ってきてよ」
「そうね。すいません、気が付かずに。すぐに戻るので、どうぞゆっくりしていってください」
そう言い残すと加納の母は出て行った。
「なーんだ、大したこと無いじゃない」
口火を切ったのは、佐野杏奈だった。
「ご希望に沿えずに申し訳なかったね、残念ながら大したこと無くて良かったよ」
加納慎一も嫌味ったらしく応じる。
「何よそれ、あたしがあなたがこんな目に遭えばいいと思っていたみたいな言い方ね」
「そうじゃないのか?やり返したつもりだろうが、生憎、君をあんな目に遭わせたのは俺じゃ無いんでね、俺が怪我する理由なんか無いのでね」
加納慎一が佐野杏奈を挑発すると、佐野杏奈は怒りのあまり顔を真っ赤にして加納慎一を睨みつけた。
「バッカじゃないの?あたしはあんたが突き落とされた頃、予備校で授業受けてたのよ、残念でした。あんたこそどうなのよ?あたしに鉢植えぶつけようとしたの、あんたなんじゃないの?」
「なんだと!侮辱するにも程があるぞ!誰がお前みたいな奴を襲って、人生を台無しにするものか!」
互いに激しい応酬となり、そこに大野が割って入る。
「やめなさい、2人とも!佐野さんも加納君も、いつもは仲良しじゃないの!?お互いを傷つけるのはやめなさい!」
「やってらんないわよ!あたし、帰ります、不愉快だわ!」
それだけ言い残して、佐野杏奈はさっさと帰ってしまった。
「加納君は、どうして佐野さんが君をやったと思ったのかな?」
俺は、2人の応酬を聞いて加納慎一に質問してみた。
「なぜって、他に心当たりが無いからですよ。彼女、誰かから俺が彼女のことを嫌ってると聞いたみたいで、最近は関係が良く無かったんです」
なるほど。しかし、その程度のことで、危うく加納慎一を死に至らしめることになるほどのことを、あの女がするだろうか?おれが佐野杏奈なら、嫌いな相手には身体的な事ではなく、周りを巻き込んで加納の社会的信用を失墜させるかと思うのだが。
「ところで加納君は、佐野さんがあんなことになった時に図書室にいたんだよね?他に本当に誰もいなかったの?」
俺は今一度、加納慎一にあの時のアリバイを確認してみた。
「いいえ、誰もいませんでしたけど、それが何か?」
「いや、あの時間にもう1人、図書室にいたと言う人がいてね、見かけなかっただろうかと思ってね」
「知りませんね。その人の思い違いか、嘘でもついているんじゃないですか?」
その時、部屋のスピーカーからチャイムが流れてきた。
「どうやら面会時間が終わったみたいですね。明日は登校するので、何かあったらまた明日聞いて下さい」
加納慎一は俺の質問に気を悪くしたのか、憮然とした表情で俺たちに暗に帰るように促した。
というのも、朝の情報番組でこのニュースが報じられたせいである。
金井校長は、朝の職員会議で苛立ちを隠し切ることが出来なかったが、久米川教頭は白鳥萌や学校に蔓延る虐め、そして佐野杏奈が危険に晒されたことと、まだ関連づけられて報じられなかったことを、不幸中の幸いと受け止めて胸を撫で下ろしていた。
学校側は今回の件について、徹底した箝口令を敷いていたが、とても全てのメディアから生徒達を守ることもできず、虐めや佐野杏奈の事故のことが白日の下に晒されるのも時間の問題と思われた。
「こうなったら、早く火消しをするしかありません。下手に尾鰭の付いた噂など出回ったら、それこそ我が校のブランドイメージが台無しです。今、どこまでわかっていらっしゃるの?」
金井校長が俺に迫る。俺も早くこんな案件はさっさと解決して、性に合わない教員生活から抜け出したいところだが、まだ情報があまりにも乏しすぎる。小川からもあれから何も言って来ない。
「それじゃあ、また次に何か起きるまで待てと言うんですの!?」
金井校長の俺を問い詰めるトーンが上がる。
そんなことを言われても、ホームズやポワロじゃあるまいし、いや、その2人でも今の状況では何も分かるまい。
「兎に角、お金はいくらでも払いますから、1秒でも早く解決してくださいな!」
金井校長は、言うこと言ってさっさと校長室に篭ってしまった。
「今夜、今回のことで保護者向けの説明会が開かれます。佐藤先生も出席してくださいね」
久米川教頭もこれからの対応に頭を痛めていることだろう。どうやって保護者を納得させるつもりなのか、大変なことになった。
「大野先生、生徒にはどう説明するつもりですか?」
俺は大野に尋ねてみた。
「私は包み隠さず話した方がいいと思うのですが、学校の方針には従うしかありません。まずは生徒に現段階での正しい情報を伝えて、動揺を最小限に抑えるしか無いでしょう」
朝のホームルームは、どこか空気が今までと違い張り詰めていた。どことなく、生徒達が浮き足だっているのが分かる。
生徒達から、大野の口から何が発せられるのか、期待と好奇心が混在した何かを望んでいるのが伝わってきた。
「先生から皆さんに、このあとお話しがあります。その前に、まずは出席をとります。目黒さんは・・・保健室かしら?中井さんは欠席、と」
そして大野がこれまでに分かっている事実を伝えるが、多くの生徒は納得がいかないのか、そこかしこで何やら囁きあっている。
