僕と精霊〜The last magic〜

一般人

文字の大きさ
上 下
326 / 747
絶海の孤島編

第105話 無人島

しおりを挟む
 波の音が聞こえる。ザァーザァーと波と砂浜が擦れる音が聞こえた

「むぅ....あれ?オレ生きてるのか?」
真っ暗な夜、何も無い砂浜でパンプは目を覚ます。体を震わせて砂を取り払い、周りを見回してみる

「暗くて何も見えない、よーし!」
パンプは手を合わせて光を放つ宝石を作り出す
「これで見える!みんなも居るかな?」

 パンプはしばらく砂浜を歩いたが特に進展は無かった
「う~ん、近くにジャンの気配は無いし...腹減った~❗️」
静寂のビーチにパンプの腹の音が鳴り響く

「アミィの卵焼き食べたいなぁ~...ハンバーグ....ビーフシチュー...あ~❗️腹減ったー❗️」
「あーもう!うるさいわね❗️」
嘆くパンプの後ろから怒鳴り声が聞こえた

「あっ!ローズ❗️お前も居たのかー!」
「まったく、アンタはこんな所でもよくいつも通りでいられるわね」
ローズは服に付いた砂を払いながらため息を吐く

「なぁローズは此処が何処か分かるか?」
「分かるわけないでしょ、川に流されて....砂浜だし、どっかのリゾート地...ってわけないわよね」
「リゾート地かぁ~だったらいっぱい、ご馳走があるんだけどなぁ~」

「本当に呑気ねぇ」
一気に疲れが回ったのかローズはその場にしゃがみ込むと小さくお腹の音を鳴らす
「なーんだ!ローズも腹減ってのかー!」

「そうよ!腹ペコよ!あー!もう!パンプ!アンタ海に突っ込んで魚でも取ってきてよ!」
「あー!そっか!その手があった!よーし❗️」
パンプは勢いよく海に飛び込んで、すぐに数匹の魚を捕まえて戻ってきた

「ふが!ふぁかな!」
「よくやったわ!火は私が付けるから」
ローズは落ちていた木の板を思い切り踏み付けた摩擦で焚き火を起こす

「さぁこれで焼いて食べま」
「はいローズの分!」
パンプは自分の分を全て食べ、ローズに3匹の魚を渡す

「アンタは生で良いんだったんだわ」
ローズは魚に釘を刺して焼き始める
「オレもっと取ってくる!」
「はいはーい、気を付けなさいよ」

 魚を焼けるのをパンプの漁を見ながらじっくり待っていると巨大な魚が水面から顔を出した
「見ろローズ!こんなに取れた!」
「バカ!アンタ後ろ見なさい!」

「え?後ろ?..!?うわぁぁ❗️」
巨大魚はパンプをペロリと大きな口の中に食べてしまう
「何やってんのよ、まったく」
ローズは魚1匹を食べ終えると水面を走り出し、巨大魚の頭にカカト落としをくらわせる

「ギュロロロロ‼️‼️」
怒った巨大魚はその巨体をあらわにする。ニョロニョロとウナギのようなその体からは電流が漏れていた

「コイツ、魔法が使えるの!?」
「ギョロ❗️」
「キャアア‼️」
電気を浴びたローズもパクリとウナギに食べられてしまう

「ギョロロ」
満足をしたウナギは再び海の中へ姿を隠す


「ギョョョ...!?」
すぐにウナギが青ざめた顔をして浮かんでくる
「「オラァ‼️」」
食べられた2人はウナギの体を突き破り、血まみれの状態で飛び出す

「最悪、めちゃくちゃ汚れたわ」
「でも凄かったな!この魚魔法を使ったぞ」
陸地に戻った2人は血を払い落とす

「確か...デンキウナギだったっけ?」
「格好良いな!コイツ食べたらオレもビリビリできるかな?」
「えぇ...食べるの~なんかウネウネしてて気持ち悪いんだけど」
ローズはブヨブヨヌルヌルのウナギの死骸を見て遠慮する

