僕と精霊〜The last magic〜

一般人

文字の大きさ
上 下
154 / 747
摩訶不思議!精霊界編

第52話 母ちゃん

しおりを挟む
「ヴェアハハハハ...ハ..はは」
暴れるだけ暴れたジャンは動きを止め、元の姿に戻り始めていた


パンプの精神世界

「兄ちゃんのその宝石、なんか温かい...ほっとするし」
(パンプ...パンプや)
「あっ!夢で聞いた声だ!」
「夢?」
パンプの世界に懐かしい声が響き渡る。母ペルナの声だ、ペルナが2人の前に幻影として現れた

「もしかして母ちゃん?」
「母さん...」
(あなたにそう呼ばれるなんて...ああパンプ、こんな愚かな母を許しておくれ)

「オレも謝らなきゃ!母ちゃんはオレのせいで死んじゃったんだろ?」
(あなたのせいじゃない、全ては私の責任。だからあなたが罪を背負う事はありませんよ)

「でも!」
(これはね、母ちゃんが選んだ事なの。だから気にしないでちょうだい)
「うぅ...」
「母さんだけじゃない、俺にもちゃんと責任がある」

「ごめん....」
「謝るな、お前は立派に今まで生きてきた...もっと自分を誇るんだ」

「パンプ」
ジャンもパンプの世界に介入していた
「ジャン!」

「ごめんなパンプ、また勝手に怒ってお前を巻き込んじゃったな」
「良いんだ!今回はオレも怒っちゃったんだ」

「良いじゃないか、こうして2人は元に戻れたのだし」
(そうです、時に感情に任せて失敗してしまう事もあります...人間、それにパンプ、これからあなた達は楽しい事、辛い事、沢山の事を経験するでしょう...その中でどうしても耐えられない気持ちになった時はお互いの事を考えなさい)

「お互いを?」
(そう、お互いの気持ちを考えていれば大丈夫...幸い2人にはその精霊石があるでしょ?)

「そっか!」
(私も昔、人間のパートナーが居ました)

「母ちゃんにもパートナーが居たのか?」
「そんな話してくれなかったじゃないか!」

(ええ、パートナーはもう何百年も前に死んじゃって、もう精霊石はないんだけどね)
「母ちゃんのパートナーはどんなヤツだったんだ?」

(女の子だったわ...泣き虫で気弱で自分の気持ちを上手く表す事ができない子でいつも私が慰めていたわ...でも、誰よりも優しくて勇気のある子でもあったわ)
「初めて聞いた..母さんのその話」

(あなたにも今、大事にすべくパートナーがいる)
「ああ!ジャンがいる!」

(ですが人間の寿命は短い、我々の10分の1もありません)
「でもオレはジャンとずっと一緒が良い!」

(そうね、ちょっと難しい話をしちゃったみたいね...さてと、母さんは息子達の顔を見れたし、そろそろ帰りましょうか)

「え?待ってよ!まだ話したい事が!」
(人間、パンプの事を頼みましたよ)
「..はい」
「母さーん!」



「はっ!」
パンプが目覚めた時、元の姿に戻る事ができていた
「うぅ..なんだ、寝ちまってたのか?...!パンプ!」
ザンパも目を覚ましてすぐにパンプの下へ駆けつける

「いててて、なんか体が痛むな。何がどうなってるだ?」
ジャンも起きて辺りを見渡すと戦いの跡が残った更地が広がっていた

「コレは...はっ!そうだ!パンプ!早くみんなの所に行かなきゃ!」
「ああ!そうだ!まだ怪我してるヤツが居たぞ!」
「ピンプ達の気配なら感じ取れる一緒に行くぞ」
ザンパは巨大な宝石で自分達を包み込み、空高く飛び始める


「どうやって動かしてるんだコレ?」
「ピンプ達の気配を追ってこの宝石は動き続ける」
「ヘぇ!今度やってみよ...えっと名前は...追いかける宝石だから...なぁジャンなんか良いのないか?」
パンプはジャンの肩をポンポン叩く

「うーん...ホーミングジュエルでどうだ?」
「おお!それだ!ホーミングジュエルだ!えへへ!」
小さな宝石を自身の周りに漂わせてパンプはワクワクを抑えるようにニヤける

「そろそろ着くぞ、衝撃に備えろ」
巨大な宝石は地面に突き刺さり、砕け散る
「おしっと、この洞穴の中だな」

「おーい!居るかー!」
ザンパは洞穴に向かって呼びかける
「ザンパお兄ちゃん!」
すぐにプキンを抱いたピンプが飛び出してきた。プキンは泣き疲れてぐっすり眠っていた

「無事だったか..良かった」
「無事なんかじゃないよ、刀を持った変なヤツが家を斬っちゃうし、白夜さんの足を切り落としちゃうし、本当に死ぬかと思った...」
今度はピンプが泣き出してしまう

