僕と精霊〜The last magic〜

一般人

文字の大きさ
上 下
16 / 747
悪魔の産声

第6話 生徒会長は2人で1人

しおりを挟む
朝6時 バーン家

 ジャンとパンプが任務に出てから一晩明けた。2人のいないバーン家は少し静かだ

「おはよう」
2階から中性的な青年が降りてくる
「あっ!おはようございますアドロンさん!」
「おはょ.Zzzz」
2人の精霊が青年に挨拶を返す

 明るい方がツイスター。しっかり者のハーピーで隣の寝坊助がスカルド。だらしないけど優しいガーゴイルでツイスターの弟

「あら今日も早いのね、おはようアドロン朝ごはんできてるわよ」
ジャンの母アミィは朝食をテーブルに並べながら明るい笑顔を見せる

 アドロン・バーン。昨年からツイスター、スカルドと共にバーン家の一員になった青年。少し変わった体質で人間ではなく双子の兄妹の魂が宿った人形である。家族が居ないということでアミィの提案でバーン家の養子として今は暮らしている

「ありがとう。か、義母さん...わぁ!凄く美味しそう!」
アドロンは丸いパンを一口で頬張る
「ん?お義父さんは何してるの?」
部屋の隅で何かを作っている父、ユウスケの姿を見てアドロンは首を傾ける

ユウスケ・バーン。一家の大黒柱。元は科学軍の人間だったが旅をしている途中でアミィと出会いそのまま結婚。最初は近所から煙たがれていたが今ではさまざまな道具の修理を頼まれるほど信頼されている

「ああ、おはようアドロン。あっちの国にあるテレビってヤツを今作ってんだよ」
ユウスケは器用に工具を使い細かいパーツを1つ1つ繋ぎ合わせてテレビを一から作っている

「テレビ?...昔本で読んだことがあるな、科学軍はテレビを使って万能の知識を得るってかいてたかな」
「流石アドロンさん!詳しいですね」
「Zzz...」
ツイスターは小さな翼でパチパチと拍手する
 
「はい2人ともコーヒー入れたわよ」
「おうありがと」
「ありがとうママ!」

「確かに万能の知識と言うとそうなるかもな、さてとあとはアンテナを立ててっと」
ユウスケがテレビを電源ボタンを押すと魔法軍の国では見慣れない光景が映り出されていた

『フハハ❗️貴様には死んでもらう!この爆弾でな!』 
「なんだ?懐かしいな特撮物か」
ユウスケは子供の頃を思い出す

『これで世界は我々ワールインダーの物だ!ガッハハハ❗️』
「ば、爆弾!?アドロンさん!気を付けてください!」
「ああ!」
2人はテレビの中に居る悪の組織に警戒をして戦闘態勢に入る

「ハハハ!落ち着け2人とも、こりゃ作り物だ」
ユウスケは思わず笑ってしまう
「「え?」」

「でもユウスケさん、あの方が世界は我々の物だと」
ツイスターは大慌て
「いいか?テレビには事実を伝えるニュース番組ってヤツと作った映像を放送するドラマやアニメってヤツがあるんだ、まぁまだまだ種類はあるけどな。今放送してるコレはドラマ。作りもんだ」
ユウスケは2人にテレビ番組の内容を解説をする

「分かりました!このドラマと言うものは嘘つきなんですね!」
「ま、まぁそう言う事だ」
「なるほど...」
アドロンはコーヒーを啜る

『番組の途中ですがここで臨時ニュースです』
「コレが正直者のニュースですね!」
「まぁ正直者かは怪しいがそんな感じだ」
ユウスケもコーヒーを啜る

『昨日刑務所から逃走した殺人罪、器物損壊、公務執行妨害の容疑者であるジャン・バーンは現在も逃走中です。近隣の方々は十分注意をしてしっかり戸締りをして下さい。また...』
「「ブッーー‼️」」
2人は勢い良くコーヒーを吹き出す。テレビにはハッキリとジャンとパンプの顔写真が公開されていた

「あら?ジャンとパンプちゃんだわ。2人とも有名人ね」
「感心してる場合か、たくっ仕方ねぇな迎えに行くか」
ユウスケは支度を始める

 寝室の方から泣き声が聞こえる
「ルナさんがお目覚めみたいですね」
ルナ生後11ヶ月。可愛い赤子だからといって油断していると痛目を見る、それほどの魔力を内に秘めたバーン家の天使

「あぅあ!」
「ほらルナさん、キラキラですよ~」
ツイスターは電撃の力で翼を光らせて、ルナをあやす
「きゃきゃ!」

「ありがとツイスターちゃん、さぁ学校に遅れちゃうから私に任せて」
「はい!それでは行ってまいります!」
アミィに敬礼をしてツイスターはアドロンの下へ飛んでいく

「さぁスカルド起きてください!行きますよ!」
「zzz..❗️うわっ!ん?おはよ~」
微量の電気でスカルドを無理矢理目覚めさせる


「もうまたあなたは夜ふかしをしたんですね!」
「だって昨日は流れ星がいっぱい見れたんだぜ」
「またそんな事言って!いつも夜更かしじゃありませんか!そんなんじゃあアドロンさんのパートナーとして役目を果たせませんよ!」
「分かってるよ~ごめんなさい」
いつも通りこの時間になるとツイスターのお説教が始まる。これが俺達の登校風景だ

