僕と精霊〜The last magic〜

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番外編

番外編 パンプ、はじめてのおつかい

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 これはジャン達が3年生になる少し前のお話。

「だーかーら!オレをいつまでも赤ん坊扱いするな!」
「良いじゃないの可愛くて」
何やらパンプはアミィに怒っていた

「良くない!赤ん坊なんてカッコ悪い!オレもジャンと同じ大人だ!」
「ジャンはまだ子供よ?」
「え?そうなのか?ジャンがよく大人の僕に任せろって言ってたぞ」
パンプは膨らませていた頬をしぼませて首を傾ける

「全くあの子は変な所で見栄張るんだから」
「とにかくオレは赤ん坊じゃない!オレはルナのお兄ちゃんなんだぞ!」
胸をポンと叩いてパンプはアピールをする

「そういうことね、分かったわ。じゃあ赤ん坊じゃないパンプちゃんに1つ頼み事があるの」
「なんだ!何をすれば良いんだ!」
パンプは目を輝かせてアミィの周りをグルグル回る

「そうね、おつかいを頼もうかしら」
「オツカイ?なんだそれ!何をすれば良いんだ?」

「簡単よはいコレ、このメモに書いてある物を買ってくれば良いのよ」
アミィはパンプにメモとお金が入った巾着袋を渡す
「なんだ買い物か!そんなのオレにだってできるぞ!」
巾着袋を首にかけてパンプは玄関に飛んでいく

「待ちなさい、パンプちゃんお買い物仕方は分かるかしら?」
「分かるぞ、えっと...欲しい物をオカネ?と交換するんだろ?」
「そのとおり、その巾着袋の中にお金が入ってるわ。全部で15ジェル、お使いリストの物をピッタリ買う事ができるわ。だから無駄遣いわダメよ」

「分かった!行って来る!」
勢い良く家を飛び出したパンプ。さてどうなるのやら...

「母さん、パンプ知らない?」
昼寝から目を覚ましたジャンがパンプを探していた
「パンプちゃんなら今おつかいに行ったわよ」
「えぇ!?大丈夫なの?」
「大丈夫よ」
「心配だな、僕もちょっと行って来る」
ジャンは寝癖も直さずに家を出る

「あらら、似てるんだから...」


「オレだって1人でできる!1人で...1人」
少し寂しくなってきたパンプ

「えっとニンジン、トマト、ジャガイモ、ムカチリッパソース、ギャンギラ草、卵、牛乳...何処に売ってるんだ?うーん?」
早速、問題発生。なんとパンプは何処に何が売っているかを聞き忘れていました。

「ん?ヒント?野菜は八百屋?他の物は市場?どちらも学園の近くにある...よーし学園に行こう!」
アミィにはお見通しでした。メモにあらかじめ行き先が書かれていた


 学園の近くまで到着したパンプ。さぁ此処から八百屋と市場を探さねばなりません。

「八百屋!市場!八百屋!市場!」
「パンプさん?何をなさっているんですか?」
たまたま生徒会の仕事中のツイスターだ

「おうツイスター!今オレおつかいしてるんだ!」
「おつかいですか、良いですね私も昔は良くスカルドと一緒に行きましたね...何処に行くんですか?」
「八百屋と市場だ!だから今探してるんだ」

「案内しましょうか?」
「いい!このおつかいはオレ1人でやるんだ!」
「そうですか、頑張って下さいね!」
「おう!」
パンプはツイスターに見送られながら八百屋と市場を探す

「心配ですね...」
ツイスターはこっそりパンプの後をつける



「こっちかな?..!あぁ~」
パンプはとある物を見つけてしまう。そう最近開店したばかりの話題のアイスクリーム屋さんだ。

「あぁ~アイスクリームだぁ!」
甘い誘惑がパンプを襲う
「ダメだ!アイスクリームを買ったらおつかいが出来なくなる!我慢だ!でもアイスクリーム...」
ヨダレを垂らして約5分。パンプは葛藤をし続ける

「あーパンプさんいけません、こうなったら....」
ツイスターはこっそり路地裏からパンプの様子を伺う

「キャー!助けてー!」
何処からか悲鳴が聞こえてきた
「なんだ?」
パンプは悲鳴がする方へ向かう

「あれ?誰も居ない...」
悲鳴は確かにしたが誰も居ない
「おかしいな、確かに聞こえたんだけどなぁ」

「やった、ソフトクリームから注意を引けました」

「あ"ーん!」
今度は子供の泣き声が
「あっちか!どうしたんだ?」
パンプは公園で泣いている女の子を見つける

「痛いよー!痛いよー!」
女の子は転んで足を怪我してしまったようだ
「よーし今治してやるぞ!ヒーリングジュエル❗️」
緑色の宝石が女の子の傷口に打ち込まれる

 傷口が塞がる
「あれ?痛くなくなった!なんで!?」
女の子は自分の足を触って傷を確認する

「怪我が無い!もしかして精霊さんが治してくれたの?」
「そうだけど」
「ありがとう!」

「お前1人なのか?友達居ないのか?」
「じゃあ精霊さんが一緒に遊んでよ!」
「え?オレ?でもオレ今わぁ!」
「精霊さん!おままごと!」
「あ、あぁ」
強制的におままごとをやらされるパンプ


