僕と精霊

一般人

文字の大きさ
上 下
178 / 193
僕らの青春編

第101話 ドキドキ期末テスト

しおりを挟む
 ジャンのスピーチから数日後、学園は再開をした。ジャンにとっては約2ヶ月ぶりの登校だ。

 この日は精霊と一緒に座学をするようだ
パンプはノートに落書きをしている
「パンプ、ちゃんと授業を受けなきゃ駄目だよ」
ジャンは小声で言う

「大丈夫!全部分かるから」
勢いよくチョークが飛んできてパンプのおでこに当たる
「イッテー❗️」

「パンプ君、元気なのは良い事ですが授業中に大声は出さないでください」
ウィリムはパンプに投げたチョークを手元まで引き寄せる

「うぅ~ごめんなさい」
「だから言ったろ」
パンプはみんなに笑われる

「えー、そろそろ夏休みも近くなってきましたね」
ケンザキが話を変えると教室が盛り上がった

「なぁジャン、夏休みってなんだ?」
「夏休みはね、夏に1ヶ月ぐらい学園が休みになるんだよ」
ジャンの説明を聞くとパンプは叫んだ

「嫌だ!またみんなと会えなくなると寂しいぞ!」
パンプのそう叫ぶとまたみんなに笑われた

「大丈夫だよ、休みの間はみんなと遊んだり出来るから」
パンプは安心する

「まだ安心できませんよ」
ウィリムは声を上げる
「あなた方には夏休みに入る前に期末テストを受けてもらいます」
教室はざわつく

「もちろんテストで赤点を取ったら夏休みは無しですよ、テストは1週間後です、しっかり勉強するように、では授業を終わります」
ウィリムは笑顔でそう言い、ケンザキと教室を出る

「なぁジャン、ジャン」
パンプはジャンに声をかけたが返事がない
「なぁ白夜、ジャンがキマツテストって言葉を聞いたらおかしくなったぞ、キマツテストってなんなんだ?」
パンプは白夜の制服の袖を引っ張る

「テストというのは今まで勉強してきたことを活かして問題を解いていく物です」
白夜は説明をする

「何でジャンはおかしくなったんだ?」
「さ、さぁ、ジャンさん?」
白夜は心配になってジャンの肩に手を当てる

「ひっ!テスト!..白夜さん!ど、どうしたの?」
ジャンはおどおどしている
「ジャンさんどうしたんですか?体震えてますよ」
白夜は本気で心配する

「僕、2ヶ月ぐらい学園に来てなかったんだよ、テストなんて赤点取っちゃうよ」
「大丈夫ですよ、パンプさんがノートをまとめてくれていますし、分からないことがあったら私に聞いて下さい、それでもしダメだったら私も一緒に行きますよ」
白夜はジャンを励ます

「違うんだよ、赤点以前に点数が低かったら母さんに怒られるんだよ」
ジャンの言葉を聞き、パンプは背筋をピンとする
「アミィは怒ると怖いからな」
2人は体を震えさせる

