僕と精霊

英雄誕生伝編 6月20日〜6月30日

第75話 壊れた魔銃

　水面には波紋が広がり、突風が吹く。

「ジャン様、何が起こってるの？」
ゼノはジャンの服を掴み怯える
「ゼノ、すぐに里まで帰るんだ！」
「で、でもジャン様が」
「僕は大丈夫だから！」
ジャンがそう言うとゼノは走って里の方へ避難する

「出てこい❗️コソコソしてると周囲を燃やすぞ❗️」
ジャンは大きな声で警告する

　物陰からおそらくリーダーであろう女と狡賢そうな男、筋肉ムキムキの男が出てきた。

「誰だ！お前らは！」
ジャンは怪しい3人組に指を差す

「あたし達は科学軍の中でも特に超優秀な科学者3姉弟！長女！ホーク・ワンガル！」　
女はポーズを取る

「長男！ピーコック・ワンガル！」
狡賢そうな男もポーズを取る

「末っ子！スズメ・ワンガル！」
筋肉はマッスルポーズを取る

「「「3人揃って❗️ワンガル三羽ガラス‼️」」」
3人は組体操のようなポーズを取る

(うわぁ～変なのが来たなぁ)
ジャンは少し後ろに下がる

「おっと待ちな！あなた魔法軍の人間でしょ！大人しく私達についてきなさい！」
ホークは鞭を構える

「嫌です」
ジャンはそう言い、魔銃を構える

「え！そ、そんなぁ～」
ホークは膝から崩れ落ちる
「ね、姉さん！お、おいお前！なんて冷たい奴なんだ！」
ピーコックはジャンに鉄砲を向ける
「お姉ちゃんを傷つけたお前、許さない」
スズメは構えを取る

「面倒くさいなぁ！何で科学軍は魔法軍を襲うんだよ！せっかく、今は平穏にどちらも手を取り合おうとしてるって言うのに！」
ジャンは怒鳴る

「ちょ、ちょっと何言ってんだい、あんたは、科学軍と魔法軍が手を組む？有り得ないわね、今も絶賛戦争中だって言うのに」
ホークは高笑いする
「姉さん、アイツ頭おかしいぜ！」
「アイツ、俺より頭悪い、だから俺の方が強い」
そう言い、スズメはジャンに殴りかかる

「うわっ！何が科学だ！暴力じゃないのか❗️」
ジャンは拳を躱し、魔銃の引き金を引く

　カチッ！カチッ！
しかし、魔銃から弾は出なかった

「あれ？」
ジャンは引き金を何回も引くが弾が出ない
「どうなってるんだ！？」

「お前、壊れた武器使う馬鹿だ！」
スズメは激しく連続パンチを繰り出す

「ファイアボール‼️」
咄嗟にジャンは火球をスズメにぶつける
「あ、アチィ！熱いよ、助けて！お兄ちゃん！お姉ちゃん！」
顔に火球が直撃したスズメは暴れる

「スズメや、落ち着くんだよ！川に入りなさい！」
ホークはスズメを川に落とす

「ふぅ、ありがとうお姉ちゃん」
川から出てきたスズメの顔は真っ黒焦げになっていた。

「あんたよくも、あたしの可愛い弟に！」
ホークは鞭で鋭い一撃を繰り出す
「え！アババババ‼️」
鞭はジャンに当たると電流が走った

「どうだい？あたしの鞭の威力は♡」
ホークはもう一度、鞭を打つ
「流石！姉さん、次は私が！」
ピーコックは引き金を引き、弾丸を6発撃つ

「フレイムシールド‼️」
ジャンは両手で炎の円を描き、盾を作る
鞭と弾丸は燃え尽きる
「ふぅ、僕も痛みに慣れてきたな」

「あたしの鞭が！」
ホークは先端が燃え尽きた鞭を見て涙を流す
「私の射撃術が通用しない！？」

「さて、トドメを」
ジャンは両手で巨大な火球を作る

「ひぃ！撤退だよー❗️」
ホークは逃げ出す
「「待ってよ！」」
二人も走り去る

「何だったんだ...」
ジャンは火球を引っ込める


　ジャンは竜の里まで戻る
「あ、ジャン様！無事だったんだね！」
ゼノはジャンが帰って来るや否やジャンに抱きつく

「うん、ただいま」
ジャンはゼノを抱き上げ、笑う

(それにしても、今も戦争中ってどういうことだ)
ジャンはゼノを降ろし、魔銃を確認する

(やっぱり壊れちゃったのかなぁ、困ったなぁ)