「私からは以上です。くれぐれも軽々しく事実では無いことを言うのは謹んでください。それと、加納くんは大事をとって今日まで入院することとなりました。放課後、私と佐藤先生はお見舞いに行くので不在とします。それから、佐野さんもクラス代表として同行してもらえるかしら?」
「え~、何で私が?」
佐野杏奈が口を尖らせて不貞腐れている。
「何でって、佐野さんはクラス委員長でしょ?この間は加納くんがクラスを代表してお見舞いに行ったじゃないの」
大野が佐野杏奈の態度に、少し苛立ったのを俺は感じた。
「別にそんな理由であたしがわざわざ行く必要あるとは思えませんけど。あたしだって色々と予定あるし。あっ、そうだ!田之上さん、代理で行ってくれない?」
「えっ、自分ですか?」
突然の予期せぬ流れ弾に当たって、田之上陽子は明らかに戸惑っている。
「でも、自分は・・・」
佐野杏奈の言うことなら、普段なら二つ返事で承諾する田之上陽子だったが、今日に限っては何故か渋っている。
「佐野さん、我儘言わないで。田之上さんも困っているじゃないの」
「はーい、わかりました。はぁ、イヤになるわ」
放課後、俺と大野と佐野杏奈は、加納慎一が入院している病院へと向かった。
病院の前では、何人ものマスコミが張り付いていた。
その中の1人が、佐野杏奈の着ている制服に気づいて、それから他の人間も迫って来て、あっという間に俺たちは囲まれてしまった。
マスコミの連中は、いっせいに質問を浴びせてくるから何を言っているのか聞き取れないし、聞く気もさらさら無かったが、名門進学校の生徒が襲われたというセンセーショナルな事件は、マスコミのかっこうの餌となったようだ。
俺たちを取り囲むマスコミ連中を掻き分けて、どうにか病院に入れた俺たちは、人気の無いロビーを突っ切ってエレベーターに乗り込み、加納慎一が入院している病室へ急いだ。
病室に入ると、ベッドに起き上がっている加納慎一と、その母親がいた。
俺たちは加納慎一の母と挨拶を交わし、大野が加納慎一に経過はどうかと声をかけた。
「もう痛みもほとんど引いて、明日には登校できます。ご迷惑をおかけしました。」
加納慎一は、いつもの優等生の笑顔で俺たちに微笑んだ。ついこの間、俺に見せた一面とは違う顔の影は、微塵も感じられなかった。
「そうだ、母さん。売店で先生達のジュースを買ってきてよ」
「そうね。すいません、気が付かずに。すぐに戻るので、どうぞゆっくりしていってください」
そう言い残すと加納の母は出て行った。
「なーんだ、大したこと無いじゃない」
口火を切ったのは、佐野杏奈だった。
「ご希望に沿えずに申し訳なかったね、残念ながら大したこと無くて良かったよ」
加納慎一も嫌味ったらしく応じる。
「何よそれ、あたしがあなたがこんな目に遭えばいいと思っていたみたいな言い方ね」
「そうじゃないのか?やり返したつもりだろうが、生憎、君をあんな目に遭わせたのは俺じゃ無いんでね、俺が怪我する理由なんか無いのでね」
加納慎一が佐野杏奈を挑発すると、佐野杏奈は怒りのあまり顔を真っ赤にして加納慎一を睨みつけた。
「バッカじゃないの?あたしはあんたが突き落とされた頃、予備校で授業受けてたのよ、残念でした。あんたこそどうなのよ?あたしに鉢植えぶつけようとしたの、あんたなんじゃないの?」
「なんだと!侮辱するにも程があるぞ!誰がお前みたいな奴を襲って、人生を台無しにするものか!」
互いに激しい応酬となり、そこに大野が割って入る。
「やめなさい、2人とも!佐野さんも加納君も、いつもは仲良しじゃないの!?お互いを傷つけるのはやめなさい!」
「やってらんないわよ!あたし、帰ります、不愉快だわ!」
それだけ言い残して、佐野杏奈はさっさと帰ってしまった。
「加納君は、どうして佐野さんが君をやったと思ったのかな?」
俺は、2人の応酬を聞いて加納慎一に質問してみた。
「なぜって、他に心当たりが無いからですよ。彼女、誰かから俺が彼女のことを嫌ってると聞いたみたいで、最近は関係が良く無かったんです」
なるほど。しかし、その程度のことで、危うく加納慎一を死に至らしめることになるほどのことを、あの女がするだろうか?おれが佐野杏奈なら、嫌いな相手には身体的な事ではなく、周りを巻き込んで加納の社会的信用を失墜させるかと思うのだが。
「ところで加納君は、佐野さんがあんなことになった時に図書室にいたんだよね?他に本当に誰もいなかったの?」
俺は今一度、加納慎一にあの時のアリバイを確認してみた。
「いいえ、誰もいませんでしたけど、それが何か?」
「いや、あの時間にもう1人、図書室にいたと言う人がいてね、見かけなかっただろうかと思ってね」
「知りませんね。その人の思い違いか、嘘でもついているんじゃないですか?」
その時、部屋のスピーカーからチャイムが流れてきた。
「どうやら面会時間が終わったみたいですね。明日は登校するので、何かあったらまた明日聞いて下さい」
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