「あら?」
ローズは焚き火を見て異変に気付いた
「私の魚、2本無くなってるんだけど」
確かに3本焼いてあったはずの魚、1本は食べたが残りの2本が釘を残して消えていた

「まったくローズ、簡単な事だろ?無いって事はお前が食べたんだろ?」
「アンタほど食い意地は張ってないわよ!...うげぇ、釘に唾液っぽいのが付いてる」

「ちょっと貸してみろ」
パンプはローズから釘を受け取り、臭いを嗅いでみる
「何やってんのよ、変態にでもなったの?」
「ヘンタイ?なんかカッコいいな、この臭い!アスモンだ!」
パンプは臭いを辿って森の方へ飛び出す


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

素材ガチャで【合成マスター】スキルを獲得したので、世界最強の探索者を目指します。

名無し
ファンタジー
学園『ホライズン』でいじめられっ子の生徒、G級探索者の白石優也。いつものように不良たちに虐げられていたが、勇気を出してやり返すことに成功する。その勢いで、近隣に出没したモンスター討伐に立候補した優也。その選択が彼の運命を大きく変えていくことになるのであった。

良いものは全部ヒトのもの

猫枕
恋愛
会うたびにミリアム容姿のことを貶しまくる婚約者のクロード。 ある日我慢の限界に達したミリアムはクロードを顔面グーパンして婚約破棄となる。 翌日からは学園でブスゴリラと渾名されるようになる。 一人っ子のミリアムは婿養子を探さなければならない。 『またすぐ別の婚約者候補が現れて、私の顔を見た瞬間にがっかりされるんだろうな』 憂鬱な気分のミリアムに両親は無理に結婚しなくても好きに生きていい、と言う。 自分の望む人生のあり方を模索しはじめるミリアムであったが。

俺が死んでから始まる物語

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。 だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。 余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。 そこからこの話は始まる。 セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕

(完結)足手まといだと言われパーティーをクビになった補助魔法師だけど、足手まといになった覚えは無い!

ちゃむふー
ファンタジー
今までこのパーティーで上手くやってきたと思っていた。 なのに突然のパーティークビ宣言!! 確かに俺は直接の攻撃タイプでは無い。 補助魔法師だ。 俺のお陰で皆の攻撃力防御力回復力は約3倍にはなっていた筈だ。 足手まといだから今日でパーティーはクビ?? そんな理由認められない!!! 俺がいなくなったら攻撃力も防御力も回復力も3分の1になるからな?? 分かってるのか? 俺を追い出した事、絶対後悔するからな!!! ファンタジー初心者です。 温かい目で見てください(*'▽'*) 一万文字以下の短編の予定です!

遠くの光に踵を上げて

瑞原唯子
ファンタジー
敗北を知らない18歳の少年と、一族から蔑まれてきた10歳の少女の、出会いから始まる物語。

大器晩成エンチャンター~Sランク冒険者パーティから追放されてしまったが、追放後の成長度合いが凄くて世界最強になる

遠野紫
ファンタジー
「な、なんでだよ……今まで一緒に頑張って来たろ……?」 「頑張って来たのは俺たちだよ……お前はお荷物だ。サザン、お前にはパーティから抜けてもらう」 S級冒険者パーティのエンチャンターであるサザンは或る時、パーティリーダーから追放を言い渡されてしまう。 村の仲良し四人で結成したパーティだったが、サザンだけはなぜか実力が伸びなかったのだ。他のメンバーに追いつくために日々努力を重ねたサザンだったが結局報われることは無く追放されてしまった。 しかしサザンはレアスキル『大器晩成』を持っていたため、ある時突然その強さが解放されたのだった。 とてつもない成長率を手にしたサザンの最強エンチャンターへの道が今始まる。

処理中です...