僕と精霊

英雄誕生伝編 6月20日〜6月30日

第86話 俺のやり方を覚えろ！

　150年前サイド

　時は少し遡り、クランクはジャンに風林火山について説明をしている

「風林火山？聞いたことが無いですね」
ジャンは風林火山というワードを必死に思い出そうとする

「ハッハッハ！無駄無駄！風林火山は、我がバーン家に伝わる奥義！お前はただ姓が同じだけだ！知らなくて当然！」
クランクは腕を組んで高らかに笑う

「それで、僕にその風林火山を教えてくれるんですか？」
「ああ、勿論だ！だがこの技は一筋縄ではいかんぞ！」
クランクは拳を握る

「なぁゼノ、この人は信用してもいいの？」
「うん！クランクさんは変な人だけど悪い人じゃないよ」
ゼノは笑顔で答える

「そう言えば、ゼノ！里長がお前のこと呼んでいたぞ！」
クランクはゼノに指を差して言う
「里長が！竜ノ神行くよ！」
ゼノは竜ノ神と一緒に里長の家まで走る

「さぁ！早速始めるか！」
「え！ちょっ！待っ...!」
「問答無用❗️」
クランクは構えを取る

「風❗️」
次の瞬間、クランクは凄まじいスピードででは動き出す
「何！？」
ジャンは咄嗟に周りを見渡し、クランクを目で捉えた

「そこか！ファイアボール‼️」
「林❗️」
クランクの気配が消え、火球は空高く打ち上がる

「火❗️」
「ぐっ...！」
ジャンは突然、連撃を食らう
「フレイムシールド❗️」
ジャンは自分を覆うように炎の盾を作り出す

(どうなってるんだ、何処から攻撃を！？)
「山❗️」
「な、何ー❗️」
巨大な拳が炎の盾を突き破り、ジャンをぶっ飛ばす

「ウラァァ‼️」
空中でジャンは足から炎を噴射し、クランクに勢いよく蹴りかかる

ゴキン❗️
ジャンの蹴りはクランクの腹に直撃する

「痛っでー‼️」
しかし、ダメージを食らったのはジャンの方だった
(どうなってんだ、この硬さは！まるで大岩だ！絶対、骨折れた！)

「ハッハッハ！どうかね！風林火山の威力は」
クランクは腹をカンカンと叩きながら笑う

「その硬くなるのも、風林火山って技なのか？」
ジャンは右足を押さえながら聞く
「ああ、勿論！お前は俺の動きを見て、何か分かったのかな？」
クランクはジャンに指を差す

「まったく、どういう理屈か理解ができないね」
ジャンはお手上げの様子だ
「まぁ、初見で見抜くのは至難の技だろう！そこで！お前にヒントを与える！風林火山！風❗️風の如く動くべし！林❗️林の如く気配を消すべし！火❗️火の如く激しい連撃を打つべし！山❗️山の如く強靭な体を作るべし！この4つの魔力を己の体に宿すべし！以上これが、風林火山の全てである❗️」

「言われて出来るもんなんですかこれ？」
ジャンは少し捻くれる
「男がガチャガチャ抜かすな❗️」
クランクは座っているジャンに殴りかかる

「ひぃ❗️ちょっ！クランクさん！まずは足が！」
「うるさい‼️火❗️」
クランクはジャンに連撃を繰り出す

「クッソ！ヒール❗️」
ジャンは足を治療しながらクランクの攻撃を必死に躱す

「おい、お前！今何をした！」
「足に回復魔法を使っているだけですよ！」
ジャンは息を切らしながら、約30秒かけて足の骨を動かせる程度まで治療をする

「それだ！そうやって魔力を体に宿すんだ！」
「そういうことか！」
ジャンは立ち上がり、体中に魔力を集中させる

(血液中に魔力を流すイメージだ)
ジャンの髪は赤く染め上がる

「やってやろうじゃねーか！俺の風林火山をよ！」
ジャンは構えを取る