僕と精霊〜The last magic〜

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絶海の孤島編

第116話 転校生

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 それから2年、3年、4年と僕は独りぼっちで教室の隅で暮らしていた。1年の頃から変わらない、無視され続けて、たまにいじめられて...先生達は信用できないから嫌いだし、僕がいじめられてる姿を何も言わずに見てる事がある。

 5年生の頃の夏、いつも通りいじめられてできた傷を治そうとした時、背の大きい女の子に声をかけられた。

「君はどうしていつもいじめられてるのに学校に来れるの?」
「なんで、そんな事聞くの?君は誰?」

「あ、ごめん、急に声かけちゃって...私はミセリア、ミセリア・フリール。1週間前に転校してきたの」
ミセリアはジャンに手を差し伸ばす
「転校生?僕はジャン、ジャン・バーン。クラスは5-3だよ」

「じゃあ私の方が1つ上だね」
「へぇ...ミセリアは6年生なんだね」

「ねぇ教えてよ、いじめられるのが怖くないの?」
「どうだろう...良く分かんない」

「どうして、そんな事されてるのに学校に来れるの?」
「質問が多いな...僕は母さん達が心配しないように学校に行ってるんだ。それに母さんが言ってたんだ、学校は楽しい所だって、僕は母さん達を嘘つきにしたくないから何か楽しいのか探してるんだ」
ジャンは自分の怪我を治しながら話す

「変わってるね」
「君も僕をいじめるの?」

「まさか、私もみんなにいじめられてるの」
「へぇ、じゃあお揃いだね」
「だね」
僕とミセリアはどこか気が合い、仲良くなれた。この時は授業が始まるからあんまり話せなかったけど、放課後になるとすぐに同じ場所で会えた

「また会えたね」
「うん、そうだね」
久しぶりの感覚だった...多分あれが友達になるって事だったんだと思う

「ねぇミセリアはどうしていじめられてるの?」
「私はね...」
ミセリアは何か言いかけると空から鳥が降ってきた。当然に地面にぶつかった鳥は死んだ

「うわっ!大丈夫?」
「気にしないで、これが..私のいじめられた原因」
鳥の血と糞がミセリアの服に飛び散った

「どういう事?」
「どうやら生まれつき魔力が少しおかしくて、不幸を引き寄せちゃうみたいなの、ほら」
ミセリアは靴紐が裂けている靴を見せてニコッと微笑む

「なんか苦労してるみたいだね」
「そんなに大変じゃないよ、慣れたらなんにも感じなくなってくるし...」
あの時の僕でも分かる。ミセリアは我慢をしてるんだって、そう思うと僕自身もどこかで我慢をしてるんじゃないか、なんて色々頭がいっぱいいっぱいになった。

「私と関わった人は大体酷い目に遭う、お母さんは階段で転ぶし、お父さんは私を庇って死んだ。ほんと嫌になる魔力、自分が生きていて良いか不安になってくるな」
無理矢理笑ったふりをするミセリアの姿が僕とは何か似てて、何か違った
「そうだ!ねぇ僕の家に来てみない?」

「え?ジャン君のお家?なんで?」
「僕の母さんはね、凄い魔力を持ってるんだ!だからきっとミセリアの不幸を引き寄せる力をなんとかできるかも!」

「え?本当!?この忌々しい力を捨てられるの」
「うん!絶対!そんな気がする!だから行こうよ!」
僕はミセリアにとても酷い事を言った。無知故の失言、戯言、こんな事を言ってしまった事を今でも後悔している。

 ジャンはミセリアの手を引っ張り、自宅へ戻る

「母さん、ただいま」
「おかえりなさい」

「お邪魔します」
「はいどうも、ジャンのお友達ね。珍しいわウチに連れて来るなんて」
ミセリアは恥ずかしそうに頭を下げると服に穴が開いてしまった

「あ...」
「あら大変!今直してあげるから服を預かるわ」
アミィは居間から裁縫道具を持ってくる 

「ねぇ母さん、ちょっと相談があるんだ」
「なーに?」
ジャンはミセリアの魔力について話をした

「なるほどね、変わった魔力のせいで不幸になっちゃうのね」
「母さんなら治せるかな?」

「んーちょっと厳しいかも」
アミィの言葉を聞いたミセリアの目からは光が無くなっていた












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