「さぁお前ら気張るぞ...今日も一日頑張ろうね」
「はい!」
「おう!」
アドロンは生徒会室の扉を開けると数人の役員が既に作業をしていた

「あっ!会長!おはようございます!」
「会長、今日の任務は大仕事ですよ」
「あの副会長、この書類は」
「その書類はそこに置いておいて下さい」

「慌ただしいな...私達も早速」
アドロンは目にも止まらぬスピードで書類を整理し始める
「おお!流石アドロンさん!」
「姉ちゃん俺らもやろうぜ!」
ツイスターとスカルドは部屋の隅々をピカピカに掃除する

「よーしお前ら!今日も一日頑張るぞ!」
「「「「はい❗️」」」」
今日もこうして生徒会の忙しい1日が始まった










しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!

仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。 しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。 そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。 一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった! これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!

のほほん異世界暮らし

みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。 それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います

霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。 得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。 しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。 傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。 基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。 が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

迷宮に捨てられた俺、魔導ガチャを駆使して世界最強の大賢者へと至る〜

サイダーボウイ
ファンタジー
アスター王国ハワード伯爵家の次男ルイス・ハワードは、10歳の【魔力固定の儀】において魔法適性ゼロを言い渡され、実家を追放されてしまう。 父親の命令により、生還率が恐ろしく低い迷宮へと廃棄されたルイスは、そこで魔獣に襲われて絶体絶命のピンチに陥る。 そんなルイスの危機を救ってくれたのが、400年の時を生きる魔女エメラルドであった。 彼女が操るのは、ルイスがこれまでに目にしたことのない未発見の魔法。 その煌めく魔法の数々を目撃したルイスは、深い感動を覚える。 「今の自分が悔しいなら、生まれ変わるしかないよ」 そう告げるエメラルドのもとで、ルイスは努力によって人生を劇的に変化させていくことになる。 これは、未発見魔法の列挙に挑んだ少年が、仲間たちとの出会いを通じて成長し、やがて世界の命運を動かす最強の大賢者へと至る物語である。

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

最低最悪の悪役令息に転生しましたが、神スキル構成を引き当てたので思うままに突き進みます! 〜何やら転生者の勇者から強いヘイトを買っている模様

コレゼン
ファンタジー
「おいおい、嘘だろ」  ある日、目が覚めて鏡を見ると俺はゲーム「ブレイス・オブ・ワールド」の公爵家三男の悪役令息グレイスに転生していた。  幸いにも「ブレイス・オブ・ワールド」は転生前にやりこんだゲームだった。  早速、どんなスキルを授かったのかとステータスを確認してみると―― 「超低確率の神スキル構成、コピースキルとスキル融合の組み合わせを神引きしてるじゃん!!」  やったね! この神スキル構成なら処刑エンドを回避して、かなり有利にゲーム世界を進めることができるはず。  一方で、別の転生者の勇者であり、元エリートで地方自治体の首長でもあったアルフレッドは、 「なんでモブキャラの悪役令息があんなに強力なスキルを複数持ってるんだ! しかも俺が目指してる国王エンドを邪魔するような行動ばかり取りやがって!!」  悪役令息のグレイスに対して日々不満を高まらせていた。  なんか俺、勇者のアルフレッドからものすごいヘイト買ってる?  でもまあ、勇者が最強なのは検証が進む前の攻略情報だから大丈夫っしょ。  というわけで、ゲーム知識と神スキル構成で思うままにこのゲーム世界を突き進んでいきます!

本当の仲間ではないと勇者パーティから追放されたので、銀髪ケモミミ美少女と異世界でスローライフします。

なつめ猫
ファンタジー
田中一馬は、40歳のIT会社の社員として働いていた。 しかし、異世界ガルドランドに魔王を倒す勇者として召喚されてしまい容姿が17歳まで若返ってしまう。 探しにきた兵士に連れられ王城で、同郷の人間とパーティを組むことになる。 だが【勇者】の称号を持っていなかった一馬は、お荷物扱いにされてしまう。 ――ただアイテムボックスのスキルを持っていた事もあり勇者パーティの荷物持ちでパーティに参加することになるが……。 Sランク冒険者となった事で、田中一馬は仲間に殺されかける。 Sランク冒険者に与えられるアイテムボックスの袋。 それを手に入れるまで田中一馬は利用されていたのだった。 失意の内に意識を失った一馬の脳裏に ――チュートリアルが完了しました。 と、いうシステムメッセージが流れる。 それは、田中一馬が40歳まで独身のまま人生の半分を注ぎこんで鍛え上げたアルドガルド・オンラインの最強セーブデータを手に入れた瞬間であった!

処理中です...