僕と精霊

一般人

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青春忘却編 5月11日〜5月17日

第50話 アドロンの家

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 アドロンはジャン達を自宅まで案内している

「ここだよ」
路地裏でアドロンは個室トイレのような物に指を指す

「これが家?」
ジャンは少し不安になる
「これがアドロンの家か!変わってるな」
パンプは思ったことをそのまま言う

「家つってもここはだけどな」
アドロンはニヤッと笑いドアを開ける
個室の中にはマンホールがあり、アドロンはそれを持ち上げる

「さぁ行きますよ」
アドロンはハシゴを降って行く
「さぁ、ジャンさんも行きましょう」
ツイスターが案内する
「う、うん」
ジャンもハシゴを降る

「パンプ俺らも行くぞ」
「おう!」
スカルドとパンプが後を追う


アドロンの家 地下1階

「へぇー、すっごく広い!町の地下にこんな所があったなんて」
ジャンは広い地下室を見渡す

「結構苦労したんですよ、この家を作るのに5年もかかったんですよ」
アドロンは椅子に座りながら話す

「え!この家アドロンが作ったの?」
ジャンはもう一度地下室を見渡し聞く
「そうだぜ、俺ら二人で作ったんだぜ!...武器変化の魔法を応用したんですよ」
アドロンは鼻を高くしながら答える

「まぁくつろいでくれよ」
アドロンはそう言い眠る

「すみません、アドロンさんここ最近魔獣退治で相当疲れているようで...」
ツイスターは頭を下げる
「気にしないで、それよりも二人はどうやって記憶を取り戻したの?」
ジャンはツイスターとスカルドに尋ねる

「私達の精霊石が突然、輝き出したと思ったら一気にジャンさんの記憶戻ってきました」
二人は胸元の精霊石に指差しながら答える

「精霊石にはそんな力まであるのか」
ジャンは自分とパンプの精霊石を見ながら少し考える

グゥー
パンプのお腹の音が鳴る
「そういえばオレ、研究所出てから何にも食べてないや」
パンプはぐったりし始める

「研究所?とりあえず、何か食べ物を準備しますね、スカルド行きますよ」
ツイスターは台所の方へ向かう

「姉ちゃん今行くよ」
「僕も手伝うよ」
「気持ちだけでいいぜ、あんたらはお客さんだからな」
スカルドも台所の方へ向かう

「なぁパンプ、何でアドロンには記憶が残ってたんだろう?」
「ひぃりゃないよ~そんにゃことょお」
パンプの声はどんどん力が抜けてゆく

(僕らが研究所で研究されていた事とみんなから忘れられた事は何か関係があるのか?)
ジャンはパンプを撫でながらそんな事を考えていた

「いけね、寝ちまった」
アドロンが目を覚ます

「あ、アドロンさん起きたんですね、今ご飯を作っているので待っててくださいね」
台所の方からツイスターが言う

「ツイスター、ありがとう」
アドロンはテーブルの準備を始める

「そういえばアドロン、あの日一体何があったんだい?」
ジャンはアドロンに合同授業3日目の事を聞き出す

「あの時、俺らは人質を取られた、観客席には爆弾が仕掛けられていて、みんな何も出来ずにただやられるしか無かった」
アドロンの話はしばらく続いた、ジャンはあの時の事を全て知った

「なんて卑怯な奴らなんだ!」
ジャンは思わずテーブルを叩く
「ジャンお前は今まで一体何処に行ってたんだ」
アドロンはジャンの拳を優しく掴みながら聞く

「僕らはアイツらに捕まって研究所で研究されてたんだ」
ジャンの拳にはまだ力がこもっている

「それは大変でしたね、今はゆっくりここで休んでください...研究に記憶の改変か」
アドロンは何かを考える

 アドロンは大事な事を思い出す
「そういえば、お前らのグループにいた科学軍の奴らは今お前の家にいるらしいぜ」

「シュン兄とマツリさんが!?」
ジャンは話に食いつく
「ああ、なんでも今の科学軍の国が信用できなくて残ってるってウリエラが言ってたぜ...あの方々も大変ですね」

「皆さーんできましたよー」
ツイスターとスカルドは料理を運んできた

 ジャンは皿の上の料理を見ると真っ黒焦げの何かが乗っていた
「これは...なんて料理?」
ジャンは震える声でツイスターに聞く

「卵焼きですよ♪」
ツイスターは笑顔で答える
「すまないジャン、アイツらかなりの味オンチなんだよ」
アドロンはジャンの耳元で囁く

(先が思いやられる...)
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