僕と精霊

青春忘却編 5月11日〜5月17日

第65話 解き放たれる記憶の欠片

　ジャン達が戦う中で記憶返還装置は完成した。

「設定完了っと！さぁ、起動させるわよ」
アイカは装置のスイッチを押す

　装置のアンテナに強力な電気が走り始め、空に電磁波を飛ばす。電磁波は国境を越える程の範囲に広がる。

「思い出したぞ！なんであんなに大切なヤツらを忘れちまってたんだよ！」
「あんなに一生懸命、ジャンさん達と花火を作ったのに忘れてしまっていたなんて！」
シュンとマツリはジャン達のことを思い出し、鼓動が激しくなる

「ふんふんふーん♪セバスさーんちょっとお洗濯物を取ってきてくれるかしら」
アミィは皿洗いをしている
「承知いたしました、ただ今取ってまいります」
セバスは庭に干している洗濯物を取りに行こうとした瞬間、違和感を感じる

「こ、これは」
セバスは頭を抱える
パリーン‼️
皿の割れる音がする

「アミィ様！お怪我はございませんか！」
セバスはアミィの下へ駆けつける
「せ、セバスさん、私、私」
アミィの膝から崩れ落ちる

「ハァ、ハァ、ハァハァ」
アミィは過呼吸になる
「落ち着いてください！アミィ様！呼吸を整えて！」
セバスはアミィの背中をゆっくり優しく撫でる

「ジャン、パンプちゃん、なんてことを私は...自分の子どもを...家族を今まで忘れてしまってたなんて...」
アミィはショックで気を失う

「アミィ様！アミィ様❗️」
セバスは急いでアミィをベッドへ運ぶ


　アドロン

「なんで！分かってくんねぇーんだよ！」
ザルは水の刃でモニーに斬りかかり、メイデンは角を振り回す

「それはこっちのセリフだよ、君らはアドロン君を一瞬でも理解しようとしたかい？」
モニーはザル達の猛攻をいなしながら答える

「メル❗️」
「○>」
メルはモニーの笛に憑依し、モニーは笛を吹く

　ピィィィーー‼️
鋭い音と共に笛が剣の形状に変形する

「さぁ、一気にケリをつけようか」
モニーがザルに一撃喰らわせようとした瞬間
電磁波が飛んでくる

「な...！」
ザル達の頭の中にジャンとパンプの記憶が駆け巡る

「ジャン...俺は何をしてんだ、クソ！」
ザルは塀に頭を打ち付ける
「ザル様！」

「なるほどね」
モニーの笛からメルが出てくる
「☆%÷＊」
「そうだね、ジャンの音がする方へ急ごう」
モニーは音を頼りに研究所の方へ向かう

「私たちは...なんてことを」
ウリエラとガブリラの体は震えている

「そうか！リアはジャンの穴埋めにきたヤツだったのか」
ラートは冷静に推理をする
「ご主人は頭の回転が早いですね～」

「ラート、今はそんなこと言ってる場合じゃないよ！アドロン、ごめん！」
レートはアドロンに土下座する

「皆さん、戻ってくれたんですね...たく、面倒かけやがって」
アドロンは気を失う
「アドロンさん❗️」
「おい！アドロン❗️」
ツイスターとスカルドは力を振り絞ってアドロンを自宅まで運ぼうとする

「僕も手伝うよ、僕にできるのはこれぐらいだから」
レートはアドロンを背負う

「ツイスター、スカルド案内を」
「ありがとうございます、レートさん」
ツイスターはお辞儀する
「けっ、今更になって」
スカルドは拗ねる

「俺らはジャン達のところへ向かうぞ！」
「ほらスカルド、あなたは皆を研究所まで案内してください、アドロンさんと一緒に聞いたのでしょ？」
「分かったよ、行きますよ」
スカルドはイヤイヤ、ザル達の方へ向かう