僕と精霊〜The last magic〜

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兄弟の絆編

思い出プレイバック ラートの宝物

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 今回は思い出を振り返る時間





 遂に冬がやってきた、雪が降り町は白く染められた。しかし、ジャン達にとってはいつも通り当たり前の冬、当たり前じゃないと言えば龍神町に最初のテレビがやって来た事ぐらいだろうか、テレビと言っても商店街に1台だけ飾られてる様な物だ

龍神学園 2-A

 ジャン達男子は体育の授業を終え、着替えをしていた

「かなり汗かいちゃったよ、ほら2人も汗拭くよ」
ジャンはパンプとスカルドの汗をタオルで拭いて汚れた物を魔法陣にしまう

「ジャン!家に帰ったらドッジボールの続きやろうぜ!」
「俺もやる!」
パンプとスカルドは授業でやったドッジボールを気に入ったようだ

「あああ‼️無い!無い無い無い無い無い‼️」
突然ラートが半裸の状態で教室中を回る

「ご主人!どうしましたか!?」
ボノムはラートを落ち着かせる
「無いんだよ!俺の首飾りが!おいレート!お前なんか知らないか!」
ラートは凄い形相でレートの肩をがっしり掴む

「なんで僕なの、どっかに落としたんじゃ無いの?」
レートにそう言われてラートは教室の隅でヘタレこむ

「珍しいなラートがあそこまで落ち込むなんてな、そんなにあの首飾りが大事なのか?」
ザルはレートに聞く

「うん、あの首飾りはラートが昔好きだった子から貰った大事な物なんだよ」
「だったじゃない、今も好きだ」
ラートは机の中漁る

「その言い方だと、その子はどっかに引っ越したのですか?」
メイデンはレートに聞く
「それは..あっ」
レートが説明しようとするとラートに睨まれる

「あっ!ラート天井に」
ジャンが指差す方向にはラートの首飾りを加えたネズミが天井の穴から顔を出していた
「あのネズミだな!オラァ❗️」
ラートはネズミを氷漬けにして首飾りを取り戻す

「良かったですねぇご主人」
「あはははは❗️」
ラートは机の上に立って狂ったように笑みを浮かべる

「キャアア❗️ラートさん私の席で何をしてるんですか❗️」
着替えから帰ってきたウリエラは自分の席に半裸で立っているラートを見て悲鳴を上げる

「ラ、ラートさん最低です❗️」
アドロンはツイスターと一緒に電撃をラートに向けて発射する
「ギャアア‼️」
ラートは丸焦げになって倒れる

「ちょっ!やりすぎだよ、パンプお願い」
「分かった!ヒーリングジュエル❗️」
パンプは宝石をラートに撃ち込む

「んあ?どうなってんだ?」
ラートは目を覚ます
「ほらこれ着ろよ」
レートはラートに上着を渡す

「そうか俺またやっちまったのか...」
ラートは落ち込む
「仕方ないですぜご主人、こればっかりは時間が経たなければ」
ボノムはラートに寄り添う

「すまないウリエラ、頭冷やしてくる」
ラートはそう言い残して教室を出て行く
「ああ!ご主人!」
ボノムは小さな歩幅でラートを追いかける

「少し言い過ぎましたかね」
「私達もやりすぎちゃった...俺も一緒に謝ってやるよ」
ウリエラ達は反省する

「ちょっと何があったの?」
白夜達も帰ってくる
「みんな喧嘩?ダメ」
リベラは心配しているようだ

「僕ちょっと行ってくる!」
ジャンはラートを追いかけて教室を出る
「オレも行く!」
「俺も!」
パンプとスカルドもついて行く

「あー!待ってよ!」
レートもついて行き白夜達は教室に取り残される
「どういう事かしら?」
「さぁ?私達行きましょ」
「リベラも気になる」
白夜達も教室を出る

「さぁみんな次の授業..ってあれ?」
教室に入って来たケンナリは誰も居ない教室に困惑する


 学園を出て1人で町を歩くラートは自分を責めていた
「たくっ!なんで俺はこう自分をコントロールできなくなるんだよ」
石ころを蹴りながらラートは公園の方へ歩いていた

「はぁ、もう8年も前か...」
雪が積もった公園を見てラートは首飾りを握る

 
 ジャン達はボノムの精霊石の反応を頼りにラートを追いかける
「それでレート、その子とラートはどういう関係だったんだ?」
ザルはレートが言いかけた事を聞き出そうとする

「レート、構いません話して下さい」
ボノムは少し悩んでレートに頼み込む
「分かった、じゃあ話すね」
レートは話を始める

「ラートが好きだった子は8年前に病気で亡くなったんだ、その子の名前はシャーナ、凄く綺麗な子で小学校でもモテモテだった、もちろんラートもその子に一目惚れして告白をしたんだ、最初は友達からって事で2人は良く遊んでいたんだ、僕はその時は違う人と遊んでた」

「マスター、最後の情報は余計です」
「ごめん話を戻すね、それで丁度今日みたいな雪が降る日に2人はいつも通り遊ぶ約束をして公園で待ち合わせをしてたんだ、でもラートは行けなかった、母ちゃんが居ない時に僕が熱を出しちゃって...」
レートは下唇を噛み締めて黙り込む

「ここからはマスターの代わりに私が話します」
グライドがレートの代わりに話を続ける
「ラートは熱を出したマスターを必死に病院へ運んで見守っているうちに日が暮れてしまいました、シャーナはその事を知らずにずっとずっと公園で待ち続けたらしく、寒さにやられて倒れていた所を母親が見つけてすぐに病院へ運んだそうです、幸運にも一命を取りとめましたがこれが原因で患った病で...」

「ご主人は彼女の父親に殴られながらもお見舞いに行って、その時に貰ったのがあの首飾りです」
ボノムが話を締めると公園に到着していた

「ご主人!」
ボノムはベンチに座っていたラートに声をかける
「ああみんな、来ちまったのか、すまねぇな」
ラートは流していた涙を拭ってベンチから立ち上がる

「ご主人?首飾りはどうしたんですかい?」
ボノムはラートが首飾りをしていない事に気づく
「ああ、アレは返した」
ラートはそう言ってまた1人で学園の方へ歩いて行ってしまった

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