「バカね」
ローズは鼻で笑う

 
 そして、ジャンは1週間、パンプと時々、白夜とザルと一緒に猛勉強をした。しかし、ジャンが休んでいた分の内容は多く、とても短期間で頭に入る量では無かった。


 テスト当日

「ほらジャン行くぞ!」
パンプはジャンの手を引く
「テスト頑張るのよ!」
アミィは2人を見送る

「ジャンさんにパンプさん、おはようござい..!」
白夜は目を疑った、ジャンの目の下には大きな隈ができていた

「ジャンさん大丈夫なんですか!」
「あはは白夜さん、僕は大丈夫だよ、それにしても今日も綺麗だね、ははは!」
ジャンは弱々しい声で言う

「あ、あらありがとうございます」
白夜は照れる
「バカップル...」
ローズは呆れた目で2人を見る

「遅刻する!速く行くぞ!」
パンプはジャンを引きずりながら学園へ向かう


 朝のホームルームが終わり、教室に真剣な空気が流れ始める

 しばらくして机の上に問題用紙と解答用紙が配られた
「始め!」
皆は一斉に解答を始める

 内容は簡単な計算や魔法の専門用語や応用などなど授業で学んできたことだ

 放課後

 ジャンは真っ白に燃え尽き、机にぐでーっともたれていた。

「ジャン!どうだった!」
パンプは急いで教室に入って来た
「終わった...」
ジャンの声は震えている
「ジャン❗️しっかりしろ!」
パンプはジャンの背中をさする

「大丈夫ですよ、筆記がダメだったとしても平常点がまだありますから!」
白夜は励ます
「そうよ!そんな大袈裟に落ち込まなくても」
流石にローズも同情をする


 2日後、総合点と担任のコメントが書かれた紙が配られた。ぎりぎりジャンは赤点を逃すことができた。

 バーン家

「ただいま...」
ジャンはこっそり家に入るとセバスが迎えにきた
「アミィ様!ジャン様とパンプさんがお帰りになりました!」
居間からアミィがやって来た

「おかえりなさい2人とも、テストの結果どうだったの?」
アミィは待ってましたと言わんばかりの表情で2人に言う

「これ..」
「はい!」
2人は紙をアミィに渡す

 アミィはその場で紙をまじまじと見る
「2人とも良くやったわね」
「え?」
ジャンは母の意外な反応に驚く

「怒らないの?」
「だってあなた、ほとんど学園に行けてなかったじゃないの、次頑張ればいいわ」
アミィはジャンの頭を撫でる

「アミィ!オレは!」
「んーパンプちゃんは素行を注意されているわね、良い子にしてなきゃダメじゃないの、今日のお菓子は無しね」
アミィは笑顔で言う

「そんなぁー!」
パンプは涙を流す

 とりあえず夏休みは無事確定した
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

貧弱の英雄

カタナヅキ
ファンタジー
この世界では誰もが生まれた時から「異能」と「レベル」呼ばれる能力を身に付けており、人々はレベルを上げて自分の能力を磨き、それに適した職業に就くのが当たり前だった。しかし、山奥で捨てられていたところを狩人に拾われ、後に「ナイ」と名付けられた少年は「貧弱」という異能の中でも異質な能力を身に付けていた。 貧弱の能力の効果は日付が変更される度に強制的にレベルがリセットされてしまい、生まれた時からナイは「レベル1」だった。どれだけ努力してレベルを上げようと日付変わる度にレベル1に戻ってしまい、レベルで上がった分の能力が低下してしまう。 自分の貧弱の技能に悲観する彼だったが、ある時にレベルを上昇させるときに身に付ける「SP」の存在を知る。これを使用すれば「技能」と呼ばれる様々な技術を身に付ける事を知り、レベルが毎日のようにリセットされる事を逆に利用して彼はSPを溜めて数々の技能を身に付け、落ちこぼれと呼んだ者達を見返すため、底辺から成り上がる―― ※修正要請のコメントは対処後に削除します。

エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~

シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。 主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。 追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。 さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。 疫病? これ飲めば治りますよ? これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する

高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。 手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。

sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。 目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。 「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」 これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。 なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

好きでした、さようなら

豆狸
恋愛
「……すまない」 初夜の床で、彼は言いました。 「君ではない。私が欲しかった辺境伯令嬢のアンリエット殿は君ではなかったんだ」 悲しげに俯く姿を見て、私の心は二度目の死を迎えたのです。 なろう様でも公開中です。

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

だから聖女はいなくなった

澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
「聖女ラティアーナよ。君との婚約を破棄することをここに宣言する」 レオンクル王国の王太子であるキンバリーが婚約破棄を告げた相手は聖女ラティアーナである。 彼女はその婚約破棄を黙って受け入れた。さらに彼女は、新たにキンバリーと婚約したアイニスに聖女の証である首飾りを手渡すと姿を消した。 だが、ラティアーナがいなくなってから彼女のありがたみに気づいたキンバリーだが、すでにその姿はどこにもない。 キンバリーの弟であるサディアスが、兄のためにもラティアーナを探し始める。だが、彼女を探していくうちに、なぜ彼女がキンバリーとの婚約破棄を受け入れ、聖女という地位を退いたのかの理由を知る――。 ※7万字程度の中編です。

処理中です...