「大丈夫だ、ソイツはパンプ達が倒した」
「パンプちゃんが?」

「ね、姉ちゃん?」
「パンプちゃん!」
「んぐうぅ!苦しいよ...」
「んん...!」
ピンプはプキンごとパンプを強く抱きしめる

「良かったー!凄く心配したんだから!」
「ごめん..姉ちゃん、オレ姉ちゃんにも父ちゃんにも酷い事言っちゃったよ」
「良いの!お姉ちゃん達の方がもっと酷い事したんだから!」
パンプは記憶には無いが懐かしさに涙が溢れた

「うぅ...姉たま苦しいよ~....うわぁ!パンプ!離れろ!離れろ!」
「こーらプキンちゃん、パンプちゃんはあなたのお兄ちゃんなんだから」
「パンプの弟なんてヤダー!」

「お前はオレの弟2号だ!」
「なんで2号なんだよ!1号が良い!」
「ほら弟が良いんじゃないの?」
「姉たま!今の違うー!」

 こうして僕らの精霊界での戦いが終わった?













しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】選ばれなかった王女は、手紙を残して消えることにした。

曽根原ツタ
恋愛
「お姉様、私はヴィンス様と愛し合っているの。だから邪魔者は――消えてくれない?」 「分かったわ」 「えっ……」 男が生まれない王家の第一王女ノルティマは、次の女王になるべく全てを犠牲にして教育を受けていた。 毎日奴隷のように働かされた挙句、将来王配として彼女を支えるはずだった婚約者ヴィンスは──妹と想いあっていた。 裏切りを知ったノルティマは、手紙を残して王宮を去ることに。 何もかも諦めて、崖から湖に飛び降りたとき──救いの手を差し伸べる男が現れて……? ★小説家になろう様で先行更新中

伝説となった狩人達

さいぞう
ファンタジー
竜人族は、寿命が永い。 わしらの知る限りの、狩人達の話をしてやろう。 その生き急いだ、悲しき物語を。

さようなら、私の初恋。あなたは私をいらないと言ったけど──私も、私の人生にあなたはいらない。

ごろごろみかん。
ファンタジー
結婚式の夜、私はあなたに殺された。 彼に嫌悪されているのは知っていたけど、でも、殺されるほどだとは思っていなかった。 「誰も、お前なんか必要としていない」 最期の時に言われた言葉。彼に嫌われていても、彼にほかに愛するひとがいても、私は彼の婚約者であることをやめなかった。やめられなかった。私には責務があるから。 だけどそれも、意味のないことだったのだ。 彼に殺されて、気がつけば彼と結婚する半年前に戻っていた。 なぜ時が戻ったのかは分からない。 それでも、ひとつだけ確かなことがある。 あなたは私をいらないと言ったけど──私も、私の人生にあなたはいらない。 私は、私の生きたいように生きます。

公爵家御令嬢に転生?転生先の努力が報われる世界で可愛いもののために本気出します「えっ?私悪役令嬢なんですか?」

へたまろ
ファンタジー
ここは、とある恋愛ゲームの舞台……かもしれない場所。 主人公は、まったく情報を持たない前世の知識を持っただけの女性。 王子様との婚約、学園での青春、多くの苦難の末に……婚約破棄されて修道院に送られる女の子に転生したただの女性。 修道院に送られる途中で闇に屠られる、可哀そうな……やってたことを考えればさほど可哀そうでも……いや、罰が重すぎる程度の悪役令嬢に転生。 しかし、この女性はそういった予備知識を全く持ってなかった。 だから、そんな筋書きは全く関係なし。 レベルもスキルも魔法もある世界に転生したからにはやることは、一つ! やれば結果が数字や能力で確実に出せる世界。 そんな世界に生まれ変わったら? レベル上げ、やらいでか! 持って生まれたスキル? 全言語理解と、鑑定のみですが? 三種の神器? 初心者パック? 肝心の、空間収納が無いなんて……無いなら、努力でどうにかしてやろうじゃないか! そう、その女性は恋愛ゲームより、王道派ファンタジー。 転生恋愛小説よりも、やりこみチートラノベの愛読者だった! 子供達大好き、みんな友達精神で周りを巻き込むお転婆お嬢様がここに爆誕。 この国の王子の婚約者で、悪役令嬢……らしい? かもしれない? 周囲の反応をよそに、今日もお嬢様は好き勝手やらかす。 周囲を混乱を巻き起こすお嬢様は、平穏無事に王妃になれるのか! 死亡フラグを回避できるのか! そんなの関係ない! 私は、私の道を行く! 王子に恋しない悪役令嬢は、可愛いものを愛でつつやりたいことをする。 コメディエンヌな彼女の、生涯を綴った物語です。

かぶっていた猫が外れたら騎士団にスカウトされました!

