僕と精霊〜The last magic〜

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絶海の孤島編

第111話 島風リラックス

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 一夜明けた。白夜達はチュチュが見つけた洞穴で暖をとっていた。ジャンは相変わらずふさぎ込んだまま、パンプは胸に引っかかった言葉に悩まされ、とても楽しいとはいいがたい時間であった。

「私、体が洗える場所がないか探してくるわ、ほらパンプとアスモンも行くわよ」
重い空気にに耐えかねたローズは2人の手を引き歩き出す

「え!?なんでオレも?いつも覗くなって首絞めるくせに」
「バーカ、アンタは食料調達よ。魚でも果物でも何でもいいから取ってきなさいよ」
「そっか!」

「アスモンは?」
「アンタは好きにしなさい」
「じゃあ、パンピーと一緒に行く」
「そう」
アスモンはパンプと手を繋ぐ

「私は?」
「白夜はその木偶の坊の見張りをお願い」
ローズは準備運動をしながら指示を出す

「え...うん、分かった」
白夜は複雑な顔をして頷く
「あっそうだ!白夜、コレ」
パンプは白夜の為に宝石の足を作る

「コレないと動きづらいだろ、前のヤツより少し動かしやすいようにしといたぞ」
肌色の宝石は白夜の足となる
「ありがとうパンプさん、ごめんねこんな時に」

「気にするな!ジャンをよろしくな」
「ええ、任せて」

 そしてそれぞれの行動へ


パンプとアスモン
 2人は食料集めをすべく、海へ向かって歩いていた
「なぁパンピー、本当にあの男を信じて良いのか?」

「ジャンがどんな事になってもオレは信じる。そう決めたんだから絶対信じる」
「ならアスモンは謝らなきゃいけないのだ...」
「どうして?」
アスモンはもじもじ指を合わせながら声を絞り出す

「だって、アスモンは今までジャンに酷い事いっぱい言った。パンピーだけしか見てなかったのだ」
「オレしか見てなかった?」
「パンピーの事が大好きだがら、パンピーの事だけ大事にすれば良いと思って...パンピーが大事にしているものを大事に出来なかった」

「別にアスモンはアスモンが大事にしたいものを大切にすればいいじゃん」
パンプは小枝を振り回しながら呑気に答える
「じゃあアスモンはパンピーが大事にしたいものも大切にする」
「おお!じゃあオレもアスモンが大事にしてるものを大切にする!」
パンプは木の枝を捨て、アスモンと手を繋ぐ

「「ガルルルル...!」」
「「おお!食料発見!」」


ローズ
 綺麗な水が湧き出る泉に弱々しく流れる小さな滝。ローズは体を洗うのに最適な場所を見つけた

「よし、此処なら体を綺麗に出来そうね。流石に洗濯は出来ないけど..まぁワガママ言ってる場合じゃないわね」
ローズは泉で顔を洗い、洞穴に戻る

「私も卑怯になったわね...白夜に1番面倒な事押しつけて...昨日は少し反抗しちゃったし、私このままやっていけるのかな?」


白夜とジャン
 2人は何も話さず、ただ座り込んでいた

(はぁ...いつものジャンさんなら今度のデートとかの話が出来るのに....今は仕方ないか)

「ねぇジャンさん?」
「ひっ!..ごめんなさい!ごめんなさい...」
ジャンは怯えるように謝り続ける

(駄目みたいね)

「どうしてそんなに謝るの?」
「だっ、だってぼ、僕は白夜さんの足を...」
「アレはジャンさんのせいじゃない」
(記憶が混濁してる?色んな事がありすぎて感情がぐちゃぐちゃになっちゃったのかな)
白夜はジャンと会話をしながら様子を伺う

「で、でも...なんで僕を殺そうとしたんだよ」
「ごめんなさい、本当にごめんなさい」
白夜は震えるジャンを優しく抱きしめ頭を撫でる

「僕は...僕はどうすれば良いの、教えてよ...母さん....セバス、僕に友達なんて」 
「大丈夫、もう私はあなたを見捨てたりしませんよ」

「はぁはぁ...ねぇそれ本当?」
「ええ、今度は私が全力で守るわ。だから安心して」
「うん....分かった」
ジャンは白夜の胸の中であやされながら眠りにつく





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