僕と精霊〜The last magic〜

絶海の孤島編

第127話 サバイバー

　ジャン達はケンザキが残した映像を見てなんとも言えない気持ちが押し寄せてきた。

「結局、僕らはアイツの思い通りに動いてただけなのか..？」
「そうみたいですね...」
「なんか凄い悔しい！」
ローズは部屋の壁を殴る
「ケンザキのヤツ！卑怯だぞ！」
パンプも一緒に部屋の物に八つ当たりをする
「アスモンも！ははは！」

　3人が暴れた事で本棚が倒れ、分厚いファイルがジャンの足下まで滑り落ちた

「本？」
ジャンはファイルを拾い上げて読んでみる。表紙には『島の生態系』と書かれていた

『この島には未確認の生物に植物が大量に確認されている。我々はその調査、飼育、培養、兵器化を研究する為に臨時で研究所を建設した。島の生物は生き残る本能が強く、島内の生物ランキングが常に変動し続けている事が分かった。昨日まで強かった種族が次の日にはランキングの最下位へ...なんて事がこの1週間で沢山あった。』

「なるほど、この島の生物は凶暴なヤツが多いのか。まるで今のパンプ達みたいだな...」
「ふふっそうですね」
まじまじとファイルを読み漁るジャンを見て白夜は笑う

「ちょっと白夜！今笑ってる場合じゃないわよ」
「そーだ！そーだ！」
「あははは！」
ローズ達は暴れ続けている


『しかし、この島の生物ランキングの頂点は常に同じだった。我々はその生物を「サバイバー」と呼んでいた。早速我々はサバイバーを１匹捕獲し、研究を進めた。』

「サバイバー？」
「生き残った者という意味ですね」
「おお、スフールは物知りだね」
「ありがと」

『コイツらは基本群れで行動をする。個々の戦闘能力が高い生物が完璧な連携を取り、多生物を狩る。その連携は人間のそれよりも精度が高く、島にある石なども使用する知能がある。見た目は2足歩行で、人間と同じ位のサイズに強靭な筋肉、個体によっては先端に鋭いトゲがある尾を持つ者や鋭い角、巨大な爪、牙を持つ者もいた。個体によって狩りの役目が違うようだ』

『我々が捕獲した個体には尾となんと翼が生えていた。体だけではない、サバイバーの持つ様々な能力にも我々は目を付けていた。圧倒的なパワーに圧倒的なスピード、更には強力な再生能力を持ち、頭以外の部位が欠損した場合、すぐに再生を始め10秒後には何事もなかったように元に戻る。』

「恐ろしい生物が居たんだな」
「私達が此処に来る前に絶滅したみたいで良かったですね」
「そうだね」
ホッと2人で安心していると読んでいたファイルに水滴が落ちてきた

「ん？雨漏りかな？....ア“ぁ...」
「どうしたのジャ....」
2人は天井を見て固まった。ファイルに書いてあった翼と尾持つ恐ろしい生物『サバイバー』が居た

「ゲルルル❗️」
『ヤツらの持つ能力で最も厄介なのは...』
ファイルは全部読み終える前にヤツに引き裂かれた