僕と精霊〜The last magic〜

絶海の孤島編

第115話 耐えて、耐えて

　家に帰ると母さんとセバスが悲鳴を上げた。
「ジャン！どうしたのその怪我！」
「ジャン様ぁ❗️誰ですか！？一体誰にやられたのですか！？このセバスが懲らしめて参ります！」
僕にとっては2人だけが味方で居てくれると思った。これだけは間違ってなかった。

「ねぇ母さん？」
「どうしたの？」
「どうして人に魔法を撃っちゃダメなの？」
「魔法はね、便利だけど危険なの...人に向けて使ったら簡単に殺しちゃうからダメなのよ」

「でも、学校の友達が僕に向かって使ってきたよ」
「そんな...痛かったわね、今治してあげるから」
アミィは傷だらけでボコボコに顔が膨れているジャンを癒す

「ねぇ母さん！どうして...人に魔法は使っちゃダメなんでしょ！ねぇ！」
ジャンは泣きながらアミィの服を引っ張る
「怖かったわね...今からお母さんが先生に話しにいくから、ジャンはセバスさんと一緒にお留守番しててね」
アミィはジャンを優しく抱きしめ、頭を撫でる

「ダメ、先生も....」
「先生がどうしたの？」
「先生がね、僕がこうなるようにしたんだ」

「ジャン様、つまり先生達がジャン様を陥れようとしているのですか？」
「分からないよ...でも職員室に入ろうとしたら、ランプ先生が僕がこうなるようにわざとやったって...」
セバスはハンカチでジャンの顔を拭く

「もう僕、学校にも行きたくないよ...またみんなにいじめられる...」
震えるジャンの手をアミィは優しく包み込む
「大丈夫、きっと明日になったらみんな元に戻るわ」
「ほんと？」

「本当よ、さぁ...今日の晩御飯は特別に好きな物作ってあげる」
「ほんと！じゃあね、ビーフシチュー！」
「ビーフシチューね、今から作るから絵本でも読んでてね」

「セバスさん」
「はい」
「任せたわよ」
「承知いたしました」
セバスは家を飛び出す

「セバスおつかい？」
「うーん..そうよ、とびきり美味しいお肉を取ってくるって張り切っていたわよ」
「わぁー！楽しみだなぁ」
僕は大好きな絵本を読みながら時間を潰した。しばらくしてセバスが帰ってきた。みんなでビーフシチューを食べて、みんなでお風呂に入って、みんなと一緒に布団に入る

「母さん、セバス...ありがとう、僕明日も学校に行ってみる」
「それはそれは...楽しんできてください」
「学校は楽しい所なのに..いっぱい勉強して、みんなと遊んで、お弁当食べて」

「懐かしいですね、私達も小学生の頃」
「Zzz」
「寝ちゃったみたいね」
「ええ...明日は何事も無ければよろしいのですが」
2人はジャンの寝顔を眺めながら眠りにつく

　次の日、学校へ行くとすぐに全校集会が始まった。どうやらランプ先生と他の先生達数人が行方不明になったらしい
「えーランプ先生については実に残念です。今日は先生達で緊急会議があるので、皆さんは今日はもう下校です」

「よっしゃ！」
「こら！喜ぶものじゃありません！...とにかく、帰り道には気をつけて下さいね。」
「「「はーい！」」」
この日の学校はこれでおしまい、集団下校。あの時は僕だけ置いていかれたっけ...

　あの時は寂しかったな...でも途中でセバスが迎えに来てくれて嬉しかった。

　次の日、僕はまた無視をされた。先生達が拐われたのは父さんの仲間に捕まったからだ...きっと殺されたんだ...色んな噂が広まって気付いたら僕は独りぼっちなっていた...

　でも、たまに僕の事をいじめにやってくる。飽きるまで殴ったり、魔法をぶつけてきたり...痛かったけど、母さんが教えてくれた回復魔法のおかげで何にも感じなくなった。それに怪我がバレたらまた2人を心配させちゃうから...学校のみんなとも仲良くなったって嘘もついた

　だって、僕が耐えればみんな笑顔になれるんだもん