僕と精霊〜The last magic〜

最後の魔法編

第214話 勝利の代償

悪魔界
　パンプとアスモンはジャン達の勝利を見届けると共に映像が途絶えた。

「やったぁ！ジャン達の勝ち！」
「パンピー！続きは！続き！見えなくなったのだ！」
「アレ？精霊石の反応も消えちゃった」
「ええー！」

「うーん..とりあえず、向こうに戻る為にこの世界について知らなきゃ」
「おー！」
「美味いもんあるかな？」
「アスモンお腹減った～」
2人は悪魔界の平原を彷徨う。


1ヶ月後　人間界

「...パンプ！..あれ？」
「あら、やっと起きたのね」
目を覚ますとローズが椅子に座って本を飲んでいた。

「ローズ？パンプは？此処どこ.ケホッ！ゲホッ！」
「はいはい、寝起きで無理しない。あのバカはあの日から行方不明、此処は病院。アンタ、アレから1ヶ月も寝てたのよ」

「1ヶ月？なんで僕はそんなに寝てたの？なんか上手く思い出せないんだけど..戦争はどうなったの？」
「はいコレ」
ローズは本を棚に置き、ジャンにカルテを渡す。

「え？何これ」
「書いてある通りよ...その、アンタはもう魔法を」
「ジャン！目が覚めたのね！」
ローズの声を遮り、白夜が部屋に入ってきた。

「スフール、僕..魔法が」
「ごめんなさい。これも全部、私たちのせいなの」
白夜はジャンの細い手を握りながら涙を流す。

「そうか..スフールは悪くないよ。きっと僕が決めた事なんだ。だからそんなに自分を責めないでよ」
「でも..ジャンのこれからの人生が」
「僕は構わないよ。あの戦いを生き延びたんだ。君も生きてる。それだけで十分だよ」
ジャンは白夜の頭を撫でながら慰める

「あーはいはい。後は2人で惚気てなさい。私はアンタが寝てる間、毎日通わされてクタクタだから帰るわよ」
ローズはそう言い残して部屋を出て行く。

「やっば！早くみんなに知らせなきゃ！ほんとアイツは心臓に悪いんだから！」
やはり心配だったのだろう。ローズの声はジャン達に聞こえていた。

「ごめん。あの子、不器用だから」
「なんかこういうのも久しぶりな気がするよ。そうだ、少し散歩でも..うわっ！」
ジャンはベットから起きあがろうとしたが上手く立つ事出来ずに転んでしまう。

「ジャン！」
「いてて、ドジだな僕は..上手く立てないや。足が思うように動かない..」
「無理もないわ。魔力を練るための器官が壊れたせいで体のコントロールもしばらくはできないって、今はコレに」
白夜はベットの横に置いてあった車椅子を用意する。

「これって確か..車椅子ってヤツだっけ？」
「ええ、ジャンのお父様が作って下さったの。私が押すわ」
「うん、お願い」
2人は病院の庭園で散歩を始めた。