灯倉日鈴(合歓鈴)
ファンタジー
伯爵令息にプロポーズされて幸せ絶頂期だったエレノアは、恋敵に階段から突き飛ばされたことで並外れた身体能力がバレてしまい、婚約破棄されてしまう。 落ち込む彼女の前に、王国騎士団に所属する第三王子フィルアートが現れる。 「王国騎士団に入れ、エレノア・カプリース」 「やだ」 騎士とか剣術とか、そんな汗臭い熱血青春はお断り! ……それなのに、結局騎士団に入ることになって……。 ワケアリ令嬢と有能(だけど恋愛面ではポンコツ)王子、そして二人を取り巻く人々と魔獣の騒がしい日々。 ※以前投稿した作品を長編用に設定を整え書き直しました。 ※カクヨム様にも投稿しています。

僕と精霊

一般人
ファンタジー
 ある戦争から100年、魔法と科学は別々の道を歩みながらも共に発展したこの世界。  ジャン・バーン(15歳)は魔法学校通う普通の高校生。    魔法学校でジャンは様々な人や精霊と巡り会い心を成長させる。  初めて書いた小説なので、誤字や日本語がおかしい文があると思いますので、遠慮なくご指摘ください。 ご質問や感想、ご自由にどうぞ

小さな大魔法使いの自分探しの旅 親に見捨てられたけど、無自覚チートで街の人を笑顔にします

藤なごみ
ファンタジー
※2024年10月下旬に、第2巻刊行予定です  2024年6月中旬に第一巻が発売されます  2024年6月16日出荷、19日販売となります  発売に伴い、題名を「小さな大魔法使いの自分探しの旅~親に見捨てられたけど、元気いっぱいに無自覚チートで街の人を笑顔にします~」→「小さな大魔法使いの自分探しの旅~親に見捨てられたけど、無自覚チートで街の人を笑顔にします~」 中世ヨーロッパに似ているようで少し違う世界。 数少ないですが魔法使いがが存在し、様々な魔導具も生産され、人々の生活を支えています。 また、未開発の土地も多く、数多くの冒険者が活動しています この世界のとある地域では、シェルフィード王国とタターランド帝国という二つの国が争いを続けています 戦争を行る理由は様ながら長年戦争をしては停戦を繰り返していて、今は辛うじて平和な時が訪れています そんな世界の田舎で、男の子は産まれました 男の子の両親は浪費家で、親の資産を一気に食いつぶしてしまい、あろうことかお金を得るために両親は行商人に幼い男の子を売ってしまいました 男の子は行商人に連れていかれながら街道を進んでいくが、ここで行商人一行が盗賊に襲われます そして盗賊により行商人一行が殺害される中、男の子にも命の危険が迫ります 絶体絶命の中、男の子の中に眠っていた力が目覚めて…… この物語は、男の子が各地を旅しながら自分というものを探すものです 各地で出会う人との繋がりを通じて、男の子は少しずつ成長していきます そして、自分の中にある魔法の力と向かいながら、色々な事を覚えていきます カクヨム様と小説家になろう様にも投稿しております

離縁された妻ですが、旦那様は本当の力を知らなかったようですね?~魔道具師として自立を目指します!~

椿蛍
ファンタジー
【1章】 転生し、目覚めたら、旦那様から離縁されていた。   ――そんなことってある? 私が転生したのは、落ちこぼれ魔道具師のサーラ。 彼女は結婚式当日、何者かの罠によって、氷の中に閉じ込められてしまった。 時を止めて眠ること十年。 彼女の魂は消滅し、肉体だけが残っていた。 「どうやって生活していくつもりかな?」 「ご心配なく。手に職を持ち、自立します」 「落ちこぼれの君が手に職? 無理だよ、無理! 現実を見つめたほうがいいよ?」 ――後悔するのは、旦那様たちですよ? 【2章】 「もう一度、君を妃に迎えたい」 今まで私が魔道具師として働くのに反対で、散々嫌がらせをしてからの再プロポーズ。 再プロポーズ前にやるのは、信頼関係の再構築、まずは浮気の謝罪からでは……?  ――まさか、うまくいくなんて、思ってませんよね? 【3章】 『サーラちゃん、婚約おめでとう!』 私がリアムの婚約者!? リアムの妃の座を狙う四大公爵家の令嬢が現れ、突然の略奪宣言! ライバル認定された私。 妃候補ふたたび――十年前と同じような状況になったけれど、犯人はもう一度現れるの? リアムを貶めるための公爵の罠が、ヴィフレア王国の危機を招いて―― 【その他】 ※12月25日から3章スタート。初日2話、1日1話更新です。 ※イラストは作成者様より、お借りして使用しております。

処理中です...