「ジャンさんマズイですよ!あの子わがままで有名な子ですよ」
「マズイな...どうするべきか...」
ジャンとツイスターは茂みの中からパンプの様子を覗いていた

「ちょっと何やってんのよ」
「「わぁ!はっ...」」
2人が振り返るとそこにローズが居た

「ローズ!ナイスタイミングだ!話は後だ頼んだ!」
「ちょっ何、キャア!」
「私も行きます!」
公園にローズは投げ込まれ、ツイスターは普通に舞い降りる

「痛いわね、何すんの」
「ローズ、今は私達に従ってください!」
「ツイスターまでどういう事よ...」
「私達も混ぜてくださーい!」
ツイスターはローズの手を引っ張り女の子の方へ

「あら?パンプ?アンタ何やってんのよ」
「ロ、ローズ!?ツイスター!よし!お前ら任せたぞ!」
「あっ!精霊さん!」
パンプは女の子から逃げるようにおつかいに戻る

「アイツ後で覚えておきなさいよ...」
「さぁローズも遊びましょう」
「わぁ可愛い精霊さんだお名前なんで言うの?」
ツイスター達のおままごとが始まる


「速くしないとまた赤ん坊ってバカにされちゃう...」
急ぐパンプを邪魔するかよように男の子が道の隅で泣いていた

「また泣いてる子がいる...どうしたんだ?」
「ママにおつかい頼まれたのに...お金落としちゃった...」
男の子は破けた巾着袋を持ち泣き続ける

「じゃあオレのやるよ、だからもう泣くなよ」
パンプは男の子に巾着袋袋を渡す
「良いの?精霊さんありがとう!」
泣き止んだ男の子は笑顔で商店街の方へ走り去って行く

「よし、オレも...あっ!」
ここで大事な事に気づく。お金を渡してしまった
「あぁどうしよう、アミィに怒られちゃう...やっぱりオレ1人じゃ何もできない...」
パンプはトボトボ家に戻る

「仕方ない...おいパンプ!」
落ち込むパンプに見かねたジャンは走り出す
「ジャン..なんで此処に居るんだ?」

「なんでって...ほら忘れ物だよ忘れ物、母さんがお金を入れ忘れてたんだよ」
ジャンは財布から15ジェル取り出し、パンプに渡す

「でもアミィ、ぴったり分のお金しか入れてないって...それじゃあ足りない」
「あんなの嘘に決まってるじゃん、パンプが無駄遣いしないように言っただけだよ、ほら僕は帰るから行ってこい」

「うあぁ!本当か!行って来る!」
パンプは元気を取り戻して飛んでいく
「待て!八百屋と市場はそこをすぐ左だぞ!」
「分かったー!」

「さてと、もう大丈夫か」
「ジャンさん、どうも」
後ろから白夜がやって来た

「白夜さん!こんな所で会うなんて奇遇だね。買い物?」
「ええ、ローズと待ち合わせをしてるですけど中々来なくて」
「え...あ、あぁ...はは、ごめん...」


「よし、ぴったり買えたぞ!これでアミィも喜ぶぞ!」
当初の目的を忘れてパンプは意気揚々と家に帰った

「ただいまー!アミィ!今帰ったぞ!」
おつかいで頼まれた物をテーブルに並べる
「まぁ!ちゃんとできたわね!えらいわ」

「ジャンがアミィの忘れ物届けてくれたからできた!」
「忘れ物?何それ?」
「え?だってジャンが忘れ物だって、お金をくれたんだぞ!」

「え?じゃあ最初にあったお金は?」
「泣いてた子にあげた!その子もおつかいだったんだけどお金を落としたって泣いてたんだ!あっ!ごめん...」
パンプの話を聞いたアミィは怒る事なく頭を撫でた

「良いのよ、パンプちゃんは優しいからね。そっか、良い事したわね。でもね、お金を人にあげるのは凄く危ない事なの、今度からは後先をちゃんと考えるのよ」
「うん!」
「よし!さてと、パンプちゃんが買って来てくれた物で今日はビーフシチューでも作ろっか」
アミィは腕まくりをして台所の方へ

「アミィ!ジャンは何処だ?」
「え?まだ帰って来てないわよ」
「そうなのか?変だなオレより先に帰ったんじゃないのか...ぐっ!」

「どうしたのパンプちゃん?あら疲れて寝ちゃったのね」
パンプは疲れてソファで寝てしまった。アミィにはそう見えていたが実際は違う。首を抑えて気絶していた


「ローズ...ごべんって..ぐげげ...」
案の定ジャンはローズに首を絞められていた
「ローズ仕方ないわ!だからもう離してあげて」
「フンッ!まぁ今回は許してあげる。感謝しなさいよ、アンタが白夜の彼氏だからこのぐらいですんでんのよ。他のヤツだったらけちょんけちょんの!」

「ローズ、ジャンさん気絶してます」
ツイスターは翼に電気溜めて心臓マッサージの準備を始める
「ふん!本当弱いんだから!それでも白夜を守れるの?」

「ジャンさん本当にすみません!後でローズにはキツく言い聞かせておきますので」

「ジャンさん戻ってきてくださーい❗️」
激しい電気がジャンに流れる
「ギャアア‼️」

 こうしてパンプの重要な任務は終わった。しかし、肝心の赤ん坊の件は本人すら忘れていた。



























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