僕と精霊

一般人

文字の大きさ
上 下
137 / 193
英雄誕生伝編 6月20日〜6月30日

第77話 パンプ、お見舞いに行く

しおりを挟む
 何日経っても帰って来ないジャン。その間パンプは何もしていなかった訳ではない

「今日の授業はこれで終わりです、皆気をつけて帰るように、以上」
ケンナリの号令で解散の準備をし始める一同

 パンプは1-Aの教室に飛んで来るとすぐにジャンの席にノートを置く

「あら、今日はどうでしたか、パンプさん?」
白夜は授業ノートをパンプに渡しながら聞く

「ううん、ダメだった、今日も何も分からなかった」
パンプは宝石で白夜のノートの文字をなぞり、自分のノートの白紙のページに押し込むと文字がどんどん複製されていった

「ありがとな、白夜!これでジャンが帰って来た時に授業についていけるようになる」
パンプは笑顔で白夜にノートを返す

「ふふっ、良いんですよ、パンプさんは親切な精霊ですね、それにしてもジャンさんは今ごろ何処にいらっしゃるのでしょうか...」

 しばらく白夜とパンプが雑談をしているとローズがやって来た

「白夜、そろそろ帰りま...ってパンプ!アンタ、白夜に何してるのよ!まさか!ジャンの代わりに白夜にパートナーになってもらおうって考え出るんじゃないでしょうね!」
ローズはパンプの首を掴みブンブン振り回す

「ちが..う、アガカガカガ!」
パンプは泡を吹きかける

「こら、ローズ、ダメじゃないの!」
白夜はローズをパンプから引き離す
「違うのよ、パンプさんはジャンさんのためにノートを写しているだけよ」
白夜はローズを抱きながら言う

「白夜が言うなら...ごめんなさいね、パンプ」
ローズはパンプに謝る
「でも、白夜は私のパートナーだからね!」
ローズはパンプに指を差す

「え、うん」
パンプはうなずく
「さ、今日はモニー先輩のお見舞いに行きますよ」
「え、そうだっけ?」
「朝言ったじゃないの、しっかりしてよ」
白夜はローズのほっぺをツンッと突く

「オレも行って良いか?」
「良いわよ、それじゃついてきてください」
「おう!」
パンプは白夜の後ろを陽気に浮きながらついていく


 病院 

「ここですよ」
白夜はモニーのいる病室のドアを開ける

「やぁ、来てくれたんだね、白夜さんにローズさん、パンプ君」
ベッドに座っているモニーの髪の色は真っ白だ  

「€♪☆○○〆」
「おーう、メル!久しぶりだな」
パンプはメルの方へ行く

「ご機嫌よう、体調はどうですか、モニー先輩?」
白夜は尋ねる

「まぁ、腕の痺れはまだあるけど、体は動くようにはなったね」
モニーは立ち上がろうとする

「あー!ダメですよ、モニー先輩、これに座って下さい」
白夜は取手のついた椅子をベッドの横から取り出す

「ありがとう、情けないなぁ」
モニーは椅子に座る

「なぁ、なんでセイトカイチョーの髪は白くなってるんだ?」
パンプはメルと戯れ合いながら聞く

「ああ、実は僕、いつもメルと共鳴していたから茶髪だっただけで元は白髪なんだよ」
「%×*:♪」
モニーの一言を聞き、一同は驚く

「モニー先輩、あの共鳴をずっと維持してたんですか?」
「この人が尊敬される意味が分かってきたわ」
「あれ、すっごく疲れるんだよなぁ、メルお前も凄いな」
「*×☆〆%€」
メルは照れている

「僕はただ、メルの心の波長に合わせて共鳴をしているだけだよ、そうすれば全然疲れないんだよ」
モニーは微笑みながら言う

「なるほど、共鳴にも精度があるのですね」
白夜は精霊石に手を当てる

「すまない、少し外の空気を吸いたいんだが、出ても良いかな?」
モニーは椅子に魔力を込めると椅子は浮き始める

「あ、押しますよ」
白夜は取手を掴み椅子を押す

 病院の外は雲一つない夕暮れだ

しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

貧弱の英雄

カタナヅキ
ファンタジー
この世界では誰もが生まれた時から「異能」と「レベル」呼ばれる能力を身に付けており、人々はレベルを上げて自分の能力を磨き、それに適した職業に就くのが当たり前だった。しかし、山奥で捨てられていたところを狩人に拾われ、後に「ナイ」と名付けられた少年は「貧弱」という異能の中でも異質な能力を身に付けていた。 貧弱の能力の効果は日付が変更される度に強制的にレベルがリセットされてしまい、生まれた時からナイは「レベル1」だった。どれだけ努力してレベルを上げようと日付変わる度にレベル1に戻ってしまい、レベルで上がった分の能力が低下してしまう。 自分の貧弱の技能に悲観する彼だったが、ある時にレベルを上昇させるときに身に付ける「SP」の存在を知る。これを使用すれば「技能」と呼ばれる様々な技術を身に付ける事を知り、レベルが毎日のようにリセットされる事を逆に利用して彼はSPを溜めて数々の技能を身に付け、落ちこぼれと呼んだ者達を見返すため、底辺から成り上がる―― ※修正要請のコメントは対処後に削除します。

エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~

シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。 主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。 追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。 さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。 疫病? これ飲めば治りますよ? これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する

高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。 手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。

sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。 目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。 「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」 これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。 なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

好きでした、さようなら

豆狸
恋愛
「……すまない」 初夜の床で、彼は言いました。 「君ではない。私が欲しかった辺境伯令嬢のアンリエット殿は君ではなかったんだ」 悲しげに俯く姿を見て、私の心は二度目の死を迎えたのです。 なろう様でも公開中です。

(完結)魔王討伐後にパーティー追放されたFランク魔法剣士は、超レア能力【全スキル】を覚えてゲスすぎる勇者達をザマアしつつ世界を救います

しまうま弁当
ファンタジー
魔王討伐直後にクリードは勇者ライオスからパーティーから出て行けといわれるのだった。クリードはパーティー内ではつねにFランクと呼ばれ戦闘にも参加させてもらえず場美雑言は当たり前でクリードはもう勇者パーティーから出て行きたいと常々考えていたので、いい機会だと思って出て行く事にした。だがラストダンジョンから脱出に必要なリアーの羽はライオス達は分けてくれなかったので、仕方なく一階層づつ上っていく事を決めたのだった。だがなぜか後ろから勇者パーティー内で唯一のヒロインであるミリーが追いかけてきて一緒に脱出しようと言ってくれたのだった。切羽詰まっていると感じたクリードはミリーと一緒に脱出を図ろうとするが、後ろから追いかけてきたメンバーに石にされてしまったのだった。

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

処理中です...