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最後の魔法編
第158話 最後の我儘
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アドロンの問いを聞いて、2人は改めてパートナーの悩みに直面した。
「なぁ正直に答えてくれ、こんな変な体のヤツがパートナーなんて嫌だろ?普通の人間の方が良かっただろ?」
アドロンは自分の腕を憎むように強く握りしめる
「そんな事ありませんよ!私達はアドロンさんのパートナーが良いんです!」
「そうだぜ!アドロンはアドロンだ!」
「嘘だ...私達みたいなバケモノ...そうだバケモノ、俺なんてバケモノじゃないか...みんなと一緒にいて良い訳ない!こんな物!」
そのままアドロンは自分の右腕を投げ捨てる
「っ!なんて事するんですか!」
「別に良いだろ?痛みなんて無いし、勝手にくっついたり、生えたりするんだしよ...ほら気持ち悪いでしょ?こんなのバケモノ以外なんでも無いじゃない」
「さっきから聞いてればバケモノ、バケモノって!人間じゃなかったらバケモノなのかよ!」
痺れを切らしたスカルドが怒鳴る
「ああ、そうだよ...人間じゃないんならバケモノだよ。こんな体」
「じゃあ私達もバケモノですね」
「え?」
「そうだ、人間じゃないならバケモノって事は俺らもバケモノって事だろ?」
「ち、違う!2人はバケモノなんかじゃ」
「そうです。私達は人間ではありませんがバケモノではありません。アドロンさんだって同じですよ」
「そうだぜ。普通じゃないからダメって事はないと思うぜ」
スカルドは捨てられた右腕を拾い、アドロンに返す
「悪い、取り乱した...ごめん」
「愚痴なら気にしないぜ」
「私達はパートナーなんですから、辛い事は一緒に乗り越えましょうよ」
「ありがとう。その、実は俺...私達、もうすぐ死ぬかもしれない」
「「え!?」」
衝撃の告白に2人の頭が真っ白になる
「し、死ぬって!なんで!なんで死ぬんだよ!」
「正確に言えば、魂が消滅する。まぁ元々俺らは死んでるからお前らに影響は出ないと思うが」
「なんで突然魂が消えるんだよ?」
「元々俺らは殺された恨みで生まれた存在。だが恨みなんてもうほとんど残ってないし、むしろ幸福を感じる機会が増えてる」
「そんな!せっかくアドロンさんが求めていた家族ができたっていうのに!」
「俺らはもう満足してるのかもな...だからそろそろ寿命っていうのかな?ここだけは人間っぽいね」
「そ、そんなぁ...」
「それじゃあアドロンさんと一緒に居られるのも」
「まぁだからよ。最後に俺らの我儘に付き合ってくれないか?」
「何でも言ってください」
「俺ら力になるぜ」
2人は涙を堪えて笑顔を見せる
「スカルド、俺と一緒に戦ってくれ...ツイスター、私に最後までついて来て」
両手を2人に向けてアドロンは頭を下げる
「おうよ!世界も全部、救ってやろうぜ」
「はい!もちろんどこまでも付いて行きます」
2人はそれぞれの手を握る
「なぁ正直に答えてくれ、こんな変な体のヤツがパートナーなんて嫌だろ?普通の人間の方が良かっただろ?」
アドロンは自分の腕を憎むように強く握りしめる
「そんな事ありませんよ!私達はアドロンさんのパートナーが良いんです!」
「そうだぜ!アドロンはアドロンだ!」
「嘘だ...私達みたいなバケモノ...そうだバケモノ、俺なんてバケモノじゃないか...みんなと一緒にいて良い訳ない!こんな物!」
そのままアドロンは自分の右腕を投げ捨てる
「っ!なんて事するんですか!」
「別に良いだろ?痛みなんて無いし、勝手にくっついたり、生えたりするんだしよ...ほら気持ち悪いでしょ?こんなのバケモノ以外なんでも無いじゃない」
「さっきから聞いてればバケモノ、バケモノって!人間じゃなかったらバケモノなのかよ!」
痺れを切らしたスカルドが怒鳴る
「ああ、そうだよ...人間じゃないんならバケモノだよ。こんな体」
「じゃあ私達もバケモノですね」
「え?」
「そうだ、人間じゃないならバケモノって事は俺らもバケモノって事だろ?」
「ち、違う!2人はバケモノなんかじゃ」
「そうです。私達は人間ではありませんがバケモノではありません。アドロンさんだって同じですよ」
「そうだぜ。普通じゃないからダメって事はないと思うぜ」
スカルドは捨てられた右腕を拾い、アドロンに返す
「悪い、取り乱した...ごめん」
「愚痴なら気にしないぜ」
「私達はパートナーなんですから、辛い事は一緒に乗り越えましょうよ」
「ありがとう。その、実は俺...私達、もうすぐ死ぬかもしれない」
「「え!?」」
衝撃の告白に2人の頭が真っ白になる
「し、死ぬって!なんで!なんで死ぬんだよ!」
「正確に言えば、魂が消滅する。まぁ元々俺らは死んでるからお前らに影響は出ないと思うが」
「なんで突然魂が消えるんだよ?」
「元々俺らは殺された恨みで生まれた存在。だが恨みなんてもうほとんど残ってないし、むしろ幸福を感じる機会が増えてる」
「そんな!せっかくアドロンさんが求めていた家族ができたっていうのに!」
「俺らはもう満足してるのかもな...だからそろそろ寿命っていうのかな?ここだけは人間っぽいね」
「そ、そんなぁ...」
「それじゃあアドロンさんと一緒に居られるのも」
「まぁだからよ。最後に俺らの我儘に付き合ってくれないか?」
「何でも言ってください」
「俺ら力になるぜ」
2人は涙を堪えて笑顔を見せる
「スカルド、俺と一緒に戦ってくれ...ツイスター、私に最後までついて来て」
両手を2人に向けてアドロンは頭を下げる
「おうよ!世界も全部、救ってやろうぜ」
「はい!もちろんどこまでも付いて行きます」
2人はそれぞれの手を握る
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