僕と精霊〜The last magic〜

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兄弟の絆編

第101話 もう戻れない

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 ラート達は引き続き、レートの観察をしていた

「アイツ、何を熱心に本を読んでんだ?」
「多分、魔法の本ですぜ」  
「だけどよ、家にあんのは基礎魔法の本だけだぜ。今更あんなの読んでどうするんだよ」
ラートはレート達にバレないように極力小声で話を続ける

「あの、悪魔は悪魔でも具体的にレートさんはどのような悪魔と接触したか心当たりはありますか?」
「どのような悪魔?そうだなぁ」
「最近遭遇した悪魔というと...」
ラートとボノムは記憶を巡らせ、今まで出会った悪魔をまとめる

「ベルなんちゃらだろ....なんかコウモリみたいな小さいヤツに...あーあと、アス..あ、あれは違うか...そうそうあと精霊界に居たヤツか」
「ベルゴンドに下僕悪魔、あとサンドーガ...他に居ませんかね」

「そうだな...あっ!あの女だ!」
「女?まさか色欲のアスモンテスですか?」
「いいい、いや!違う違う!もっと身長が大きかった気がする」

「では嫉妬のレヴィアンですね、確かにあの悪魔なら人の弱さにつけ込んで利用すると思いますね...ん?もっと身長が大きいってラートさん、アスモンテスを知って」
「こんな所で何してんの?」
「げっ!レート!」
声が大きかったのだろう、3人の会話はレートにバレてしまった

「外で考えをまとめてたんじゃないの?」
「ああ、こっちは終わった。それよりお前は何の本を読んでたんだ?」
ラートの質問にレートは眉間にシワを寄せる

「関係ないだろ、用がないなら出てってよ」
「おいおい、出てけって此処は俺達の部屋でもあるんだぜ」
「そうですぜ!」
「ボノム」
部屋から顔を出したグライドはボノムだけを部屋に引き摺り込む

「どうしたんですかい?」
「頼む、今はマスターをあまりに刺激しないでくれ」
「それは分かりますが何故俺に?ご主人に言えば良いじゃないですかい、ケケケッ」
ボノムは目をギラつかせながら笑う

「お前から言ったほうが効果的だろ」
「なるほど、ではウケケ!」
ボノムは部屋を出る

「ご主人、そういえばお腹が空きましたね。昼食にでもしましょうか」
「そうだな、話はその後だ。ウリエラ、お前も食ってけよ」
「良いんですか?」
「ああ」
ラートはボノムの提案に乗ってレートに背を向ける

「なんだよ、パートナーに似てどっちものんびりしやがって」
「なんだと?」
レートの言葉にラートは足を止める

「俺は馬鹿にして良いがよ。何ボノムを馬鹿にしてんだテメェ」
「ご主人!良いですから、行きましょう!」
「ここでケンカは!」
「2人とも!」
ボノム達では2人を止める事は出来なかった

「いーや!ダメだ。マジで気に入らねぇ...ここ最近のテメェ態度、マジで気にいらねぇ」
「なんだよ?昨日みたいにまた負けるつもりか?」
ラートは思いもしないレートの言葉に本気で呆れてしまい、怒りも冷めてしまった

「お前、本当に最低だな」
「は?」
「前まではこんないちいち人に当たらなかったし、仲間や家族を貶すようなヤツじゃなかった...」
「僕にだって色々あるんだよ」

「本当に弱くなったな」
「っ...!」
「前に言ってたよな、みんなみたいに強くなりたいって。でも今のお前を見ろ、心まで弱く」
「うるさい!」
ラートは最後まで話し終える前にレートに顔を殴られる

「マスター!」
グライドはレートをラートから引き剥がすように服を引っ張る
「離せ❗️」

「一体何の騒ぎ!」
騒ぎにミールが駆けつけた
「お前のせいだ...お前のせいだー‼️」
レートは左手に風を纏わせてミール向かって走り出す

「おい!何するつもりだ!」
「それ以上はさせませんぜ!」
「レートさん!」
「どけぇ‼️」
「「「うわぁ❗️」」」
止めに入ったラート達は黒い風に押され壁にめり込む
「マスター❗️」

「レート❗️」
最後に母ちゃんの悲鳴みたいな声が聞こえた

 僕の手は母ちゃんのお腹を貫いてた







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