僕と精霊

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怒涛の入学編 4月8日〜4月18日

第8話 僕の父さん

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「母さんって何だ?」
パンプの意外な質問にジャンは驚きながら、答えた。

「母さんって言うのは、親のことだよ」
「親って何?」
「親、えっと、なんて説明すればいいんだろう」
ジャンは頭がこんがらがってしまった。

「パンプちゃん、親って言うのは自分の子供を育てる人、家族よ」
?オレにもそれはいるのか?」
「ええ、いるはずよ。パンプちゃんにも育ててくれた精霊がいるでしょ?」
「そんなヤツいなかったぞ。オレは子供じゃないのか?」
流石にアミィも驚いた。
「パンプちゃんはいま何才なの?」
「オレは20才だぞ」
「20才!?パンプさんその年齢は子供以前に赤子ではありませんか」
セバスが珍しく驚いている。

「では、パンプさんは精霊界でどのようにして生きておられたのですか?」
セバスはパンプに聞いた
「オレ、精霊界ではいつも、森で遊んで、木の実を食べてたぞ。気づいたらジャンのとこにいた」
「では、20年間森の中で1人で生きておられたのですか。」
「うん、だからこっちに来た時は色んな物や生き物がいて驚いたぞ」

 アミィは涙を流しながら、パンプを優しく抱擁した。
「大丈夫よ、パンプちゃん。私達はあなたの家族よ」
「そうだよパンプ、セバスも母さんも僕も、お前の家族だよ」
「パンプさん同じ精霊として悩みがありましたら、いつでも相談して下さいね」
一同、パンプを励まし、パンプは立派な家族の一員となった。

 食事を終え、ジャンとパンプはジャンの部屋で話をしていた。
「ねぇジャン、この家には他に家族がいるのか?」
「あーうんいたよ」
「誰なんだ?」

 ジャンは少し悩んでから話した。
「僕の父さんだよ」
「父さんってヤツなのか」
「あっ父さんっていうのは母さんと同じ意味だからね」
「じゃあ、ジャンの父さんはなんて名前なんだ?」
「ユウスケ・バーン」
「今どこにいるんだ?」
「死んだよ、僕が幼い頃に....あっそうだ」
ジャンは大事な事を思い出す。

「明日は武器訓練の日だ。持っていく武器を準備しないと」
「ジャンの家には武器があるのか?ああ、槍がいっぱいあったね」
パンプはフォークをまだ槍だと思い込んでいる。

「パンプあれは槍じゃなくてフォーク。武器じゃなくて食器だよ」
そう言いながらジャンは机から1丁の白いボディに金色の竜がデザインされたハンドガンを出した。

「それが武器なの?」
「うん、コレは魔銃マガンっていって父さんが作った武器なんだ」
「へぇ、コレ、ユウスケが作ったんだな」
「うん、父さんは元々科学軍の人だったから」

「科学軍って魔法軍の敵じゃないのか?」
パンプは不思議そうな顔をして、ジャンに聞いた。
「よく分かんない、戦争は終わったし」
「そうなのか」
「でも、いつ戦争が起こってもおかしくないっては言われてる」
「それってまずいんじゃないか」
「でも、父さんは科学軍でも良い人だったよ、これは僕が一番知ってる」

「父さんは旅で魔法軍の国に来て、母さんと出会ったんだよ」
「そうなんだ。」
話していると時計の鐘が鳴った。

「さぁ、明日も早いしそろそろ寝よう」
「うん」
ジャンは部屋の電気を消し、ベッドに寝っ転がった。

「おやすみパンプ」
「うん、おやすみ」
こうして、ジャンとパンプの長い1日が終わる。
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